39話 魔王デスクワーク
魔王レムリア・ゼオラ、彼女にも仕事はある。自分の身体に慣れたり、魔法や戦闘訓練をしたいところだが、それだけでは駄目なのだ。トップにはトップなりの仕事がある。その一つが各部署から送られてくる書類の確認。それなりの量がある。国の発展という仕事を開始した為、それ関連の物が多い。
天狗からは地図や源泉調査を開始した事、河童からは城の設計図や企画書、土蜘蛛からは各家の設計図、そして道路工事を開始した河童、妖虫、スケルトンからの進行状況の報告書。一つ一つに目を通していく。何か意見を求めるような事が書かれていれば、返答を送る。最近はこのような事務仕事をやっている。魔王のイメージとはかけ離れた作業だ。まぁ、しかし悪くない。皆が何をやっているのか把握出来るし、自分だけ何もしないのは申し訳ない。
そんな訳で、この仕事は苦痛を感じることなく、こなしている。いつも通りに目を通していると、人間の国に潜入している三人からの報告書を見つけた。ステマニア国に行っている吸血鬼トリオだ。内容は無事にステマニア国に潜入出来た、情報を得る為に冒険者ギルドにいる、人間達は最近、魔王達が動いた事に気が付いた、レムリア国に何かしらの動きがあるとみて、冒険者を送り込んでいる、との事だった。どうやらちゃんと仕事はしているらしい。
レムリア国に冒険者を送り込んでいる。ラリマからの報告書にも人間が増えていると書かれていた。南の警備は強化しておいた方が良いかもしれない。ラリマに注意するよう言っておこう。
しかし、ステマニア国か。一回見てみたいな。確かアメジストがこっそり遊びに行っているから今度着いていこう。
色々考えながら全ての報告書に目を通し終えた。これだけ文字を読んでいると疲れた気になってくる。実際は疲れてないけど。読み終えた報告書をフローラに渡し、自室に戻る。そのままベッドにダイブし、目を閉じる。次のデスクワークに備え、目を休ませる。ただ、暇だった手は股を可愛がっていた。