36話 疾風サーベイヤー
関所前広場。そこに、北区域に所属している天狗達が集まっている。普段は外や内で仕事をしている者が一堂に会するこの景色は圧巻だ。それはラピスも同じ。
「いやー、天狗ってこんなにいたのか。」
「ざっと数えて千。レムリア様より大切な御仕事を受けましたからね。これからそれを全うしようと思います。」
千の天狗達の前に立つクロコア、ラピス。そして三メートル程の身長の大天狗。
「よく聞け、お前達!昨日、レムリア様より我等天狗に仕事を与えられた。レムリア国の地図制作、そして温泉の源泉調査だ!どちらも重要任務だ。地図制作の方は出来上がった地図を元に国の開発が行われるし、源泉調査の方は温泉が出来る事によって国民の疲れを癒す事が出来る!」
「更に酒が美味くなるな。」
「詰まるところ我々の仕事がレムリア国の発展の口火になるし、我々の仕事の出来不出来により、レムリア国の質が変わってくる。…お前達!半端な仕事は許されぬぞ!戦闘においてお前達は本気を出す事はない。手を抜いて適当にあしらっているだろう!だが、今回のこの大仕事はそうはいかない!趣味で作る資料でもない。仕事という事を忘れないように。そしてその仕事の評価が我々天狗、北区域代表のラピス様の評価にもなるという事を肝に命じておけ!」
クロコアは天狗達を見る。皆、その目にはやる気が満ち溢れている。士気は充分のようだ。烏天狗、木葉天狗、鼻高天狗、山伏天狗。そしてこの世界で生まれた魔天狗。皆の気持ちは一つ。最速で最高の物を献上する。
「割り振りは大天狗が発表する。我等天狗の速さと早さをこの国に知らしめる時だ!」
「おおおーーー!!!!」
大天狗に役割を与えられた天狗達が一斉に動き出す。ある者は空を飛び地形を調査、ある者は調査結果を纏め、ある者はそれを紙に書き写す。印刷する者もいれば、大図書館にて昔の地図を確認する者もいる。そうして国全体の地図を作成する。これにより、アスリオーネ国の位置も割り出し、更なる防衛策を練る事が出来るようにする事も欠かさない。
こうして天狗達の地図制作は約一日半で終了した。因みにその日、レムリア国の大空は黒い閃光が走っていたという。更に飛行出来る妖虫達からは天狗風が巻き起こっていたせいで、その日は飛行出来なかったらしい。
この勢いで天狗達は温泉の源泉を求め、国外を飛び回る事になる。




