初戦闘
鬱蒼と生い茂る木々。
異世界に来て初めて見たのは日差しが全くといってさしてこない森だった。
「暗いなぁ・・・」
とりあえずは状況確認と思って自身とその周りを見てみる。
髪色は分からないが髪型は感じが良いように切りそろえられている。
前世と一緒だ!
周りはというと木々以外に見えるものは特にない。
「参ったなぁ・・・人のいる所に行きたいけど・・・どっちだろうなぁ・・・」
森に響く唸り声。
静かだからか余計に響く。
余談だ悠生が転生した世界ノアは全世界の終末に備え全世界の全種族をこの世界に神がぶちこんだのが起源とされている世界だ。
そしてその種族達は激しい生存競争を繰り広げ現在は
魔法が生活の中心を担っている。
この世界には人間だけではなくエルフといった異種族も存在し魔物といわれる怪物も存在している。
だから当然悠生の唸り声は森に住む魔物達には聞こえているわけで
いつの間にか魔物が悠生の近くへと近づいていたのであった。
「ん?何か嫌な感じ?」
ふと気づく悠生。
悠生が感じたのは気配と言われる類のものだった。
笑気、怒気、殺気何であれ動物は気というものを発している。
それを感じ取ったのだ。
悠生の目前に現れたのは狼が四匹。
黒い毛の狼だ。
「貰った能力ためしてみようかな」
悠生が神から授かった能力は「還元」
あらゆるものを還元する能力だ。
グルルルルル・・・
悠生が出した唸り声とはまた別の唸り声をあげる狼達。
戦闘態勢ばっちしのようだ。
悠生も構えを取る。
先に動き出したのは狼達だった。
二匹が正面からもう二匹は視界の裏に回り込むように動き出したようだ。
正面囮でもう一方は視界から消え隙を伺い殺しに来るようだ。
丸腰相手でも気を抜かない。
野生の動物にしては理性を感じさせる戦い方だった。
そして只でやられる悠生ではない。
まずは正面二匹の対処をする。
完璧に同時にとびかかってきた二匹に姿勢を低くしラリアットをお見舞いする。
空中にいた二匹は避けられずに直撃する。が攻撃後の隙を窺っていた二匹が
後方から襲い掛かる。一匹が突進もう一匹が悠生が倒れたところを首に噛みつく算段のようだ。
狼達の計画通り悠生に突進もとい体当たりを喰らわすことができた。
悠生はよろけ倒れた。
そしてもう一匹が狼に噛みつかれるかのように思われたが。
突如噛みつこうとしていた狼に優勢に体当たりをした狼がぶつかってきた。
「なるほどなぁ・・・便利じゃんこれ。」
狼が仲間である筈の狼にぶつかった理由。
それは悠生が狼に還元したダメージにある。
狼が悠生にしたのは体当たり。
それも人ひとりが倒れるような威力の体当たり。
そのようなダメージを狼に還元したのだ。
人より小柄な狼は悠生の良いように仲間の元へ吹っ飛ばされたのだ。
「さてと・・・もっと研究しよっか」
この程度のダメージは屁でもないというように四匹が再び起き上がり態勢を立て直していた。
それを見て悠生は自分の能力を今ここで試せることと食糧ゲットに安堵するのだった。