番外編:仮初めの騎士(ロイ視点)
「いよいよ、今夜ですか。」
「ロイ将軍では作戦通りによろしくお願いしますねぇ?あ、そうそう、サリア嬢に手を出さないでくださいよ〜?あなたはあくまでナイト役に徹して下さいね〜?」
「わかってますよ。あわよくば他の女性の気を引いて賭博会場に連れて行ってもらうと。」
「そうです、お願いしますねぇ?将軍って有名ですし、まぁほっといてもみんな寄ってきて、ホイホイ連れて行ってくれますよ〜。今日は一段とフェロモン出てますし。」
「…そうですか?」
「あぁ、でも今夜のサリア嬢の方がきっと破壊力抜群なんで、その辺りも気をつけてくださいねぇ?」
「え、何です?」
「きっと会場の殿方全員の大注目を浴びますから。まぁそれが狙いなんですけどねぇ。それにしても、ユーリってば…どこに隠してたのかしらぁ。」
「何をです?」
「いえ、ご自分で確認された方が早いかと。ではロイ将軍、くれぐれもよろしくお願いしますね?」
そう言って去ろうとする調査班長のレイティーに、廊下まで一緒に、と言った。大丈夫ですと答える彼女に、丁度迎えにやらせたニースが戻ってこないからそのついでだと伝えた。彼女と別れて、ユーリの部屋へと向かう。扉が空いているにもかかわらず、一向に入ろうともせず、ただわなわなと震え顔を赤くしたニースを捕まえた。遅い!と思い切り彼の耳を引っ張ってやった。
痛いと言うニースは放って部屋に踏み込むと、ユーリがこちらを見た。
「っ…!」
レイティーはこのことを言っていたのか…薄い水色のドレスは彼女にとてもよく似合い、少女の様な純粋さを醸し出している。いるんだが、胸元が全然純粋じゃない…むしろ挑戦的というべきなのか?!可憐なレースのあしらわれた先にかなりの盛り上がりを見せる白い胸。本当どこに隠してたんだろ。それを強調するかのように胸と胸の間に編まれた青いリボン。しかもちょっと窮屈そう。ウエストもきゅっとしまっていて、腰からはフワリとしたラインがうかがえて、足のくるぶしがちらりと見える絶妙バランス…顔も…薄っすらとピンクに染まる頬に艶のある小さな唇。目元も、パッチリと少女らしく、でもどこか憂いを帯びたような瞳。っく!は、破壊力強すぎ…。
はっと我に返り、目の前の相手に動揺しているのが悟られないよう笑顔を作って言う。
「このピンにして良かった。」
ってもっと他に何か気の利いたセリフ…言えなかった。いつもならここで甘いセリフでも言って困らせるのに…はぁ。全く…今夜はこっちがどうにかなりそうだ。
ロイ将軍の頭の回転はずば抜けて速いので、一瞬でその人の特徴を掴みとります。にしてもちょっとロイの思考(嗜好)が読めてきました。




