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参拾壱

何ヶ月ぶりでしょうか?

よく覚えてません

まだストックがあったのでちょっとずつ投下しようと思います

気が向けば続き書き出すかもしれません


……夏休みですし

素晴らしい朝が来た。希望の朝だ。

何てことは全くなく、実に下らなく代わり映えのしない朝がやって来た。

朝目が覚めたら目の前に美少女の寝顔があったら、君はどうする? そんな男の理想の極致にでもいるような状況の鷹は状況が飲み込めなかったので二度寝しようとする。

そのこの世で一番強い誘惑を振り払ったのは聞きなれた少女の声だった。

「おおお、お父さん!! 何やってるんですか!?」

「見てわからないんですか? 寝ているんです」

娘の襲来で多少眠気が晴れたとはいえ、まだまだ眠い。正直布団から出る気にはなれない。布団の魔力というものはそれほどまでに耽美で人を堕落させる。ぶっちゃけ鷹が力を振るうより布団を敷いていた方が世界は平和になる気すらする。

そんなことを何故か怒りでプルプルと震えている無卯の前で思考する。鷹なりのある種の現実逃避なのかもしれない。そこまで頭が回っていないかもしれない。

「寝てる!? それはどういう意味ですか?」

「ん〜? 無卯は何を勘違いしてるんだ? お父さんにわかるように説明してくれないか?」

聞かれた無卯は赤面する。一瞬鷹がセクハラを働いているんじゃないかと思った。が、その思考は検討する必要もなく捨てられた。

無卯は自分が鷹に愛されているということを理解していたし、鷹はそういう下世話な真似をしない。そして、何よりも鷹の目はまだ半分寝ていてまともに頭が思考しているようには見えなかった。思ったことを何となく口に出しているだけだろう。

「ち、違うならいいんです。私が聞きたいのは別のことです。なぜ、お父さんが私の知らない女性と同じベッドで寝ているんですか? その人は誰なんですか?」

「く〜・・・」

無卯の思考時間が長かったせいか、鷹は夢の世界にトリップしてしまっている。

「お父さん!! 起きてください!!」

「・・・何ですか?」

声をあげる無卯。無卯の声に反応したのは夢の海を漂っていたであろう鷹ではなく、その横で寝ていたブリュキエルだった。

ブリュキエルは不機嫌そうな眼差しを隠そうともしない。はじめての睡眠を妨害されたので機嫌がいいはずもない。

無卯とブリュキエルは一瞬だけ相手の姿に既視感を覚えた

「・・・あなた誰ですか?」

「それはこっちの台詞です!!」

不機嫌そうな眼差しのまま無卯に問いかける。それに対して無卯は声を張り上げる。

二人の視線が交差し、その間ではバチバチと火花が散っている。

「す〜・・・」

そんな険悪で一触即発のムードの中でも寝息をたてていられる鷹は本当に大物なのだろう。

「私はお父さんの娘です」

その空気を破って先に発言したのは無卯だ。先に口を開くことによって会話の主導権を握ろうとしたのだろう。

「私はあなたのお父さんの・・・何でしょうか? ん〜・・・愛人?」

「愛人!?」

なんと答えられても驚かないようにしていたのに声をあげてしまった。

いや、さすがに愛人はパンチとしては重すぎる。というか前提として鷹は結婚していなかった気がする。

「あああ、愛人ってなんですかぁ!!」

「愛人は愛人ですよ。それ以上の意味なんてないです」

盛大にキョドる無卯に対するブリュキエルの対応は淡々としている。

ブリュキエルの頭の中では戦って友情を確認した→普通の友人よりは仲がいい→だが、親友というほど相手のことを知っているか?→友人と親友の間→愛人?

という方程式がたっていた。どう考えても暴論だ。話に筋道が通っていない。だが、それを指摘してくれる人はいなかった。口に出してもいない情報を読み取れる人間もいなかった。

無卯はキョドるあまり左肩にあるタトゥーから力が漏れ出していた。その力は無卯炎になると左手を包み込む。無卯はその事に気づいてすらいない。

それを見たブリュキエルはベッドから抜け出て立ち上がると、小さめのナイフを手元に作り出した。それは天使の潜在能力である光を操る力で作ったものだった。

「・・・あなた人間ですか?」

「人間ですよ。今はね」

無卯は神経をはりつめ、筋肉に緩く力を入れ、いつでも戦闘を行えるようにした。ブリュキエルはそれを見てもナイフを緩く握って構えるだけだ。

鷹の部屋に爆発寸前の空気が漂う。少しでも衝撃を与えれば爆発してしまいそうだ。

「・・・もう一度だけ質問します。あなたは天使ですか? 返答如何ではあなたを殺します」

「あなたごときが私を殺すと? 昨日あんなに無様な姿をさらしておきながらですか?」

ブリュキエルはさっきの既視感の正体に気づいていた。既視感の正体を言われた無卯はブリュキエルが昨日の熾天使だったことにようやく気づいた。

そこからの行動は素早かった。それほど遠くもない距離を一瞬でつめて、炎を纏わせた拳でブリュキエルの顔面を狙った。ブリュキエルはそれに反応してナイフで無卯の首を掻き切ろうとする。

「人が寝てる横で殺気なんて出さんでくれよ」

それを止めたのは鷹だ。これでも常に最前線で戦っている最強だ。隣で殺気を撒き散らされては寝れるはずもない。

ブリュキエルの首にギリギリ触れるか触れないかぐらいの距離で劔をあて、無卯の拳をつかんでいる。

無卯もブリュキエルも相手を排除しようと気を払っていた。だというのに動いたことに気づかせてすらもらえなかった。そのことで毒気を抜かれたのか二人とも殺気を納めている。

「止まったな? なら良し」

劔を消し、拳から手を離すと鷹はため息をつく。

「喧嘩すんなら場所考えてくれよ?」

二人のおでこを手の甲でコツンと叩くとあくびをしながら部屋から出ていってしまった。

二人は相手の方をちらりと見て確認する。その後、どちらからともなく頭を下げた。

頭を上げると鷹の後を追いかける。互いに相手を視線で牽制しながら。


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