42話 見た目は魔獣、中身は魔王(一部)
なかなか時間がとれず…スローペースで申し訳ないです。
ふと気づくと、辺り一面暗闇だ。上下左右も分からないなか、遠くには緑色の光が見える。ここは俗に言う、あの世?あの光まで行けば、何かしらの答えが分かるかもしれない。
必死に前足、後ろ足を動かす。ちょっとずつ進んでいき、段々と大きく、そして強くなっていく緑光に触れた時、強烈な光に包まれる。
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「レムリア様、エレス様。一角ラビィが目を覚ましました。」
「なんか、本当に兎みたい…」
「お、どれどれ。おはよう、気分はどうだい?」
強烈な光から解放され、声がする方向を見ると、緑髪の女と白髪の女と紫髪の女がいた。ここは何処かの家の中らしい。
この三人は何者だ?人間ではないらしいが…そもそも、自分は死んだはず。ここは死後の世界か?
「ふふん。どうやら混乱しているようだね。まぁ、仕方ない。説明してあげよう。ここはレムリア城地下にある大図書館の一室。そう、レムリア国だよ。そして、私の隣にいるのが、この国の魔王、レムリア・ゼオラ。」
紫髪から言われた内容、この国の魔王が隣に白髪だという。自分達魔獣よりも遥か上の存在。それが今目の前にいる。自分は今どういう訳か生きているらしいが、また死にたくはない。粗相をして殺されないようにしなければ。
「ん、それは敬礼のつもりかい?ふふ。可愛いな。まぁ、しかしその必要はないよ。君は魔王レムリアの眷属であり、魔王でもある。」
正直、紫髪の話はよく分からない。色々喋ってはいるが、その内容のほとんどが理解出来ない。その思考を読んだのか、魔王レムリアと名乗った白髪が説明した。
なるほど。つまり、魔王が復活した時に魂が全部肉体に入らず、近くにいた自分に流れ込んだのか。だから眷属であり、魔王…と言ったのか。
「今後、君には強くなってもらい、人型の魔獣として活躍してほしい。と、いうのも、魔王のドッペルゲンガーが欲しいのだ。今後、この国は人間達が攻めてくると思われる。まぁ、負けるとは思ってないが、もしもの時の為にね。」
「取り敢えず、名前を決めるけど…君を見ていて、ピンときたのがあるんだよねぇ。」
「へぇ、私も一つあるんだけど。何せ沢山の本を読んできたからねぇ。名付けなんて朝食前よ!まぁ、食事は必要ないけど。」
「因みに、どんな名前?」
「アイアナ・ティーガ」
「却下」
「何でよ!」
「それは自分の人形につけてください。私の眷属なんだからティーガはないでしょ。」
そう言い、白髪の女魔王レムリアはこちらに向き直り、咳払いを一つした。
「君の名前は…フェナカだ。フェナカ・ゼオラ。」
「ふぇ…なか…ゼ…お……」
「あぁ、フェナカ・ゼオラだ。よろしく!」
こうして「ゼオラ」の姓を持つ者が一人誕生した。