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鷹は部屋から閉め出されて部屋の方に歩きながら手持ちぶさたに何すっかなぁなんて考えている。

すると、廊下のほうから見知った少女が泣きながら走ってきた。見知ったどころかついさっき別れたばかりである肩に逆巻く炎のタトゥーが入っている少女だ。

少女は鷹に抱きついてきた。少女の身長は鷹よりも頭一個分低い。なので、ちょうど鷹の胸に飛び込んできたかたちになる。

「どうした、無卯? 怖くないからお兄さんに言ってみなさい」

ここに来てやっと鷹が少女の名前を呼んだ。

火向(ひむかい) 無卯(むう)。それが少女の名前である。

鷹が優しく無卯に声をかけるが、無卯は無言で首を振るばかりである。

何があったのだろうか?

鷹が首をかしげていると今無卯が走ってきた廊下から夕菜が小走りに駆けてきた。

鷹は全てを悟った。元凶はこいつだと。

「あら? 鷹、奇遇ですね」

「奇遇とかはどうでも良いから。お前無卯に何したの?」

鷹が聞くと夕菜は軽く微笑みながら答えた。

「何と言われても・・・。可愛がってただけですけど?」

鷹はため息をついた。

夕菜は第一世代のことを自分の子供のように思って可愛がっている。

確かに第一世代は鷹たちにとって子供のようなものだが、鷹はここまで酷くない。

鷹は無卯の頭を撫でながら、

「夕菜、お前帰れ」

「お断りです」

「なら、指令室に月がいるから月を可愛がってきなさい」

夕菜は指令室に月が、の辺りからもう走り出していていなかった。

「月? もう怖い人はいなくなったぞ。顔を上げなさいな」

「・・・ホントに?」

「ホントに」

「・・・嘘じゃない?」

「嘘じゃない」

鷹がそう言うと無卯は恐る恐る後ろを振り向いた。そこに誰もいないのを確認して無卯はホッとため息をついた。

「・・・お父さんありがとう」

「はいはい。わかったから部屋に戻りなさい。ちゃんと部屋の鍵はかけろよ?」

鷹は部屋に戻るように促すが無卯は一向に離れようとしない。

「え〜と、無卯?」

「お父さんの部屋につれてってください」

「何で?」

「だって・・・。お母さんは部屋に鍵かけても問答無用で入ってくるし・・・。寂しいし」

鷹は捨てられた子犬のような無卯をみて、諦めた。

「わかった。んじゃ俺の部屋にいこうな?」

そういう鷹に無卯は両手を広げた。

「おんぶ」

「はいはい」

鷹は大きくなってもガキはガキだな。なんてことを思いながら無卯をおんぶし、部屋に向かった。


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