38話 骨虫童ロードワーク
各区域に地図が配られたその数日後、魔城の前にはレムリア、フローラ、アメジスト、グリーンと道路工事を任された者達がいた。その代表者として、道路工事責任者河童代表イオラ、妖虫代表ゴール、スケルトン代表ハウラ。
ここにいる者達は今まで、この国にどのようなルートで敷設するか会議していた。効率さと起伏の激しくないルートを考えながら話し合いを進めていった訳だが、困った事に、集まった者は自区域から出た事が殆どない奴ばかり。うち二人はニートも同然。閉じ籠って本を読んだり書いたり、閉じ籠ってワイン飲んだり本読んだり。ゴールは森から出た事がないし、イオラも北区域から出た事がないらしい。かといってレムリアは国内をまともに見た訳ではないので分かるはずもなく、フローラは城での仕事がある為、殆どを城で過ごしている。会議が始まっても誰も声を出さなかった。出せなかったのだ。道を作るなんて誰も考えた事がなかったのだから。しかし、何時までも黙っていてはいけない。口を開いたのはレムリアだった。
彼女は地図を取り出し、意見を求めた。幸い、イオラは地図の読み方を知っているようで、眺めた後に色々と意見を述べてくれた。そこからは早かった。皆の要望を聞きながら話しは進められた。
そして現在、これから道路工事に取り掛かろうとしている。
「やぁ、諸君。これから君達は大変な仕事に取り掛かる。国内を道路を作りながら回るのだ。とても長い道のりだ。しかし、君達の歩いた道がこの国皆の道になる。その道によって国内が豊かになる。この道が我が国の発展に関わってくるんだ。この事を誇りに思い仕事に臨んでくれ。」
レムリアの言葉に歓声があがる。その後にフローラが怪我だけはしないようにと注意すると、早速開始される。
まず動き出したのはミミズ。しかしその大きさはとてつもなく大きく、全長十メートル程あり、世界最長の蛇アミメニシキヘビに負けていない巨体だ。そんな彼らは道路を敷くルートを這って行く。すると彼らの通った道は耕された状態になる。その後ハウラによって召喚されたスケルトン達が土を均していく。今後、舗装していくかは検討中だが、まずは国内に道路を通す事を優先させる。因みに、進行上に木がある場合はカマキリが斬り倒し、カブトムシが切り株を除去する。橋を掛ける場合は河童が担当する。役割を与えられた者達はそれぞれの持ち場に向かう。
そしてレムリアも自分の仕事をする為、城に戻っていった。