16話 東区域視察
どうしてこうなった…
私は今、東区域の霊廟前広場に来ている。ここは、私が異世界に来て最初に目覚めた場所だ。その時はあまり見てなかったのだが、ちょっとした広場がある。そこに東区域に住んでいる者達を集めてもらっていた。フローラと二人、この広場に降り立った時にいきなり何者かに抱き付かれた。かなり勢いがあったので、少しよろついたのだが、か弱い体ではないので倒れる事はない。
「あぁ、レムリア~!お久し振りです。もうしばらく見ないだけで、こんなに寂しい思いをするとは~!レムリア成分取り入れさせて下さい!」
ジララでした。しかし少し会わないだけでこんなになるとは…
「ジララ殿、その態度はレムリア様に失礼ですよ。」
「いいんです~。私はレムリアから許可貰ったからいいんです~。」
「ジララ殿にこんな一面があったとは。レムリア様良いのですか?」
「あぁ、構わないよ。ジララは。」
ようやく解放されたが、ジララは隣にいて離れない。そこで気付くが、もう既に広場には大勢の魔獣が集まっている。今までのやり取りをずっと見られていたと思うと、急に恥ずかしくなる。しかもジララは肩をくっつけてくる。少し横にずれて離れると、またくっつけてくる。そんなに俺が好きか?それとも魔王の方か?分からないが嫌われるよりかはマシか。
「遅くなりました。こんにちは、フローラちゃん。そしてお久し振り、レムリアちゃん。」
霊廟の方から全身黒い服を着た骸骨が歩いてきた。よく見ると、フードのついた牧師のようなローブを着ている。
「ハウラさん、ちゃん付けはやめて下さい。」
「まあまあ、何時もの事だし。しかし、レムリアちゃんが目覚めた時にすぐに対応出来なかったのは不覚。気づいたら、ドアが吹っ飛んでいる部屋だけ。棺の中はもぬけの殻。内心焦りましたが、無事そうで何より。それと一つ相談が…」
「んー、何だ?」(ヤバい、ドアの事怒ってるかな?)
「えぇ、ジララちゃんの事で(あ、良かった。ドアじゃないんだ。)彼女を魔城勤務にしてほしいです。私の住みかは霊廟の地下なのですが、わざわざ来てレムリアちゃんの話をするのです。正直鬱陶しいので。」
ジララのイメージが崩れていくぞ。もっとクールな感じかと思っていたが。まぁ、ジララが近くにいてくれるのは嬉しいので断る理由はない。
「私は問題無い。むしろ歓迎だが、フローラは問題無いか?」
「異存御座いません。」
「ありがとうございます!しっかり働きます!」
「と言うことで、ハウラ。お前を四天王に任命する。」
「え?」
「東区域担当はジララだったんだ。そのジララが抜けた今、頼れるのはお前だけだ。」
「いや、私隠居する気満々なんですが?」
「だ☆め☆だ」
四天王 青龍ハウラ・ボーツワーグ
「クソーーーー……こん…畜生めがぁぁぁ!アアア………あんな事言わなきゃ良かった…ジララちゃんめ!」
小声で文句を言っているハウラを置いといて、魔獣達に復活式の事を伝える。皆喜びの雄叫びを上げる。霊廟を見て回るか聞かれたが、あの部屋を見ると、トラウマを思い出すのですぐに城に戻る事にした。
これで東西南北を視察した。明後日には復活式が行われる。そこで俺は正式に魔王となる。
「レムリアに私の魔城勤務進めていただき感謝します。ハウラさん。」
「…はぁー。言わなきゃ良かった…で、報酬は?」
「四天王の座」
「騙されたぁー!グータラ過ごす私の隠居生活がぁあ!」