第2話 空から降ってきた
主人公が登場します。
いやー、なんだかすごい変な夢をみたなぁ。
空飛ぶ円盤のうえで毛むくじゃらの怪物になって向かってくるタマゴに手足がはえたようなパワードスーツをぶっ叩いたりムチみたいなのでビリビリさせたりして暴れる夢。
タコみたいな隊長機がでてきてピンチになったけど空飛ぶ円盤が崩壊して墜ちたとこで目が覚めた。
妙に臨場感があったな。
「ぐお!」
普通に起きだそうとして全身にすごい痛みがはしる。
なんだ?
なにがおきてるんだ?
というか、なんでぐるぐるに包帯巻かれているんだ、オレ。
事故にでもあったのか?
なんか暗いぞこの部屋。
まわりを見るとぜんぜん見覚えのない天井だった。
よく見たら土壁?っていうか、岩肌か?
なんだろ、洞窟のなかってこんな感じのようなところじゃないかな。
畳というか蓙みたいな植物を編んだようなものの上に寝かされているみたいだぞ。
固いけど土のつめたさは伝わってこない。
なんか、湿布のツンとした匂いがしてくる。
「お、気がついたか?」
声がした方向へ首を向けると、昔ばなしのアニメでみたような石を組み上げたかまどの上に鍋をかけて杓でかき混ぜてる人がこちらを向いた。
入り口から光が入ってきているが逆光で表情は見えない。
「まあ、起き上がるのはまだムリじゃろうな。そのまま横になっとれ。」
鍋になにかの実らしきものをパラパラといれてかき混ぜると、しばらくして湿布のツンとした匂いがすこしおさまって今度はチョコのような甘ったるい匂いがしてきたように思う。
あの鍋の中身は薬かなんかなんだろうか。
「ほうほうほう。よしよしよし。できたできたできた。」
できあがったものを杓ですくって木のお椀に入れて側にくる。
「さてさてさて、気分はどうじゃいな?」
「あだだだ。いってぇ。」
身体を起こそうと努力してみたがちょっと無理でした。
でも手と腕は動かせるみたいだ。
きつめにまかれた包帯のなかでひきつれた痛みを感じたけどもね。
「まあまあまあ、起きんでいい。ほれ。とりあず食べて栄養をつけろ。体力がなけりゃ治るものもなおらんて。」
水色のドロっとしたものが入ったお椀を差し出された。
甘いにおいが鼻にくる。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅ。」
「はっはっは。腹が先に返事をしたな。持てるか?」
オレはお椀と匙を受け取るとひとくち口に入れた。
思ってたよりもうまい。
鍋が空になるまでいただきました。
「ごちそうさまでした。」
「よしよしよし。ではけが人は寝るがよかろう。」
「そのまえにいろいろと教えていただきたいことがあります。」
「うむうむうむ。ここはどこであなたはだれでぼくはどうしてけがをしてここに寝かされてあなたに看病されているんですか?みたいなことじゃな?うむうむうむ。」
「はい。」
「まぁ腹がくちれば自分のおかれた状況を知りたくなるものじゃしな。」
「ええ。」
「よかろう。わしも修行でここ何十年も他人と喋っておらんからのう。ここはヒマラマヤウント。山の上じゃ。」
「聞いたことの山のなまえですねぇ。」
「わしはヤーワラカイ。行者の修業をしておるものじゃ。」
「行者ってなんですか?」
「超能力を身につけつけるために研究し修行しているものかのう。おぬしは名はなんという?」
「田中倉之助です。」
「たなかくらのすけか。ではクラーノと呼ぼうかの。」
「え?ふつうタナカとかクラノスケとかじゃないの?」
「案外細かいとこ気にするのう。おぬしはクラーノじゃ。クラーノじゃ。」
「まいいですけど、話を続けてください。」
「よいか、タナカよ。おぬしは空から降ってきた。」
「はい?」
「だから、空から降ってきたんじゃ。」
「え?」
「なんじゃ、耳が悪いのか?おぬしは空から降ってきたんじゃよ。」
「えーーー!?」
「こっちが「えーーーー!?」じゃわい。わしも長いこと生きとるが、空から降ってきた男をみたのはおぬしがはじめてじゃ。」
「いやいやいや、普通はありえないでしょ。空から降ってきたって。着地とかどうすんですか?おさげのヒロインじゃあるまし死んじゃうでしょ、ふつう。」
「じゃがおぬしは生きとる。いま飯も食った。けがで痛みも感じとろうが。生きとる証拠じゃ。」
「ま、まぁそういわれたら生きてますけども。」
「で、空から降ってきた。変な乗り物といっしょに。」
「へんな乗り物?」
「おぬしの乗り物ではないのか?」
「どんな乗り物なんですか?」
「まるい透明な瓶みたいなモノが上に乗ってて木の根っこみたいな足が8本生えてる奇妙な乗り物じゃ。」
「ひょっとして・・・。」
オレは匙を持ち替えて柄の部分で床のやわらかそうな土のうえに図を描いた。
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