第10話 さあ、サーカスですよー!
誤字脱字の可能性あり。先に誤っておきます。
「まさか、レキさんと一緒にサーカスを見に行けるとは思っていませんでしたよー!デートに誘ってもらえるなんて……。(棒読み)」
「ポケットに隠していたチケットを見つけるや、素早く私の手に手錠をかけ、そして今も引きずっているあんたが言うことか。」
「ハハハ……サテナンノコトヤラ。」
「まったくもう……。別にこんなことしなくても、誘うことぐらいはしているわよ。」
「え、本当ですか!?さては、ついに私の美貌に惚れましたか!?今夜はベッドインですか!?」
「そんなことあるか!これはデートじゃない!いつものお礼よ!あくまでもお礼よ!」
「そんなー。」
まあ、といった具合に、狩り大会期間中ではあるが、一緒にサーカスを見に行くことになった私とフェイルである。
サーカスは、街の郊外、ちょっと前までは、周りに家があるのに、そこだけが草原になっていて、ぽかんとさびれていた空間であったが、今ではサーカスの派手な色のテントが張られていて、その赤色とライトアップがシナジーしていてとても高揚する場所となっていた。
チケットを、受付の黒髪の平凡な印象の青年に見せると、招待客ですか!と驚かれて、招待客用の眺めが良い席に案内された。
「この席すごいですねー。空中に浮いていますよ。」
「私もびっくりしたわ。こんな魔法を使う人がまだいたなんて……。」
「え、この魔法珍しいんですか?」
「ええ、私の読んだ本では、あまりにも難しい魔法のため、継承する人がいなくなって廃れた魔法と書かれていたから。」
「へえー、ちなみにその魔法なんていう名前なんですか?」
「確か……。」
「物体浮遊付与魔法っていう名前だそうですよ。」
突然後ろから、少年の声が聞こえてきた。
その声は昼間会った少年のものだった。
「あなたは……?」
「彼は、私にサーカスのチケットをくれた人よ。」
「はい、そういえば自己紹介していませんでしたね。僕はアンパレスと言います。本日はよろしくお願いします。」
「アンパレスさん!ありがとうございました。おかげでデートすることができました!あ、私はフェイルノートと言います。よろしくお願いします。」
「ちょっとフェイル!」
「さあ、レキさんも自己紹介!」
「え?でもフェイルさんは女の子ですよね?レキさんも女の子のはずだし……?ええ?リカイフノウ、リカイフノウ。」
フェイルめ―――!変な印象を植え付けちゃったじゃないの!
「わ、私はレキシアです。フェイルの言っていることは全くそんな気はないのでそこのところよろしくお願いします。」
「ええ……わかりました。ところで物体浮遊付与魔法に興味があるのですか?」
彼の目は言っていた。
藪蛇を出すな!と。
先ほどの話はなかったことになったみたいである。
「ええ、珍しい魔法だから、つい興味が出てきてしまって。」
「まあ……、その件に関しては興味を持たれない方がよいですね。使い手が珍しいからこそ、他人にみだりに話すなと本人に言われておりますので。」
「まあ、そうよね。」
「ところで、お客様のお持ちのその剣、かなりの業物ですね。」
「ええ、まあ。」
「……と、このように誰にでも突っ込まれたくないことはあるものですよ。今はサーカスを純粋に楽しんでほしいというのが僕の願いです。」
「わかったわ。」
とちくりと刺さるような警告をした後、少年はいずこかへと消えるように去っていった。
まあ、深入りしない方がよいわね。
「おお……なんか腹黒そうな会話でしたね!まるで腹の中ではなんか別のことを思っているように聞こえました!」
「それがわかっているのなら、黙りなさい。」
「痛いよ!痛いよ!レキちゅわん!」
「こつんと叩いた程度の痛みでバカ言っていないで、サーカスに集中しましょう。デートなんでしょう?」
私がそう言うと、フェイルの顔が赤くなった。真っ赤っかになった。
え、なんか地雷踏んだ!?
「で、デートって言ってもらえるなんて……レキちゅわんもついに私のことが好きになっ……。」
「こ、言葉の綾よ!今のは忘れなさい!」
「ぎゃぁぁあぁ!そ、そこはだめぇぇぇ!」
こ、これはデートじゃないんだからね!勘違いしないでね!
そのあと、ぴくぴくと倒れ伏していたフェイルが起き上がるちょうどその時、サーカスが始まった。
司会役は、軽く化粧をしてはいるが、間違いなく、二たび会った少年だった。
「さあ、ご来場のみなさん!今宵は、めくるめく繰り出される不思議体験を楽しんでいってください!まずはレイアス兄弟の息の合ったコンビネーション!こちらに注目ー!」
テンション下がってきたー。
将来に向けてバイト始めようと思います。
追記
黒髪の少年の名前間違いがありました。
セルイテン→アンパレス
2017/07/06修正しました。