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*第十四話 獅子 

七瀬真衣という名から想起する彼是。

臨床心理学者。セラピスト。カウンセラー。治療者。依頼実行者。執行人。願望屋藤沢秋の所有物。憤慨する虹色の鬼神。パニック障害。孤児。虐め。孤独。美人。二十歳。

『そして、二重人格・・・・・』

秋の発したその言葉に、真衣は反応する。脳裏にさっきの光景が再び蘇った。


『私はあんた達のようなやつが許せない!!!!!!だって?』

『馬鹿じゃないの?』

『そんなに新堂が大事?』

『なに熱くなってんの?』

嘲笑するクラスメイト。

脳裏に焼きつく、嫌らしい視線。まるで、人を貶すような笑い顔。集団で私を取り囲むように彼らは近づいてきた。

ふと、想起する―――小中学校での虐め。


一瞬、記憶が失われる。

私は精神世界に引き込まれた。

******************************

真っ暗な闇の中―――。

コポコポコポコポ

何かが音を立てている。


ここは何処だろうか?


私は何処かを深く深く逆さになって落ちていた


眠気が私を襲った。

コポコポコポコポ


私は何をしているのだろうか?


私の名前は何だっただろうか?


拳を握ると、生暖かいものが私に触れた。

手を開くと、掌には男の子の写真が乗せられている。


彼は誰だっただろうか?


私は深く深く落ちてゆく―――


そうだ、彼は新堂夾―――

私は不意に思い出し、まじまじと彼を見つめる


私は深く深く落ちてゆく―――


行き先は何処だろうか?

彼の写真を見ながら、記憶を弄る。


自分の名前は、七瀬真衣

そうだ。私は臨床心理学者になったんだっけ?

願望屋、藤沢秋―――


次々と思い出したけれど、それらはポッと現れてはすぐ消えた


『ここは何処?』

何だか訊ねてみたくなった。


『ここ?ここは君の深・・・・心・・・・・』

驚いたことに誰かが答えた。

その声は全部聞き取れなかったけれど、何だか懐かしい気がした。


『え?』私は尋ね返した

『ここは君の深層心理。精神の奥深く』誰かが答えた。


『何故、私はここにいるの?』

『君が求めたからさ』誰かが教えてくれた。


コポコポコポコポコポコポ


私は深く深く落ちてゆく―――


『私が?』私は耳を疑った。『ありえないわ。だって、ここなんだか辛気臭くていたくないもの』

『でも、懐かしくないかい?』誰かは笑った。『いやな場所だけど何処か安心できる』


『たしかに・・・・・そうね。ところで、君はだぁれ?』

『ぼくかい?』誰かは言った。『君は知ってるはずだよ?兄妹』


『え?』

『ぼくに、少し君の体を貸してくれるかい?』

私は無意識のうちに頷いていた。

『暴力じゃなく“ことば”で―――制裁ではなく、“正しい方向に導いて”あげてね。』

不意に光が見えた。私はまた、何かを訊ねようとしたけれど、私はなんだか安心して眠りに落ちた。

************************

『どうしちゃったのぉ?七瀬さん?』

クラスメイトの声が聞こえる。“俺”は、眼を開けた。


『ん?あ゛?あ゛あぁ・・・俺は“七瀬真衣”じゃねぇ。』邪魔な長髪を俺は結び、微かに微笑した。『七瀬徹。あいつの弟であり兄貴だ。』


久しぶりの現実世界に、少し暴れすぎるかもしれない気がした。

非常に長いサブタイトルで申し訳ございません。

*第十四話 解離性同一性障害〜Dissociative Identity Disorder〜とはいわば二重人格のこと。⇒変更・・ニジュウジンカク⇒二重⇒(なんか眠れる獅子みたいだったので)獅子ライオン

すこし、今回の話はファンタジックじみてますがどうかお許し願います

さてさて、何故か簡単な回想だったはずが、のっちゃいまして二話になっちゃいました。すいません。

あと、余計かもしれませんが、心の奥底にて真衣と会話するときは“ぼく”。でも、現実【リアル】にでてくると俺口調になるキャラです。

性格は次話で明らかになりますのでお楽しみに

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