外伝 女神の憂鬱
別に本編には関係ないです。
「不幸な青年、久野慧よ。我が名は女神ペリドートである。覚えておくがよい。」
そして、私は魔方陣を発動させる。座標は彼が座っている中心。
「ちょっと!話聞いて
何か言おうとしていたようだが、話し終わる前に、転生された。
「ふぅ、行ったか…いやぁ、焦ったぁ~。」
彼が此処に来たのはいきなりの事だった。
以前から羽衣という物が気になっていたので、友人に聞いてみたら、貸してもらえる事になった。そして、試着して鏡で確認してみたり、ふわふわ飛んでみたりしていたら、どさりと音がした。そちらの方を見てみると。久野慧が倒れていた。一瞬、フリーズしたが私は女神。そんな事で動揺なんてしない。まず鏡を仕舞って、身なりを整えて…これで合ってるか分からないけど、変ではないはず。そして声をかけた。
結果は彼を転生させる事になったのだが、私の計画とは違う。そこで事情を知っているであろう者を呼び出す。
「眷属召喚、マラカイア!」
私の前に緑色の魔方陣が出現し、そこに私の眷属の一人が姿を現す。
「御呼びでしょうか、ペリドート様。」
彼は久野慧の監視を命じていた者。彼方の世界にも存在する熊であるために送り込んだ。
「マラカイア…あなたに久野慧の監視を命じていましたよね。その久野慧が今此処へ来ました。致し方なく転生させましたが、どういう事か…説明しなさい。」
「その件については申し訳ありません。私は監視に徹するつもりでしたが、彼に見つかり、大声をあげられました。」
「いきなり目の前に熊が現れたら普通びっくりするでしょう。」
「えぇ、反省しておりますが…思わずガブッといってしまいました。」
「思わずじゃないわよ!何襲ってんのよ!」
「しかし、大丈夫です。直ぐに麻酔処置はしたんで、痛みは感じなかったはずです!」
「そういう問題じゃないのよ!私の計画ではあと50年は経験を積ませるつもりだったのに!これ知られたら絶対怒られるじゃない!」
「お、落ち着いてください。確か、記憶はないので大丈夫では?」
「肉体を戻したから、いずれは取り戻す可能性があるでしょ?しかも、私なんて名前名乗っちゃったし…」
「まぁ、記憶が戻らないのを祈りましょう。」
「あんたも他人事じゃないわよ。記憶が戻ったら、私の眷属だって思い出すわよ。殺したのはあんたよ。彼女の怒る姿が目に浮かぶわ。あぁ、怖い怖い。」
「脅さないでください…反省してるんですよ。」
「分かってるわよ。起きた事は仕方ないじゃない。これからの事を考えるのよ。」
(切り替え早!)
「まぁ、今後はスーフェンに監視させるわ…はぁ。」