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参拾肆

その後も何人かとあったが特に書き記すほどの事でもないので割愛。一言だけ書くとしたら今鷹の後ろには六人ほど人がいる。これだけで大体理解していただけるだろう。

司令部の入り口ドアを開けると中はいつも通りドンヨリしていた。

さて、真金はどこにいるのだろうか。

「よ、やっと来たか・・・ってどんだけ人連れて来てんだよ」

「連れてきてない。勝手についてきただけだ。俺は悪くない」

奥から出てきた真金は鷹の姿を見て苦笑を浮かべた。鷹としては特に問題があるという認識をしていない。

それでも一応自分に非がないことぐらいは主張しておくべきだろう。

「それもお前の人望だろ。誰も悪いとは言ってないぞ」

真金は悪びれもせずにそう言うが、さっきまでの真金の視線には明らかに迷惑だと書いてあった。それを読み取ったからこその主張だった。

「それで、用はなんだ? お前がここに理由もなく来るわけないだろ」

「昨日の報告しようと思ったんだが・・・人が多すぎる」

自分の後ろを振り替えってため息をつく。

それ連れてきたのお前だろ。端的に自業自得。

「別に聞かれても良いだろ。寧ろ、前線で戦っているそいつらには聞く権利があると思うしな」

「わかったよ」

そこから鷹は口頭で昨日の出来事の、ブリュキエルを人にしたときの状況を説明した。自分の考察も多少交えながらだが、基本的には客観的視点からの話し方を心がけた。

鷹の話が終わる頃にはその場は静寂に包まれていた。

「一つ聞いて良いか?」

「あぁ、どうぞ」

真金が軽く挙手をし、鷹がそれに応じる。

「何でそれをもっと前から実行しなかったんだ?」

その疑問も最もだ。鷹がいうにはこの実験は大分前から考えていたことらしい。それを実行に移したのが何故今回だったのか。何故ブリュキエルだったのか。

その疑問に対する鷹の回答は一番鷹らしいものだった。

「人間にして付き合っていけそうなやつがいなかった。というか弱いやつは要らん」

それを聞いた真金は頭痛を押さえるようにこめかみを揉みだす。

「はぁ、お前らしくて安心したよ。・・・なら話の争点を変えよう。ブリュキエル・・・だったか? の処遇についてだ」

そう。鷹が今日ここに来たのはその話を論じるためでもある。

鷹がブリュキエルを常に側に置いて監視すると言って終われば簡単だろう。だが、そう上手くはいかないものだ。ブリュキエルは戦闘能力も元天使ということで高い。そんな戦力を寝かしていられるほど今の人類には余裕がない。

「一先ずは俺か夕菜の近くにつけりゃ良いだろ。それなら万が一の場合でも抑えられるし」

「とりあえずはそれしかないのか」

鷹の提案に渋々と言ったようすで真金が頷いた。

「そして、もう一つ。そいつには十中八九適正がある。どんなタトゥーをいれるかだな」

「あ、それは決めてあるから問題ない。もう大分前から造ってあったしな」

「・・・そんな報告受けてないぞ」

「だって言ってないし」

そこから鷹は自分が考えて造っていたタトゥーのことを真金に話した。

真金の表情は最初こそ冗談半分に聞いていたが、話が終わる頃には真剣そのものの表情で腕を組み、思案していた。

「可能なのか?」

「知らん。でも使えんのはブリュキエルだけだと思う。人間には文字通り荷が重すぎる。キャパシティが足りない」

鷹の話したものは計画としてはぶっとんだものだった。だが、これを実践で使えたら面白いことになりそうだ。

「俺の話したいことは話した。あとはそっちで考えろ」

鷹は資料を真金に放り投げると踵を返し、司令部から出ていってしまった。その後を慌ててブリュキエルが追っていった。

取り残された人間は三々五々に散っていった。

司令部に残された真金は手元の資料を机に放ると、机の上にあったもう一つの資料に目を落とす。

資料は数名の子供の顔写真と個人情報の入ったものだった。


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