第15話 揺れる大地、迫る決着の刻
更新……大変、遅くなり申し訳……ないです……。 作者もうもの書きの限界かも。
誤字脱字の可能性あり、先に誤っておきます。
「本当に、本当に申し訳ありません!」
床に足を着けてただ頭を地面に擦り付けて平謝りするフェイルノートと、ダイチと連れの少女達に呼ばれている少年。
土下座である。
ある国の伝統文化、DOGEZAである。
詳細は忘れたが、その国で頭を下げると言うことは、刀で首を取られても構わない、そんな多大な反省を伝えるものである。
その極地である土下座は、まさしくどこから見ても「申し訳ありません、ぜひこの命をお取りください!」と言っているようにしか見えないほどの潔さが感じられるらしい。
現にその国を観光した外国人がその光景に感動し、その話を母国の人たちにに伝え広め、今やDOGEZAは世界共通の認識となっている。
「はいはい、謝罪はこれくらいでいいでしょう? サーカスの団長さん?」
「ええ、もう頭を上げても構いませんよ、今回はこちらにも落ち度がありますし」
サーカスの団長であるちょっと太ったちょび髭のおじさんは、その気の良さそうな顔の通り、フェイル達を許した。
二人は立ち上がろうとするが、足が痺れたようで、その場にうずくまっていた。
なので、フェイルは私が手を取って立ち上がらせてあげた。ダイチも少女達に両手を引かれながら立ち上がった。
「みんなありがとう」
ダイチがそう言うと、少女達は照れて頰が赤くなった。
ハーレムとか羨ましいんですけど、こんちくしょう。
「しかし異世界に来て、まさか土下座することになるとは思わなかった……」とダイチが呟き声でぼやいたのが聞こえた。
私はそれを聞かなかったことにして、フェイルの方を向く。
「あの、これでは謝罪にならないと思いますので、あの、壊してしまった品物の弁償を……」
童顔の可愛い女の子がびくびくとした表情で言いづらいことを言うのって、こんなにも胸から温かさが溢れるものなのね。
私は鼻血を流しながらそんなことを考えた。
「いえいえ、こちらにも非がありますので弁償は結構ですよ。」
「本当にすみませんでした! ありがとうございます」
話がひと段落したところで、私も話に混ざった。
「ところで、あの天井から吊り下げられている見覚えのない少年は、もしかして……?」
「ええ、あなたの考えている通り、彼がJ・オケアーです」
私が指差した方向を見ると、そこにはまだ15歳になったばかりのようなあどけない顔をした少年が、縛られて天井近くにある支柱から吊り下げられていた。
その少年を逃さないように多重に巻きつけられた縄には、反省中という紙が貼り付けられていた。
子供らしさが残る少年の童顔は、あの獰猛な印象のあるJオケアーとはとても似つかなかった。
「もしやと思っていましたが、彼が使う魔法は……」
「あなたの想像通り、変身魔法ですよ。 詳細は省きますがね、彼は変身魔法の天才ですよ。 けれど、調子に乗って時折、こういうことをやらかすんですよね。」
そう団長は愚痴るように遠い目でぼやいた。
「では、刺された少女が蘇ったのも魔法ですか。」
「いえ、ナイフに細工が仕込まれていて、少女は倒れていたふりをしていたんですよ。 彼女も別室で反省中ですが。」
団長はため息をつくように言った。
そう言うのならば、そういうことにしておきましょうか。
「レキさん、心配かけてすみませんでした、止めようとしてくれていたのに……」
ズゥン
「い、いや、フェイル、実は私も半信半疑で……」
ズゥン
「さて、ダイチ、あなたはもっと修行が必要のようですね」
ズン
「ご、ご勘弁を~! あの厳しい修業はもう二度としたくない~!」
ズン
「さて……これから今夜の演目の準備を」
ドン!
「ん? なんか地面が揺れてないか?」
J・オケアーがその振動に気づくと共に、いきなり人がなだれ込んでくる。 その人は慌てて駆けつけてきたようで、大量の汗をかいていた。
「た、大変です! XX級緊急警報が出されました! XX級モンスターが近づいているそうで、早く逃げないと……!」
慌てている男はまくし立てるように、避難を促すが、団長は落ち着かせるかのように、ひとつ質問を返した。
「落ち着きたまえ、XX級モンスターなら、その名前は告知されているはずだ、そのモンスターの名前は?」
XX級モンスターはその個体数の少なさ、そして最も対処法が異なってくるがゆえに、緊急警報とともにその名前も告知されている。
例えば、RWならば、地下に隠れて過ぎ去るの待つ、地上のものすべてが吹き飛ばされ、周りには危険物が落下していくのだから、逆にGFならばさっさと逃げ出すに限る、追いつかれればすべて燃え尽きる。 でも、それらのモンスターはXX級のなかでも対処がたやすいけれども、CCは、
「CCです! 氷結のCCです!」
私が、そのモンスターのことを考えていたところに、その名前が出てきたのは偶然だろうか、神が定めた必然なのかはわからない。 けれど、それが来た時が私の果たすべき物語のクライマックスなんだろう。
なんとなく私はそう思った。