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氷剣を抱える少女は、異世界を渡り歩く  作者: 無責任豪雪地帯
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第1話 ご先祖様ぁぁぁ!

矛盾や誤字があるかもしれません。先に誤っておきます。


 CCが攻めてくる!

 そんな事態になった原因は氷剣にあった。

 氷剣サイクロプス。

 ある家系に言い伝えられている名前である。

 これまでは、剣らしきものが受け継がれていなかったため、その一家の誰もがホラと笑い話にしていた。

 しかし、氷剣は実在していた。


「先祖様……どうしてこんなところに氷剣を隠していたのですか……!?もっとわかりやすいところに隠してくれていれば……!」


 緑髪の頭頂部からアホ毛が一本生えた少女が、ぶつぶつとそれはもう世界の終わりが来たかのように先祖の所業を嘆いていた。

 普段であれば、それを聞いた父親が「先祖様を敬え!」と怒りの拳骨を落としてきていたであろうが、あいにくそこには少女しかいなかった。

 少女の嘆きはkskしていく。


「もう遅いのに……!もうすべて手遅れなのに、どうして今更こんなことが……!」


 少女は、とっくの昔に終わったことの真相が今更判明したことに嘆いていた。

もう終わっていることなのに……!

 全てはその一言に集約される。

 少女は知らなくてもよかったことを今更知ってしまい嘆いている。


「どうして、CCが攻めてきたのか……その真相を誰にも言えるはずがない……!こんなくだらないことだったなんて!」


先祖様……!

先祖様……!

どうして、こんなところに隠したんですかぁ!


 氷剣サイクロプスが封印されていた地下洞窟の中心広場のオブジェ。

 そこには千年経っても劣化しないように構成を強化する魔法が掛けられた紙が貼ってあった。

 そこには敬愛すべきと言い伝えられた先祖様の書置きが残してあった。


『ごめんぴょ!CCから預かっていたこの氷剣生きているうちに返せなかったぴょ!いつかここに来た者よ、この剣を表に出してくれたまえ。CCが来た時に返さないと、怒りのあまりに街一つ滅ぶっぴょ!

いやー大変だったよ。この地下迷宮を作るのも、この封印装置を作るのも!いつか誰かきっと来てくれるだろうし、これで安心して死ねるよ!』


「もう手遅れだったんです……!CCによって大都会エタールは滅んでしまったんです……!」


まさか先祖様もこんなことになるとは思っていなかったでしょうに……!本当に情けない男ども!


 先祖が設定した当主を受け継ぐための試練がかつて存在した。始めは「地下迷宮を突破すること」だったその試練は難しすぎて一回もクリアされることなく、その当時の当主候補を筆頭に、親戚の老害どもが勝手にルールを書き換えてしまった。

 試練は段々条件が歪められて、今では、「地下迷宮に潜ること」という簡単な条件と化していた。

 

老害に無理やり試練のレベルを上げられたのが、功を奏した形ねっ!ここまで来れるレベルの強さがなければ終わっていたわね……!

これで、過去の老害、ひいてはその子孫である現在の老害の権力を弱められる……!ああ、ついにあいつらがざまあされる日がきたわね!

さて、この書置きを持って、さっさとこの洞窟から出て、この事実を世間に公表して……


 そこまで予定を立てたところで少女は気が付いた。詰んでね?

 こちらの先祖達の不手際で、大都会が滅んだ。

 それが世間に、ひいては私の実家にもたらす影響はどのぐらいか。

 そこまで気が回ったところで少女は身震いした。


やばくね?

下手したら……下手しなくても、私の実家没落するぞ?

老害どもを巻き込めるのはスッキリするが、私の将来はどうなる?

世間から、人殺しの家系と後ろ指をさされて生きることになるわね……!


 それは生理的に嫌だと考えた少女。

 ではどうするか?

 少女は、胡坐をかいて、引き抜いた氷剣の光を乱反射してキラキラとした刃面を見つめながら、数十分考え込んだ。

 そして、少女は決心した。


よし、この剣を持って家を出よう。

さいわい、剣のことも、過去の不手際も、誰も知らない。

そして、こんな爆弾抱えている時点で、私の実家はきっといつか滅びるだろう。

それが、一年後なのか、それとも数百年後なのかはだれにもわからない。

けど、火が立った家にいつまでも縋り付いて、破滅するのは嫌!


 そうと決めたら、猪武者のごとき速さで実行に移した少女。

 あれよあれよという間に、少女は実家を放逐されていた。


いくら気に入られていなかったとはいえ、ここまでの早さで物事が流れていくとはね……!


 少女はそのいままでに発揮されたこともなかった老害の手際にすこし見直すも、歓喜している老害を見てすこし哀れに思った。


いくら知らないとは言えど、自分たちが火の立った家に縋り付きながら、歓喜している様子は本当に滑稽ね。


 腹踊りしている豚を見届けながら、暗殺者を送ることを奴らが思い付く前にさっさと立ち去ることにした少女。

 その懐には氷剣サイクロプスが収められていた。


 こうして、氷剣を持った少女は秘密をその胸に抱えて旅に出た。 


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