25話 アスリオーネ国へ
ロサの案内のもと、西区域にある虫妖木の森の端まで来た。
「では、私の後を間違えずに着いてきて下さい。」
ロサの話だと、結界には至る所にスキマがあり、そこを通る事で出入りが可能らしい。ただし通過するには、結界のスキマを見破る事が出来なければ不可能。さらに、前進して何歩、右に何歩、後退何歩で、と言った風にややこしい進みをするので、普通に前進すれば、結界に引っ掛かり通れないのだ。引っ掛かると言っても、結界を通れば、反対側の結界から出てくる事になるので、結界の内側を通らず、結界の無効側に行く事になる。?自分でも分からなくなってきた。兎に角、正規の方法で歩かなければ、中には入れないのだ。しかし、それを無視する者がいる。
「まぁ、そんな面倒くさい事は今度にして。」
そう言い、手をかざす。すると、結界に人が通れる位のトンネルが開く。
「さあ、さっさと通らないと塞がるよ!」
「ちょっと、アメジストさん!勝手に開けないで下さい!」
「文句を言うなら昔のレムちゃんに言うことだ!結界を知ろう講座で穴を開ける方法を教えてもらったんだからね。」
「レムリア様?!」
「でも、講師はハウラ師匠だったけど。」
「ハウラさーん!」
「二人共、早く行くぞ。」
ゴタゴタあったが、アスリオーネ国に入った。中にあるのは虫妖木。しかし、西区域よりは数が少なく、少し歩くと道がある。この世界に来て、初めてまともな道を見たので、感動してしまった事は秘密だ。
その道を歩いていくと、やがて村のような場所に辿り着く。そこにはレンガ造りの立派な家があり、庭には釜戸がある。そこからは煙がモクモクと上がっており、ドワーフと思われる人物が作業をしている。恐らく、料理をしているのだろう。そんな感じだ。他には武器を作っていたり、家の修復作業をしたりと、様々だ。こちらをちらっと見るとまた作業に戻り、もう一度こちらを見る。二度見だ。そんな目線を気にせず、ロサの説明が入る。
「ここは、ドワーフが作業する為に作られた村です。作業場所が足らなくなった場合に新たな村を作るのですが、ここはその一つです。」
話を聞いていると、一人のドワーフが近寄って来る。
「ロサ様。こんにちは。そちらは外の国の方々ですね。お久しぶりです。アメジスト様。」
「あれ?カエデラちゃん?久しぶりじゃん!昔まで城だったじゃん?」
どうやらこのドワーフとアメジストは知り合いらしい。
「フオッフォッフォッ!"ちゃん"と呼ばれる年ではないのですがね。若手育成の為、ここの現場監督のような役割をしています。まぁ、ここの者からは村長と呼ばれていますがね。」
「えー、そーなんだー。久しぶりに会えて良かったよー。」
「ところで城に行くのですかな?でしたら馬車を出しましょうか?」
「村長、ありがとうございます。では、皆さん。馬車で移動しましょう。」
村長が用意した馬車は大きめで、ロサ、レムリア、アメジスト、ジララ、クラックが余裕で乗れる程。
御者台にはクラックが座る。馬の操作等容易いものです。とやる気満々だ。因みに、村長からレムリアの事に触れられなかったのはレムリアが隠れていたから。女子が多いレムリア国とは違い、男子が多いこの村では、ドワーフ達からの(胸や尻に集中する)視線に途中から耐えられなくなり、ジララの後ろに隠れていた。
(何、この視線?ゾワゾワする。何ですかー、この視線は!)
ジララはというと、いきなりのレムリアの行動に頭がパンクしそうだった。
(えー?なになになに!どーしちゃったの!レムリアー。)
そんな二人の心中等関係無く、馬車は城へと進む。
因みに、ドワーフはイケメンが多かった。
国の発展は先です。しばらくこんな感じです。これからも魔王転生をよろしくお願いします。