かりそめの皇軍
静寂で張り詰めた空気が豪華絢爛という言葉がふさわしい部屋を埋めつくす。
息苦しくなるような空気の中、壇上から穏やかな声がかかる。
「そなたらの活躍は以前より耳にしていた。急な呼びつけであるが、先程宰相が言った通りだ。私の手足となりリオルを収拾して来てくれ。」
まだ年若いがこの国の王だった。小さくぱっとしない国なので常日頃から他国に狙われてきた。だが、この若き王がついてからは、技術や学術を向上することで国が潤い平穏な日々が続いていた。それに不平不満をもったもの達が反乱を起こしたのがリオルの街だった。
「…もったいなき御言葉ありがとうございます。必ずや陛下のお役にたってみせましょう。」
片膝をつき謁見の間で忠誠を誓うのは、紛れもなくロイ・サーベルトだった。
ーーー
「ふぅーっ…さすがに緊張しましたねぇ…」
帰り道の馬車で、ロイ将軍がため息をつく。
「ははっ、やっぱりロイでも緊張するんだ。」
正面で金髪の少年がクスクスと笑う。
「そりゃあ、緊張位はしますよ。いつかは呼ばれると思っていましたが、まさかこんなに早いとは思わなかったしね。」
「そうだね〜、でもまぁ、それって僕達が日々活躍してたからだよね!今回の仕事もそんなに危険が伴うものじゃないし、僕達の腕試しって感じ?」
「まぁ、そうでしょうね。」
「帰ったらみんな、なんて言うだろうね?」
「間違いなく、どんちゃん騒ぎでしょうね。」
「ふふっ、またロイの私費でワインとご馳走準備しないとね。」
「…今回は経費として落としますよ。お礼もたっぷりもらうつもりです。」
「えっ、ぼくら底無しに飲んじゃうよ?いいの?」
「急な呼びだしだったんです。それ位いいでしょう。」
「ロイってば根に持つタイプだね。」
「…否定はしませんよ。せっかくの休日が潰れたんです。これ位は出してもらわないと。」
「それもそうだね。せっかくのデートが邪魔されたんだもんねぇ〜。あんなに週末を楽しみにしてたのに、残念だね〜。」
ニースがニヤニヤと笑うのでげんこつをお見舞いした。
「うるさい…黙りなさい。」
その後も屋敷に戻るまでニースのニヤニヤ顔は止まらなかった。
 




