担任教師は甘くない
やっと異世界感出てきます
「今日を逃したらしばらくこっちの世界と繋がれないからさ、仕方なかったんだよね。」
突然現れたジャージ姿でポニーテールの担任教師に驚いたような安心したような不思議な感覚に陥った。
訳が分からず、ポカンと口を開けてただただ見つめるほかなかった。
無言でいる僕に矢継ぎ早に喋りながら近寄ってくる。
「本当はもっと勇者になれそうな人が良かったんだけど問題があってねー」
「勇者...?」
「今日を逃すとしばらくは元の世界に戻れないから、独り暮らしで居なくなっても気付かれないような人じゃなきゃダメでさー」
この人はなにを言っているんだ?
[僕は混乱している!]
「君さ勇者になってこの世界救ってみない?」
満面の笑みを浮かべアホみたいなことをほざくこの人は本当に教師なんだろうか。
「今失礼なこと考えたでしょ?」
顔に出ていたのだろうか、彼女はムッとしながら腕組みをした。
「イッ...イヤァ、ソンナコトナイデスヨ...」
「めちゃくちゃ棒読みなんだけど?」
どうやら僕は嘘が下手らしい。
「さっき落ちそうになったとき助けなきゃよかったかなぁ?」
さっき...?
崖から落ちそうになったあれだろうか?
「さっきの不思議現象が先生の仕業だということですか?」
「その通り!論より証拠、百聞は一見にしかずだよ!」
そういうと人差し指を僕に向け、
「《ハーデン》」
そう言った。
なんだろうと目を丸くする僕に彼女は尋ねた。
「動けないでしょ?」
そう言われて気付く。
砂に埋められた時のように体が動かなかった
「なっ、なにをしたんですか!?」
「君の体の周りの空気を固めたの」
魔法、そんな非科学的な現象が目の前で繰り広げられた訳である
「これは魔法みたいなファンタジーなものじゃなくって、言霊を現実に投影することでその現象を実現させるっていうものでねー。」
「はい???」
「私はこれをプロジェクションって呼んでるの。」
うん、さっぱりわからん。
「こっちの世界でしか使えないんだけど...あらら、もう時間になっちゃった。私そろそろ行くわね?」
一方的に話して立ち去ろうとする彼女に僕は言った。
「ちょっ!こんな言葉も状況も分からない所に置いてくんですか!?」
それを聞いた彼女は、
「つまり、言葉と状況が分かれば問題ないわけね!」
そう言い放った。
つくづくこの人とは話が合わない。
「《トランスレーション》」
「なんの魔法ですか?」
「プロジェクションだってばー。私空気関係しかプロジェクションできなくてねー。」
「そのプロテインだかなんだかでなにをしたんですか?」
「プロジェクション!!簡単に言えば空気の振動を操作して言葉を翻訳するの。」
つまりあれか、とりあえず何言ってるのかは分かるのか。
「ちなみに君の言ってることもちゃんと相手に伝わるはずよ。じゃあ頑張ってね勇者さん!」
そう言うと、もの凄い勢いで飛び出して言った。
僕はジャイ○ンのようなドラ○もんに言葉が通じるようにしてもらっただけで放り出されてしまった。
助けてよドラえ○ん。
次は美少女とお話します