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食事も終わり無卯と別れた鷹は今度こそ完全に手持ちぶさたになる。

鷹はフラフラと廊下を歩きながら次に何をしようかと考えている。

ちょうどいいのでここでこの地下都市の詳しい話をしようと思う。

この地下都市の大体の大きさは床面積約二千キロ、高さ五十メートルのブロックとそれよりも小さいもう一つのブロックによって構成されている。

単純に後者が作戦区。前者が生活区画だ。

生活区画は前述した通りにきちんと目的ごとに区分けされている。

農作物を育てるのは農業区。人がすむのは居住区。物の売買をする商業区。

完全に目的で分けられているここは生物的というより機械的と言った方が正しいかもしれない。

今鷹が歩いているのは作戦区だ。

一番地上に近い場所に作られていて、この地下空間で一番重要な場所。ここが潰されればこの地下都市に住むすべての人間が即座にではないにしろ滅んでいくことになる。

言ってしまえばここはこの地下都市の心臓であり、脳であるわけだ。

ここには軍人も少なからずいる。昔と今では軍人の仕事は百八十度違う。

昔の軍人の仕事と言えば全線での銃火器をしようした戦闘だろう。

だが、今の軍人は決して前線には出ずにデスクワークが主だ。

何故なら銃火器を持って少し訓練した程度の軍人が百人いたとしても異能者一人よりも成果が少ないからだ。

そんな理由もあり今は軍人よりも第一世代の方が実質的な階級は高かったりする。

現に鷹とすれ違う軍人は皆一様に敬礼をしていく。これには異能者云々以外にも理由があるのだが今は割愛させていただく。

「あ〜、ここ歩いてれば誰かしら捕まえられると踏んだんだが・・・失敗だったか」

鷹は自分の後頭部をガリガリとかきながらボヤく。

「寝るか。月でもないがやることもないしな」

鷹は自分の部屋に向けて歩き出、

「お、鷹か。ちょうどよかった。探してたんだ」

せなかった。

歩き出そうとした瞬間に後ろから声をかけられたので鷹はつんのめった。

鷹が嫌そうな顔をしながら振り向く。

「空気読めよ真金」

「そんな嫌そうな顔をするなよ」

「お前が俺を探してるときは大体面倒事の種を持ってるよな」

真金は基本的に仕事と私事を完全に分けるタイプだ。

だから、今のようにフランクに話しかけてきたときは仕事以外の面倒事を持ってきている。

「ちょっと頼みがあるんだ」

「やっぱりな・・・」

「少し商業区の見回りをしてくれないか?」

鷹が嫌そうな顔をしているのに真金は構わず続ける。鷹の顔色を見ないで会話するのはこの地下で二人しかいない。

その後、真金は最近商業区の治安が悪いことを鷹に言って聞かせた。

曰く、暴行や強盗が横行しているらしい。

こんな世紀末な世界だってのに人間は変わらない。いや、変われないのだ。

「わかったよ。どうせ暇だったしな」

「助かる。それじゃ、頼んだぞ」

「頼まれたぜ」

鷹は真金と別れると商業区へと向かう。

その足取りはなにもすることがないから部屋で寝ようと考えて部屋に戻るときよりも幾分軽いように見えた。

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