21話 内なる国
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とある大戦争で戦死した魔王、レムリア・ゼオラが復活した。その報告が各魔国に届いた。
その一つ、大魔国では魔王会議開催の段取りを進めていた。
薄暗い部屋、中心には紅い色の円卓。そこに座る六名の異形の者達。物音一つしない耳に痛い程の静寂。そんな中、最初に口を開いたのはペストマスクを着用した、グラマラスな体の女性。しかし、ただの人間という訳ではなく、頭、手の甲、に黒い羽毛が生えている。さらに肩から羽が生えており、黒い鶏冠がある。パンクスチームと呼ばれる服装をしているが、異様なのはその服が血塗れであると言うこと。マスクにも血がついているが、それに誰も言及する事はなく、彼女の話しに耳を傾けていた。
「皆さん知ってはいると思いまスが、この大魔国よりも南の国。その地にテ、かツて魔王として君臨してイたレムリア・ゼオラが復活したらしいのデす。これヲ受けて、魔王会議を開きまス。」
「その事は承知しました。大魔王様は何と?」
「我らガ主は、お昼寝中です。起き次第報告シマす。」
「ふふふ。では、各魔国に使い魔を出しましょうね。召集日時はどうしましょうね?」
「主が起き次第決めまス。皆さんハそれぞれ準備ノ方をお願いしマす。」
このように淡々と話し合いを進めていく者達。彼らに共通する事は皆、マスクをつけている事。さらに、血塗れである事。その為、彼らがホラー映画に出てくる狂った悪役を思わせる。身動き一つしない姿はオブジェのよう。そんな不気味な会議は淡々と進んでいく。
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所変わって、レムリア国国内にある隣国。バチカン市国を思って貰えれば良い。そこではいつもと変わらない時間が流れていた。しかし、その外ではちょっとした異変があり、それを感じ取った一人、アスリオーネ国の姫ピオニー・アスリオーネ。彼女が国民からの要望書に目を通している時に、国の外で結界が張られた事に気がついた。何かの異常事態なのかとも思ったが争いの気配がない。放置して良いのか、どうか。しかし、外の国が攻撃を受けては遅かれ早かれ我が国にも被害が及ぶ。何も知らないという事は避けたい。それに、外の国とは同盟のようなもので結ばれている。私の母の恩人である人が作り上げた国でもある。何かの役に立てるなら協力したい。その為には情報が必要だ。
「お呼びでしょうか、姫様。」
「えぇ、ロサ。頼みたい事があるのだけど…」
ロサは小さい頃から一緒にいる騎士、親友とも呼べるエルフだ。相談にのってもらったり、頼みを聞いてもらったりと色々助けてくれる。そして、今回も。
「畏まりました。では、早速外に出て結界についての情報を集めて来ます。」
「お願いね。」
赤毛の騎士は準備を整えると、早速アスリオーネ国を出た。彼女が得る情報が衝撃的なものとは知らずに。