第3話 冒険者ギルドは正常運転
矛盾・誤字脱字の可能性あり、先に誤っておきます。
私は今冒険者ギルドにいる。
いる。
いるのであるが、やはり面倒くさい。
「女ごときが冒険者ギルドに入ろうとするとか舐めてんのか?」
こういう男が沸いてくる。
それはもうGのように。
一匹見かければ、何十匹もいると思った方がいいあの害虫である。
本当どうしてこうなった。
「ダストさん、マイナスですよ?」
強面の筋肉質の男に絡まれて、私が困り果てていると受付嬢がそんなことを呟いた。
するとダストと呼ばれた男は、顔を青白くさせて、受付嬢に土下座した。
「か、勘弁してくれ!もう素麺生活は嫌だぁぁぁ!」
「だったら、何もしないでくださいね?」
受付嬢はそうニコリと満面の笑みで言い切ると、目線を私に向けた。
「そこの方、登録でしたね?今から手続きを致しますので、この髪に必要事項をご記入ください。」
でもさっきのは……?
先ほど起きた出来事について考察していると、その様子を見かねたのか、後ろの椅子に座っていた老人が私の肩をたたいて、呟いた。
「あの男は、似たようなことを何度もして、受付嬢に脅されているのさ。次やったらFランクの依頼しか受けられなくしますってね。前に一か月限定で処罰を喰らったのがよほど痛かったらしい。」
なるほど。ありがとう。
「いいさ、お嬢ちゃんのような未知数の新人を、こんなことで挫折させるわけにもいかないのさ。とくに今は、モンスターが急増しているからね。」
なんか面倒ごとの予感。
「ふふっ、まあ気にせず、がんばりなさい。」
老人は去って、私は受付嬢のもとに行って紙を受け取った。
「あの老人に気に入られたようですね。もしかするとあなたなら高ランクになれるかもしれませんね。」
とニコリと受付嬢は笑顔で言ってのけた。でもその胡散臭い笑顔は、逆になんか怖い。
そのあとは、実技試験があるとかで、気取った試験官の男を弱かったので一蹴したら、また別の男と戦うことになった。しかし今度はさっきのように楽勝とはいかず、魔法と剣を使いこなす相手に苦戦し、最後はお互いに相手の喉元に剣を突き付けるといった形の相打ちで実技試験は終了した。
そして、私はAランク候補として認められた。
「本当に高ランクになっちゃいましたね。私がフラグ立ててしまったんですかね。びっくりたまげました。とはいえ、まだ候補ですが。」
「それはさておき、候補って?」
「ああ、まだ説明していませんでしたね、あなたの場合、実力は高ランク冒険者と遜色ないのですが、実績とかがまだないので、とりあえず限定的にAランクまでの依頼を受けれるようにしましたって感じですね。とりあえず候補とそれ以外の差はっと、候補だと受けられない依頼もあるって感じで。」
「なるほど、わかりました。では今から依頼を受けようと思いますが、いい依頼ありません?」
「ふふっ、そう焦らないで、まずは講習として薬草採取を受けてもらいます。受注から納品の流れを確認しておかないと私がズムーズに業務をこなせないしね。あ、薬草ならいくらでも必要だから。あのクサレ変態薬師が薬草!薬草!と際限なく薬草を求めているしね……ふふっ毎日付き合わされるのは私なんだから、もっと単価を高くしてもいいわよね?」
受付嬢が暗黒面に堕ちているのは無視して、私は別室に連れていかれて、講習を受けさせられて、受注から納品までの流れをみっちりと確認させられて、実際にギルド裏の薬草畑にて薬草採取を実践して、無事に納品することができた。
とはいえ、終わったころにはもう陽も落ちていたので、受付嬢に紹介された宿屋にて睡眠をとった。
そして翌朝。ギルドはあふれかえる人々でにぎわっていた。
「にぎわっているわね。」
順番が来たので受付嬢に話しかけた。
なお、冒険者一人一人に対する受付嬢は固定である。その方が死亡率が下がるんだとか。
「ええ、ギルドが開店した直後は、効率の良い依頼を求めて、冒険者が大量に押しかけてきますね。」
「そう、私はこの依頼を受けるわ。」
「え、もうAランク依頼を受けるのですか!まあ、このモンスターはAランクの中でもわかりやすいので、あなたなら大丈夫でしょうが、モンスターのことについて調べましたか?」
「ええ、このモンスターの資料は故郷にいたころに見たことがあるわ。」
「なら問題ないでしょう。……ところで昨日あなたの試験官をして、あなたに瞬殺されたキザったらしい男が行方不明だそうですが、知りませんか?」
「さあ。」
「わかりました。では無事に帰ってこれるように祈っておきます。」
「ありがとう。」
私は依頼を受注して、ギルドを立ち去って行った。
それにしてもあの男か、どうりで殺そうとしてきたわけだ。プライドを完全粉砕されてその鬱憤を私にぶつけたということか。でも、死ぬとは思ってもいなかっただろうね。私も予想外だ。
寝ているところを襲われたので、寝ぼけてついうっかり、メンテしてベッドの脇に置いておいた氷剣で迎撃しちゃったら、男が砕け散ったよ。
また隠し事が増えちゃった。
こうして少女は、隠し事を増やしていく。それでも、少女は世界を渡り歩き続ける。
「ソーメン生活は嫌っス!」
このネタ、わりと好きです。