41話 一角ラビィ
令和初投稿です。これからもよろしくお願いします。
城を改築する為の会議が行われている。メンバーは城の主であるレムリア、魔王代理のフローラ、大図書館司書長のアメジスト、改築工事責任者のアクア、同じく責任者のネフラ、四天王白虎である、マホ。そして、アドバイザーとしてアスリオーネ国からカエデラードさんを招いている。
カエデラードさんは若い時に、アスリオーネ国の姫である、ピオニーの住む城を建てた代表者という事だ。彼の意見も是非聞きたいという事で招いた。実際、彼は様々なアドバイスをし、今の城もより大きく、そして、和風を崩さずにこの世界にも馴染むようなデザインにする事が出来た。かなり話し合ったが、綺麗に纏まると気持ちいいものだ。
そんな会議終了時にノックと共に、メイド長ルチルと大図書館司書のアイが入ってきた。アイの表情からは全く分からないが、ルチルは困った表情を浮かべている。
話を聞くと、あの吸血鬼トリオの眷属である蝙蝠達が瀕死の状態の魔獣、一角ラビィを運んできたらしい。今、大図書館でグリーンが回復魔法をかけているという。
なぜ、吸血鬼トリオが一角ラビィを送ったのか、なぜ、ドールズが受け入れ、治療をしたのか。大図書館に着いた時に答えが分かった。
「レムリア様、エレス様。会議終了直後にすみません。」
大図書館内にある部屋に入ると、グリーンが挨拶した。彼女の後方には簡易ベッドがあり、その上に件の魔獣が横たわっていた。死んでもおかしくない大怪我と、話には聞いていたが、見た目は何も問題ない。さすがはレムリア国一の大魔法使い、アメジストが造った人形なだけはある。ヒーリング魔法の質が高い。今は眠っているようだ。
「でぇ、この兎が見て欲しいって奴ね。…なるほど、微かにだけどレムリアと同じ魔力を感じる。あの三人が送りつけたのはこれが理由ね。吸血鬼の馬鹿力で攻撃しても生き残ったみたいだし…貴女と何らかの繋がりがあるのは確実ね。」
「へぇ、でもあの三人がそれを感じとるとはねぇ。意外だわ。」
「いや、貴女の眷属なんだからそれを感じるのは当たり前でしょ?まぁ、それよりこの一角ラビィの事ね。」
アイから手渡された資料を受け取り、続ける。
「天狗の報告によれば、レムリア国周辺の魔物達は貴女の魔力によって少しずつ、力を増してきている。因みに、国内に入り込んでいる魔物はそれ以上に強くなっている、との報告。元々魔物の中に循環している魔力が貴女の魔力によって加速され、強くなるといった感じなんだけど…この一角ラビィからは彼自信の魔力と貴女の魔力を感じるのよ。いくらレムリアの魔力で強化されてるからといって、貴女自信の魔力を感じる事はないのよ。何か心当たりない?」
「いや、ないよ?」
アメジストは一角ラビィを調べるとの事だったので、大図書館から出る事にした。
しかし、あの一角ラビィ…言われてみれば、他人の気がしない。あの一角ラビィとは初対面のはず。そういう事に詳しい者がいれば直ぐに聞くのに……ん?いたわ。
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という訳で、庭にきた。メイド達が近衛をと申し出てきたが、彼の事は私とジララ以外は知らない。庭の人払いはしてある。説得には時間かかったが。
「よし、スープラ!」
「スープラではなく、スーフェンです。」
何処からともなく現れたサングラスをかけた緑鳥、スーフェン。慧をレムリアに転生させた女神、ペリドートの眷属だ。彼なら何か分かるかもしれない。
「えぇ、分かりますよ。」
おぉ、さすが。
「れ…久野慧の魂がレムリアの肉体に入った時に何かしらの原因で魂の欠片があの一角ラビィに入り込んだのでしょう。たまたま近くにいて、欠片が入り込み、その後もレムリアの魔力を浴び続けて、ラビィの肉体とレムリアの魂が馴染んだ、という訳です。云わば、貴方の眷属ですね。しかし、同時に貴方の分身でもあります。今はまだ一角ラビィの姿ですが、強く成長すれば人型になる事も出来ます。」
という訳で、新しい眷属が出来ました。
この事をアメジストに伝え、一角ラビィの目覚めを待つことにした。