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弐拾弐

夕菜が部屋で一人本を読んでいると部屋が軽く揺れた。その揺れは地震などのような自然発生したものではなく人為的なもののように感じた。その揺れはさほど大きくはないが続いている。

「何でしょうか? 誰かが戦闘でもしてるのでしょうか?」

疑問を口にするが答えが降って沸いてくるわけでもない。

思考を中断して本に視線を落とすと、すぐに机の隅に置いていた端末から軽快な音楽が流れ出す。

「はい、何でしょうか?」

「夕菜、今すぐに司令部に来てくれ」

電話から聞こえてきた野太い声は真金だろう。

「何故ですか? 私読みたい本があるのですが」

「来ればわかる」

夕菜の質問に簡素な答えを返すと真金は通話を切った。

普段の真金ならこんな礼を失したような真似は絶対にしない。そんな真金がこんなことをしてきた。

それだけで夕菜が司令部に向かうには十分すぎる理由だった。

部屋を出るとすぐに無卯と鉢合わせした。無卯の顔にも夕菜と同じような疑問が浮かんでいる。

「無卯も真金さんに呼ばれたんですか?」

「はい。真金さんらしくもなく慌てていたようだったので急いだ方がいいかなと」

「そうですね。急ぎましょうか」

二人は小走りに司令部に向かう。

司令部に入るとこの地下都市にいる重鎮がほぼ揃っていた。

その顔ぶれに二人は軽く圧倒されていた。異能者すら全員揃っている。この都市にいる異能者が一同に会すのなんてキレた鷹を止めるときぐらいのことだろう。

奥の席に座っていた真金は全員が揃ったことを確認すると、立ち上がり口を開く。

「急な呼び出しすまなかった。だが、今回はそれほどに急を要することだったと理解してほしい」

そう言って真金は頭を下げる。

「前置きは良いから集めた理由を早く話せよ」

少年が態度悪く机に足をあげた状態で言う。

真金は顔をあげると何かのリモコンを手に取った。

「それではこれを見てほしい」

真金が手元のリモコンを操作するとスクリーンに映像が映る。その映像は地上を映しているようで青空が見える。

だが、司令部に集められた全員はそこに映った映像を見た瞬間に動きを止めた。

そこには六対十二枚の翼を持った天使と光輝く劔を振るう一人の男が映し出されていた。


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