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氷剣を抱える少女は、異世界を渡り歩く  作者: 無責任豪雪地帯
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第14話 いやいや前提が間違っているんだよ

遅くなって大変申し訳ありません!

スランプに陥っていました、あと二次創作にハマっていました!


誤字脱字の可能性あり、先に誤っておきます。


こうして冷静に考えて見ると、いろいろおかしいところはかなりあった。


目立つところで殺して何の意味があった?

どうして奴の仲間はこんな事態になっても、サーカスを続けようとするのか?

バリアーを張る前に入れるという方法もあっただろうに、奴の仲間はどうして加勢して来ないのか?


(そして最大の問題は、【どうしてみんなそんなに落ち着いる』のか)


普通なら、人が死んだら、その死に恐怖する。

どれだけ冷静になろうが、人が死ぬのを見るいうことは自分の命にいつ死神が来てもおかしくないと認識すること。

どれだけ冷静に努めようと、その性質の恐怖は普通なら隠せるものではない。


(ここにいる誰もかが死を認識していないのでしょうか)


それにはにはいくつかの方法がある。

幻覚、無意識な暗示、認識阻害etc……


(けど、今回はもしかしたら実はものすごく単純なことなのかもしれない。)


その可能性が頭に浮かんだ時、すべての真相は明かされた。


胸を刺されて、倒れ伏した少女が目を覚まして、蘇ったのだ。

否、そもそも死んでいなかった。


倒れていた少女は、ゆっくりと起き上がる。

そして、観客の方をおおげさに見てこう言った。


「神様がよみがえらせてくれました、この大した力も権力もない私を。 だから恩を返したいと思います。 私が殺されたことに憤った彼らに、蘇らせてくれた神様に。」

 

私は恥ずかし過ぎて耳に熱を持ったような感じがした。

きっと他の人が見れば耳が真っ赤になっているだろう。

ずっと違和感があった。

少女が殺されて、どうして観客は平然とした顔で見続けられているのだろうか。

仲間が殺されて、どうして劇団の人は劇を止めないのだろうか。


よく考えてみればわかったはずである。

なにしろ、観客はこれを劇の一部としてとらえていたのだし、劇団の人は死んでいないと分かっていたからとめなかったのだと。


「えーと……これどうしよう……」


一緒に止めに来たはずの、名前も知らない男の人は、所在なさげにしていた。

まあ、当然である。

死んだ!と思って許せないと思って、あの黒いおかしな人を攻撃していたのに、その死んだと思っていた人がよみがえったら、何をすればよいのかわからなくなりますよね。


かくいう私も、どうやってこれを収めようとすればよいのか分からないです。


そんな逡巡を察したのか、少女がなにか魔法を私たちにかけた。

すると、私たちの体はものすごくピカピカと光った。 それはもう派手に。


「これは神の恩恵、とりあえず、その邪悪なる者を吹き飛ばしちゃってください!」


少女はそう叫んだ。

とりあえずやることは決まりました。

最後に名前も知らない男の人と目を合わせる。

その男の人もちょっと戸惑っていたけど、私が目線を向けてやりましょうという圧力を送れば、腹を決めたように目がキリっとなった。


この瞬間邪悪なる男オケアーの運命は決まった。


「え、おい、アイシェン、そのパフはヤバいって。 おーい? あ、あの、名前も知らない君たち、ちょっと加減をお願いできませんか? ……出来ないって感じですね、ゴフゥ」


私たちは何かを口ごもっていた変な体になっている男を向こう側に吹きとばした。

ええ、男の話は聞こえていませんよ。 



***************************************



「茶番は終わったようですね、まったくあの子には手を焼かされます、死なないからって演出のために殺していいというわけじゃないでしょうに。」


「まったく、おかげでフェイルも相当振り回されたようね。」


サーカスは一旦放置で、司会の黒髪の少年・アンパレスと歓談しているレキシア、雑談をしているようにも見える彼らは実はさっきまでこの後のことを話し合っていた。


フェイルを心配して念入りに司会を脅しておいたつもりのレキシア、しかしその表情は冴えない。


(もしも本格的に衝突していたとしたら、ほぼ確実に負ける)


昼から感じていたことだが、黒髪の少年は、実力はほぼ同等と見ている。 この時点で勝てるかどうかは相当怪しい。

そのうえ、あの乱入してきた男の子の連れの子たちと、上でにらみ合っている子たちが来たら、氷剣を使っても数の差で負ける。


(なんとか、事態がおさまってよかった。)


「さて、私は司会に戻りますね、こんなトラブルは二度とごめんですね、あの子は後できつく叱っておきます。」


「私もフェイルにはきつく言っておかないとダメね、後でフェイルと一緒に控室に向かうかもしれない。」


「どうか来てください、私たちもあの子を謝らさせなければなりませんし。」


黒髪の男はそう言って、バリアーを貼った子に何か合図をして、ステージに戻っていった。


「……すみません、レキさん。」


アンパレスと入れ替わりで来たフェイルはそう言うしかないというように、目に見えてわかるほどしょげていた。 


こういう時、17年ちょっとしか生きていない私はどうすればいいのかわからない、けれど、心配したんだからね……フェイル!


私はフェイルに泣きながら抱き着いてこういった。


「無事でよかった。」


フェイルは私の態度に戸惑ったものの、そっと抱き返してきた。

ふわふわな胸が、今はとても心地よかった。


ステージの陰、観客から見えないところで、そんな百合百合が繰り広げられていたとか。



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