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氷剣を抱える少女は、異世界を渡り歩く  作者: 無責任豪雪地帯
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第11話 ナイフ投げ殺人()事件

更新がしばらく空いてしまい申し訳ありません!


誤字脱字の可能性があるので、先に誤っておきます。

5つめの演目が終わり、空気が震えるほどテンションが上昇した、客たちの歓声が聞こえてくる。

「ねえねえ、レキさん! さっきの空中ブランコとっても面白かったですね! サプライズもありましたし。」

「ええ、本当にね……。」

さきほどまで、空中ブランコを演じていた少女は、始めは普通に、天井から下ろされたブランコで、天と地を逆転させて日常生活のふりや、ブランコから手を放してジャンプして空中で3回転さらにブランコを蹴り5回転など、実にバリエーション豊かなアクションを行っていた。

その途中で、こちらを見て、ウィンクをしつつ、この空中に浮かぶ座席の端を蹴って、再びブランコに掴まった。

蹴っても揺れるといったことは、ほとんどなく、わずかに振動を感じただけだった。

その時見せた彼女の、悪戯っ娘ぽい笑顔が、印象に残っている。

「綺麗だったね。彼女。」

「え!? レキさんがそんな他人をべた褒めするようなことをするなんて……! もしかして、レキさんの好みの女性って、彼女のようなスポーティな体つきをした人だったんですか!?」

「それはない。」

「良かったです!」

彼女はその豊満な胸を見つめながらそう言っていた。

そういう問題でもないわよ……。


「それでは次の演目は、J・オケアー卿によるナイフ投げ! 卿はあちらにいらっしゃいます!」

舞台を照らしていたライトが一斉に上の浮遊席の方を向く。その席はさっきまで空席であったが、現在そこには、黒い三角帽子を被り、白いピエロマスクを着け、全体的に黒い貴族風の衣装を着ている人物がいた。

その人物は飛び降りながら、舞台にナイフを連続で投げた。

そのナイフは、まず司会の近くの床に刺さった。そして次々となにかの文字を描くように刺さっていく。

「ちょっと、近くない? ……ひいいいい、ナイフが掠った!」

司会はそう叫ぶとわざとらしく怖がって見せた。

そしてピエロマスクの男が地上に足を着けるころには、ナイフはすべて投げ終えたようで、その男は手を胸いっぱいに広げて、これでもかと観客に自分の存在をアピールしている。

わざとらしい茶番もあったが、その登場のインパクトでシンとなっていた観客。

するとある壮年の男が叫んだ。

「星だ! 星の形にナイフが並んでいる!」

確かに星の形にナイフが並んでいた。

観客はそのナイフを正確に刺す腕に驚いたらしく、段々と、驚きと、どよめきが広がっていく。

ついにはみんな拍手をしていた。

「レディースアンドジェントルメン! これだけの拍手をありがとうございます! さて、私の芸はナイフ投げ! それでは上に注目! ハァッ!」

ピエロマスクの男が投げたナイフにつられるようにみんな上を見た。高所にある私達の座席からは前方であるが。


高所に左右から引っ張るように吊りさげられていた木の棒が、ナイフによって二つに分かたれた。


それは、振り子のように落ちていき、その最終点にはスイッチのようなものがあった。

落下の勢いがついた木の棒はそれを思い切り押し、その瞬間大きな音が鳴った。

奥の方から1発、2発、パァンというような音が鳴った。


「みなさん、上に注目!」

司会がそう叫ぶと、みんな上の方を見た。

そこには夜を彩る花火というものが、満面に花開いていた。

「わー、きれい……。」

フェイルがそうつぶやく。

それには私も同感。

きれーい。

連鎖していく仕掛け。

確かこれはピタゴラススイッチとかどこかで言われていたわね。


「みなさん、前座は楽しんでいただけましたか? それでは次の技をお見せしましょう! その立役者は彼女です!」

ピエロマスクの男がそう言うと、スポットライトが左の方を照らした。

「わっ!」

怯えたような声が聞こえた。

そこには、まだ10代になったばかりかという少女がいた。

その少女は縛られていた。

それはもう厳重に椅子に括りつけられていた。

「えーと、誤解してしまわれた人もいらっしゃるようですが、これは拉致監禁とかそういうものではないですよ! アハッハッハハハハ!」

いや、その不審者じみた格好でそんなこといわれても安心できないから。

「次の芸は、動かれてしまうと大変危険ですから、安全のために縛っています!」

へぇ、危険な芸ねぇ。

「それではお願いします!」

彼がそう言うと、少女の上にリンゴが置かれた。

これはッ……! あの伝説のロビンフッドっ……!

「そうですっ! この地方に伝わる伝承をふと耳にしましてね。 ロビンフッドが子供の頭の上にリンゴを置き、それを弓で射抜いたという内容の試練に因み、私は絶対の自信を持つナイフ投げでその試練に挑む勇姿を皆さんに見ていただきたい!」

彼がそう言うと、観客はこれから行われることを理解したのか、ざわざわと騒ぎ始める。

「えー、危険じゃない?」

「あんな子供を危険にさらすなんて……。」

「何言っているんだ、俺たちはそれを見に来たんだろう?」

「でも、危ないし……。」

フーフーと縄で縛られながら涙目になっている、少女の同情を誘うような様子もそれに拍車をかけていた。

「ほら、あの子怖がっているじゃない!?」

「あんた、さっきの不謹慎な言葉を取り消しなよ?」

「俺は何も言っていないんだ! さっきの言葉は俺の中にいるもう一人の俺がry」

観客に困惑と制止の声が広がってきた。

「「「「見たくない! やめろ!」」」」

その声は、観客の一部が発し始め、それに煽られたほかの観客に広がっているようだった。

制止に賛成している雰囲気の客が半分ぐらいだろうか。

すると全体を照らしていた明かりが段々と暗くなっていって、仮面の男と少女に集まるようにスポットライトがその向きを変えた。

その異様な雰囲気になにかを感じたのか観客も静かになる。

「ふっ、ハハハッハハッハハハ! 悪役?大いに結構! 発展に犠牲は付き物! 進む勇気のない者はそこで指をくわえて見ているがいい! これは俺の舞台! 誰にも邪魔されない俺の舞台なのだ! 俺とこの少女だけの舞台! さあ、俺たちの真剣勝負だ! 誰も口を出すな! 俺はやるぞーーーーー!」


そう言って、男は少女のリンゴめがけてナイフを投げ始めた。

そして、観客が気が付いたころには、ひとつ、ふたつ、みっつと、ナイフが刺さっていた。

少女の胸に。


ちょちょちょっと!


「アーハッハッハッハ!」

静まりかえった劇場内で、男の笑い声だけが響き渡った。

現在モンハンダブルクロス攻略中。バイト探し中。更新しばらく空く可能性大です。

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