3 Dr.side
4月2日、 研修初日。
朝7時に病院の駐車場に集合した僕たちは、バスで研修施設に向かっている。
速水は後ろから2番目の窓側に座っていて、その横に同じ病棟の美智香ちゃんが座っていた。
だが、速水は出発早々寝てしまい、一人で退屈そうにしていた美智香ちゃんを僕が空いていた隣の席に呼んだくにとから、今現在、僕周りは女の子たちで華やいでいる。
数少ない男性看護師たちからは、嫉妬と不満の視線を送られているが…。
もうすぐ到着といった頃に、爆睡していた速水が目を覚ました。そして、いつの間にか僕の隣から速水の隣に戻っていた美智香ちゃんに、
「ふぁ〜、おはよー」
と、あくびまじりに言っている。
移動中の会話で美智香ちゃんと速水が同じ学校の出身だと知った。本当はもっと、速水のことについて聞きたかったが、女の子たちが集まって来たことで、美智香ちゃんは速水の隣に戻り、僕は女の子たちから質問攻めにされたので、それしか聞くことができなかった。
研修の間や休憩中も女の子たちに囲まれていた僕は、速水とも美智香ちゃんともコンタクトを取ることが出来なかった。
夜、お風呂からあがった僕は研修施設のロビーにいた。何となくソファーに座って、何となくテレビをながめていた。
するとそこに、ジャージ姿の速水が通りかかった。
お風呂あがりなのか、束ねていた髪を下ろして、メガネを掛けている。ジャージは、女の子が好きそうな可愛い系のじゃなくて、バリバリスポーツしてますってかんじのやつだ。
一瞬迷ったが、僕は速水に声をかけた。
「速水さん」
驚いた様に振り向いて、僕を見る。
「えっとー…」
「嫌だな、同じ病棟なのに、忘れないでよ」
笑いながらそう言うと、?を浮かべた顔で、
「 ? 3病棟の新人は、私と美智香だけだったと思うんですけど…」
「呼吸器科の清水です」
僕がそう言うと、しまったと言う顔をして、
「あっ、ごめんなさい。私、人の顔覚えるのが苦手で…」
「ふーん、こんなイケメンなかなかいないからすぐに覚えられると思うけど?」
「…まぁー、確かに清水先生はイケメンですね…で、私に何か用事ですか?」
「別に、用事とかじゃないけど、こんな時間に一人でどこに行くのかな?って、思ってね」
「あー、いや、せっかく山の中にいるんだから星を見に行こうかなーと、」
「一人で?」
「はい。美智香はもう寝ちゃったので」
「じゃあさ、僕も一緒にいい?」
「いいですけど…」
「それじゃ、行こう」
そう、言って僕は歩きだした。




