3話 改造されてます
主人公の身体の秘密か…。
「こんな感じのものですか?」
オレはシンプルにタコの絵を描いた。
ヤーワラカイさんが言ってるカタチはたぶんタコだ。
山の上の人なので海は見たことがないんだろうな。
海を見たことないならたぶんタコも見たことがないんじゃないかな。
「ほうほうほう。上手いものだのぅ。そうそうそう。こんな感じじゃった。いっしょに降ってきた。」
「タコといっしょに降ってきたんですか?」
「うむうむううむ。空に濁った虹の渦があらわれたと思ったらおぬしとこれが落ちてきたんじゃわい。深雪の谷にズザザーっと万年雪を溶かしながら滑っての、かなりの熱を放っていて温泉になっとって湯気がたっとったぞ。まわりが見えなんだわ。良かったのう。助かって。」
「はぁ。」
「まぁ、わしがおぬしを見つけたんではなくての、サスカッチ族の勇者が見つけたんじゃがの。」
「サスカッチ族?」
「今、薬草とりに出とる。後で来るじゃろうから礼は言うておけ。」
「はい。」
そうか。オレはサスカッチ族の勇者さんに助けてもらったのか。
サスカッチって雪男の別名だよな。
「わしからも訪ねたいんじゃが、ええかの?」
「わかることなら。」
「おぬしこそ、どこにおったんじゃ?なんで空から降ってきたんじゃ?」
「そうなんですよね⁈覚えてないんですよ。」
確かにどこにいたんだろう?
夜の9時ぐらいにアパートから自転車で15分ほど離れたオオキストアに自転車を走らせていたことは覚えてる。
山側の道に竹藪があり反対側に大川の水門につながる用水路が通っている三叉路で自転車のライト以外の光源を見た。
用水路の上を浮かんで並走していたんだよな。
そのあと突然光が強くなって…あとどうなったんだっけか?
あれ?
なんか…思い出したぞ。
銀色の肌のラグビーボールみたいな目の小さい人間?
これ、宇宙人の本で見た。
えーと、たしか…リトルグレイってヤツじゃん?
手にもってるヘンな装置はなんだ?
おい、やめろ⁉︎
あぎゃぁー!ずぶずぶと身体に押しこまれてるっていうか埋め込まれてる!
息が苦しい。
「おい、タナカ。タナカ‼︎」
「ぶはぁ!はぁはぁはぁ」
「大丈夫かタナカ。いきなりボーッとして。」
「だ、大丈夫です。」
深呼吸して息を整えようと腕を胸の前で交差させて気がついた。
包帯の下でうっすら光る線がある。
なんだ?
オレは包帯を解いた。
「な、なんだこれは⁉︎」
腕に二箇所、肘から先にタトゥーのようにまっすぐ赤い線が入っていた。
「う、うそだろー!」
跳び起きて全身の包帯を外していく。
なんなん?
オレの身体には光りの巨人ヒーローのようなラインが描かれていた。
・読んでいただきありがとうございます。
・月刊ムーとか読んでましたよ。