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氷剣を抱える少女は、異世界を渡り歩く  作者: 無責任豪雪地帯
12/18

過去編 あるお嬢様の外出

誤字脱字の可能性あり。先に誤っておきます。



六歳 フェイルノート=??????



私は、窓から見える外の景色に憧れた。

そして、自由を求めて羽ばたく鳥のごとく、外に出してと何度も言った。

けれど、周りの人々は私を外に続く扉の向こうに出してくれない。

こっそり抜け出ようとしても、すぐに見つかってしまう。

外に抜け出ようと動こうとすると、必ず止められる。

まるで私の考えていることを、読まれているかのように。

私は、それがとても気持ち悪かった。

なんで、放っておいてくれないの?

毎日見張られているという鬱積感が段々とたまっていった。


その頃の、私の世界は狭く、変化がなくて、とても退屈だった。


ある日、そんな私の世界に変化があった。

私の周りにいる人々は、私が自我を得たころから変化がなかった。

小さい頃は、もっと違う人々がいたような気もするのだが、とにかく私の覚えている限りでは、そのときまで周りの人々の陣容に変化はなかった。

しかし、その日は違った。

白が混じった黒髪の少年という異端の存在がそこにあった。

その変化を誰も口に出さず、誰も急に加わった少年が昔からいたかのように振る舞い、少年を日常の一部として受け入れていた。

私は少年を呼び出し、こう言った。


「あなた、だれ?」


少年は驚いたかのように、飲んでいたお茶を吹き出した。

汚い……。


少年の言うところによると、これは魔法という現象で引き起こされた現象であった。

その魔法の内容は、「自分が昔からの知り合いだったという印象を無意識的に周囲に与える。」というものらしい。

少年は、その魔法を使って盗みをしていたらしいが、なぜかその魔法は私には効かなかったらしい。

変だなーと少年は呟いていたが、むしろ私は納得した。

私は生まれたころから、自分に変な力があるのに気が付いていた。

微弱な電流を引き起こす力。その類いのものを無効化する力。そして……まあそれはともかく、その類いを無効化する力は、間違いなくある。

まあ、それはともかくとして……。


「盗みは、犯罪です!」


少年は非常にパニックった。



********************



「はあはあ……なんとか説得できた……。」


あの後一悶着あった後、私は少年を訴えないことにした。

まあ、この家から何が盗まれても私は構わないから。

このころの私は、愛着なんて言うものが良くわからなかったのかもね。


「それにしても本当にこれで良かったのかい?」

「ええ、一度でいいからこんな退屈なところから出てみたかったの。」


現在、私たちは街中を出歩きしている。

少年の能力で、警備に隙を作り、私はこれまで絶対に出ることができなかった牢獄から抜け出せた。

そして少年の案内で街をめぐっている。

最後は少年の住んでいるところに連れて行ってもらうつもりである。


「そうじゃなくて、僕、盗賊だよ? 自分で言うのもなんだけど、信頼しちゃダメな部類じゃない?」

「信頼? 私、信頼って良くわからないのよね。 これが信頼っていうものかしら? やっぱりよくわかんない。」

「ダメだ、このお嬢様、いつか誘拐されそうで心配だよ……。」


少年は頭を抱えながら、この箱入りお嬢様の将来を憂ている。

しかし、少女はこう返した。


「どんな悪い奴が来たとしても大丈夫。 私きっと強いから。」


そう自信にあふれた言葉をぶつけた。

それは決して過信などではなく、ただ単純にそう思っただけ。

使用人の能力を、チートじみた少年の能力が、自分に通用していない事実を以てそう判断した。


「過信してはダメだ。」


しかし、少年は忠告する。自分だからこそ、言えることがあると判断した。

つい先ほど挫折を味わった自分だからこそ。


「どんなに強い能力を持っていたとしても、それが通用しないときだって、いつかきっとくる。 いや、相手が強くなくても、相性差が人の意地で返されることもある。」


少年は過去の敗北の経験を以てそう言い切った。

特に、この少女は、人の意地というものをよくわかっていない。

彼女の家庭のことについて聞いて、なんとなく感情というものをよく理解していないんだろうなと思った。


「ただそこにいた脇役が、雑魚が、想定外の手段を以て、こちらの裏を突いてくることもある。 物語の話じゃないよ。 僕は現実にそれをやられたことがあるんだ。」


だからこそ強く言い聞かせる。

そういうこともあると。

自分にも少女にも。

どうか伝わってほしいと思いながら。

可能性があるとわかっているのなら、そのあとの対処もできるだろうから。


「うん、わかった!」


その言葉の重みが、伝わっているのか、伝わっていないのかは、まだ誰にもわからない。



*********************



やがて、少年と少女は、街のはずれに来ていた。


「さて、着いたね。」


そこには建物があり、その入り口のところには、「セカン孤児院」と書かれた、木で作られた立て看板があった。

少年が入り口のところに立つと、数名の子供たちが飛び出してきた。


「シナトお兄ちゃん! もうすぐ夕食だよ!」

「おかえり! シナトお兄ちゃん!」


可愛い子供たちだなと、純粋にそう思った。


少々シリアスな話になると思います。

けど、緊迫した展開に過去編を挟むのは一度やってみたかった。

後悔はない!


プラキガチャ、いいやつ来ぬ……。

過去作で神おまゲットした人は、いったいどれだけやり込んでいたんだ……。

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