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神様の居ない世界  作者: 御神楽しおん
世界少年編
1/11

何でもない世界

俺の名前は「世界(せかい)」。

名前負けなんて生きてきて17年、名乗る時に胸を張れたのは小学生までのふつーの高校生である。


神様が居ない世界。

そんな物を考えた事が有るだろうか。

人間、何の神とか関係なく、祈った事が有る筈だ。


例えば学校怠いしもっと寝たいから時間を止めてくれ、だとか、今相手に言った事を言わなかったことにしてくれ、無かったことにならねーかな。とか。


人間の世界では、そんな何でもかんでも思った事を神様に祈るのは習慣のように普通の事だ。


現に俺だって、好きになった子に告白した時にフラれて、『今までの人生やり直したいですよー』なんつって、神様に願ったりもしたもんだ。


だけど、そんな勝手に祈り続ける人間の、


『望み』


だのなんだのに神様はこたえすぎた。


キセキだとか、神のお陰だ、とか。


そういう物が全て神が人間にしてくれた事だったとする。

見返りの何もない神が暴走する、何て事を人間は信じたりもしないで。


人は祈り続けた。

神は叶え続けた。


結果、神様ってのは壊れてしまったのだ、4つに分かれると言う方法で。


この俺が居る世界は3つの神様がようやく神の使いである天使によって正された世界だ。


一つの神は眠りにつき、一つの神は何者かに封印され、一つの神は何らかの力により消え去って。


かつてこの地球という球体の世界を、神は襲ってきた。

無限に作られる天使の形をした悪魔が黒い群れを成して地上を荒らした。


人間はただ何も出来ず、空を見上げてぽかんと、聖なる者である味方の白い天使と、元は聖なる者だった黒い天使二者との戦いを眺めていた。


学校の授業で小さく載った戦いが、今から何年前の事なのか、いつの神様の事なのかは、眠たくなるくらい俺の興味を外れていた。


詳しく言っても覚えてもいない。

人間は都合が良いもんだと、欠伸をしながら思った事だけは強く覚えている。


誰が人間に、神を封じたとか、討ったとか、眠らせただとか今のこの時代に伝えてきたなんて知らない。

知らなかった所で、生きていくのに何も支障もない。


大昔にそんな事があった地球では、残った神様の一体がどうしてるなんて考えなくなった。


それでも神がいるならば、と、人は祈り、願わずにはいられないのだ。


今日も世界中が平和でありますようにとか、ただ単に明日晴れますよーにーとか。


あーした天気になーれ、何て言いながら、靴を空に放ったのは俺の子供の頃の話。


俺はそんな途方も無い事なんて普段は考えたりはしてない。

ただ今日も朝が来たな、さっさと制服に着替えて、両親が不在の家で2人暮らしをしている大切な双子の妹の待つリビングに行かなきゃな、などとぼーっと着替えてから思ってただけだ。


二階からの階段を降り、大あくびをして、妹の焼いた焦げたパンを受け取る。

失敗しちゃったと渡された朝ごはん。

妹は今日も可愛い。

同じ学校の女子制服を着ている。


テレビでは、つまらないニュースが流れている。

最近日常化していた「天使の墜落」についてだった。

俺には何にも関係のない、ただの日常ニュース。


焦げたパンと、失敗したであろう卵焼きを見て笑って妹と話していた。

渡されたコーヒーを飲むと激甘だった。

入れすぎたのか砂糖。とか言いながら、妹の頭にチョップをかました。

平和だ。


こうしている時、俺は思うのだ。

残った一体の神様は、必死こいて俺たちの世界を守ってるんだと。


そんな幸せが、その次の瞬間に崩れるなんて事も考えないで。

だってそうやって毎日を生きてきたんだから。


強い光が不意に窓を貫いて、爆発する。


そして今まで平凡だった毎日が消えていく。

あー神様、俺たちのつまらない願いは、本当にそんなにつまらないものでしたか…?


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