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*第十五話 喧騒

『だ・・誰?』


『俺・だよ、悪いか?』俺は笑う。『小手川くる。』

『な!?』

『あと・・・簗瀬千賀子。お前らのせいで“俺”が出てくる羽目になっただろうが。』

『どういうことよ!』小手川が尋ねた。

『あ〜、あと、門・・・なんとか桃太郎とマロンパイだっけか?』

『誰だ?』桃太が訊いた。『真衣さんじゃネェだろ?』

『何度も言わせんな。俺は“今”は真衣の兄貴さ。それよりもさ、軽々しく呼ぶなよな。真衣のことを下の名前で。呼んでいいのはこのクラスでは依頼人クライアントの新堂夾だけだぜ?』

『真衣さんは何処へ行った?』麻呂が俺を睨みつけた。

『お前らが虐めたからな。暫く出てこないよ。ところでさ、俺・オマエラ殺しちゃってもいい?』


俺は―――指を刺す。『そこにいるさ。小手川くる、大友真利、簗瀬千賀子、麻呂太一、桃太郎くんたち。』

『ちょっ・・・なんであたしが入ってんだよ。』

『なんでだよ!オマエに俺たちが何した?』麻呂が俺の胸倉を掴んだ。

『可笑しいな?四日前、小手川くる、大友真利、簗瀬千賀子、麻呂太一、桃太郎の以上五名が、偶然月馬ヶ丘高級ショップで新堂夾と、俺・七瀬徹まいと出会い、カラオケボックス“歌姫(ウタヒメ)”神楽坂店にて、歌を歌った事実に虚偽はないはずだが。』

『カラオケボックス?それがどうした?関係ないだろ?今の話と』

『それがな、関係あるんだよ、麻呂太一くん。』俺は言った。『まぁ、別にカラオケいった行為自体は確かに問題ないんだが・・・』

『はぁ?俺たちがお前たちに何をしたって言ってるんだよ?俺は真衣さんに何も危害を加えてないんだし、“七瀬徹”だか兄貴だか知らねぇが、おまえとは初対面だ』

『別に真衣に危害を加えたからという理由だけで怒ってるわけじゃないんだけどな〜。俺。いまさっき君たちが言ってた暴言は別だけどね。でも、それはクラスメイト全員でしょ?俺が言っているのはね。カラオケの後、お前たちがクラスメイト達に送ったメ―ルのことなんだけど?』麻呂の手を振り払う。『わかる?』

そして、一呼吸おく。『新堂夾に対する中傷チェインメ―ル、そして、俺の妹である七瀬真衣に対する今の暴言の数々が赦せねぇって言ってんだ。勿論、君たち五人だけじゃなくて暴言吐いたクラスメイト全員に制裁は加えるけどね

でもさ、その前に新堂夾に対する中傷チェインメ―ルについて聞きたいんだけど。クラスメイト全員に送った。彼は何をした?君たちに。』

俺の声が静寂の中に響いた。


セイサイダ―――


『なんで知ってるんだ?そんなこと』不意に麻呂の声が聞こえた。『確かに、別に新堂夾に対する中傷メ―ルをチェ―ンでクラス全体に回した。ナンデ知ってるかしらないが別にいいだろ?俺、あいつのこと嫌いなんだから。』

『新堂が嫌い?真衣が来るまでそうは見えなかったぜ、全く。真衣がべっとりしてた新堂がうざかっただけだろ?で、新堂夾が障害らしき物を患っていると四日前カラオケボックスで知り、それをネタにクラス全体で新堂夾を虐めようとお前はたくらんだ。』

『な?!』

『間違ってないだろ?』俺は囲んでいるクラスメイト達を見回す。『それともまだ言い訳があるのかな?』

『!!!!!』

『近頃のガキは。自意識過剰な奴らばっかりだね』俺は言った。『真衣が、がお前に惚れてくれると思ったか?自惚れるなよ。麻呂太一ぶさいくずら

『うるせぇよ。』

『うるせぇだぁ?』思わず殴りかかりそうになる。『俺は、真衣とボディを共有してるんだ。ぶさいく面にやらしい眼で見られるのは不愉快なんだよ』

『うるせぇ。』麻呂が俺を押し倒し騎上位に乗っかる。『!!!!』

鼻骨に、ストレ−トが決まる。

右フック。左ストレ−ト。アッパ―・・・麻呂は俺の顔を――真衣の顔を殴る。

『この変態野郎が!!!』思わず俺は手を振り上げた。


『暴力じゃなく“ことば”で―――制裁ではなく、“正しい方向に導いて”あげてね。』


真衣・・・・!!!不意に思い出し殴るのを一瞬躊躇った。しかし、俺の放った拳は止まる事無く麻呂の頬に直撃する。一瞬、麻呂は怯んだ。が、すぐに体制を整えると、笑った。

『お前の力こんなもんかよ』

『あ?俺だってな今、ぶさいく面の顔面もっと不細工にしてやりたくてうずうずしてんだよ。』

俺は体を捻って麻呂をどかそうと思ったが、体重が真衣の体の推定二倍があろうかと思われる巨漢を動かすことは不可能だった。

『死ね!!!』彼は拳を振り上げた。

よけきれず、拳が顔面に直撃する。


イマナニヲシタ?コイツ?

マイノガンメンナグリヤガッタヨナ?

オレノイモウトノ――ソシテオレノカオヲナグリヤガッタナ









何かが吹っ切れた―――気がした。






――――――ゴメンネ。マイ・・・・







バシッ

俺の拳が、奴の何かに跳ね返された――。にも、関わらず俺は襲い掛かった勢いのまま、奴の体に、拳を当てた。

――鈍い音がした。

『え・・・・?』

俺も奴も驚いた様な声を上げた――。

『!!!!!!!』

そこからは、もう覚えていない。無防備なのにも関わらず必死に素手で奴に殴りかかった。

気付いたとき、そこで、奴は気絶していて、俺の拳は紅く染まっていた。


その一部始終を真衣は精神世界で見ていた―――。


下手糞。ですね・・・

直しますと呟きつつ、一ヶ月近く推敲までに時間がかかってしまいました。

お詫び申し上げます。

また、特に、十三話接吻より、この十五話ぐらいまでは恥ずかしながら読み返してみると矛盾点が多多あり、推敲の多さも半端ない量でした。話の大筋はかわってないと思いますが、まだ残っている矛盾点発見されたら、指摘してくださると助かります

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