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朋子と理子

下ネタ短編企画でございます。

皆様にとって聖なる夜が爛れた物になりますように

 とある女子高のグラウンドで、二人の女子高生がベンチに腰掛け体育の授業を見学している。


 学校指定のジャージを着込み、おっとりとした微笑みを絶やさずに見学をしているのは理子。


 同じく学校指定のジャージを着崩して落ち着きが無く、持久走をしているクラスメイトに向かい、しきりに声援を送っているのは朋子。


 幼馴染の二人はこの日偶々生理周期が重なり見学をしているが、朋子としては子供の頃からの付き合いである友人と生理周期が重なる事に多少の気恥ずかしさを覚えながら、それを誤魔化す様に大きな声でクラスメイトに声援を送っていた。


「朋子ちゃん、声が大きいよ。さっきからロケットがこっちを睨んでるよ?」


 理子がロケットとあだ名を付けられている体育教師を小さく指差した。


「む? 生理の女子高生をジロジロ見るとはセクハラ?」


「朋子ちゃんの声が大きいからだよう」


 理子が恥ずかしそうに顔を赤らめる。


「ロケットもお年頃だから、可愛い女子高生に囲まれると不祥事の一つや二つあってもおかしく無いんじゃないかな?」


「不祥事ってどんな?」


「ど、どんなって、色々よ」


「ふぅん」


 言葉を濁す朋子の顔を理子は覗き込む。


「お年頃って言えば、弟ちゃん元気?」


 慌てた朋子は理子の弟の話題に切り替えた。


「んー? 気になる?」


「べ、別に気にならないけどさ」


「弟の方は良くわからないけど、朋子ちゃんの初恋相手は元気だよー」


「もう、その事は言わないでっていつも言ってるじゃない!」


 朋子の初恋相手は理子の父であり、小学生の頃に色々と朋子がやらかした事は家族ぐるみのお笑い草である。


「うちのパパもさ、最近煩くて困っちゃう」


「理子のパパって優しいじゃん?」


 理子は朋子の顔を見てニヘラと笑った。


「最近うるさいのよ“一本抜け”って」


「いっ……」


「……」


 朋子はフリーズした様に動きが固まり、ギシギシと音を立てながら理子に向き直った。

「一本?」


「そ、一本」


 理子は右手の親指と人差し指で輪を作りニッコリと微笑んだ。


「あ、いや、どうなのかなあ? それは、家族が仲が良いのは素敵な事だけど、それはどうなのかなあ」


「朋子ちゃんはお父さんの抜いてあげないの?」


「抜くわけ無いじゃ無い! それはお母さんの仕事であって、私の仕事じゃないし! むしろ私がしてはイケナイ仕事だし!」


 耳まで真っ赤に染め上げた朋子がアタフタと両手を振る。


「お母さんかあ、やっぱり長年抜いて来てるだけあって上手なんでしょうねえ」


「そりゃ、熟練のテクニックってものがあるし、いや、知らないけど! むしろ知りたくないけど!」


「でもね、私も最近テクニックが上達して来て、抜くまでの時間が早くなって来ているのよ」


「それは、お父さんの体調にもよるんじゃ?」


「んー、ここんところ毎晩だしねえ」


「それはまたオープンな家庭で……」


 朋子はモヤモヤと痴態を思い浮かべては、頭から想像を追い出している。


「いやいや! 良くないよ理子ちゃん! 実のお父さんは良くないんじゃないかな! ほら! 理子ちゃんにだって将来があるんだし!」


「私最近自分の適性が解って来たみたいで、将来はそっちの道に進みたいって思っているの!」


「プロですかあ……その道のプロですかあ……」


「だって一日中いじっていたいなって思っちゃう程楽しいんだもん」


「そりゃ、適性あるわぁ……」


 顔を覆ってしゃがみ込む朋子は、それでも諦めずに食い下がる。


「でもね、実のお父さんってどうなのかな? せめて弟とか年齢の差をもう少し詰めるとかで、理子ちゃんの社会復帰を促す原動力になるんじゃないかな?」


「でも、プロになるなら年齢とか関係無く抜く事が出来ないとダメじゃない?」


「え? もうプロ意識が芽生えてる?」


 キラキラと目を輝かせる理子の将来に朋子は不安を募らせる。


「それに弟は最近お年頃だから触らせてくれないし」


「お年頃だから触らせてくれないって、お年頃になる前は触ってたの!?」


「最近は自分でいじってるみたいなの」


「むしろ健全よね」


 朋子はティーン雑誌で仕入れた拙い知識で果敢に理子との会話について行く。


「だからね、お父さんのを抜いているんだけど、抜く瞬間に身体をピクンとさせたりぃ」

「はあ……」


「抜く瞬間に小さく“うっ!”とか声を出すのを聞いてるともう夢中になっちゃうの」


「はい……」


「なんで敬語?」


「理子ちゃんは私の人生の先生だよ……」


 のぼせて熱にうなされた様になった朋子は力無く頷く。


「それでね、こうティッシュの上にある白い物の量が多いと、達成感を感じちゃって身体がゾクゾクするのよ」


「理子ちゃんはティーン雑誌の読者体験コーナーで、武勇伝を語る英傑達の仲間入りを果たしてしまったんだね、英雄物語を夢見る私の様な小物には手の届かない存在になっちゃったんだよ」


 遠くに行った幼馴染を思い、朋子の目尻には涙が光る。


「最近器具にも凝って来ちゃって通販で買っちゃったの。それでね放課後に地学の山田先生で試したいから朋子ちゃん付き合ってくれない?」


「器具って! せめて学生のうちはステゴロで頑張ろうよ! て言うか地学の山田先生ってどれだけ中年好きなのよ! 学校に来てまで蛮勇を振るうのは止めてええええ!」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 放課後の廊下を歩く中年教諭の後を尾行する女子生徒。


 手には抜いた白髪を確認しやすい黒いティッシュと、購入したばかりの毛抜きが握られている。


 最近白髪の目立ち始めた山田教諭を女子生徒が元気に呼び止めた。




「先生! 一本抜かせて下さい!」


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