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仮初めの  作者: やいな
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始まり

バシッ


「っく、はぁっ はぁっ」


両手首を頭上に固定された女の荒い息と男の声が路地裏から聞こえる


「強情だなぁ、早く言えば良いのに。

あーあ、涙なんか目にためちゃってさぁ。。


口の中に鉄の味が広がり頬がジンジンする。

痛いが泣き言は言ってられないので、口と目に力を入れ目の前の男を精一杯睨みつける


「っく、なぁ、早く言わないともっと痛い目に合わせてやろうか。もちろんコッチの痛みだけどなあ」


そんな言葉が下種な笑いと共に吐き出され男の目線が落ちる


「…」


はっ、黙ってずになんとか言えよっ!それとも痛い思いしてぇのかぁっ?


両手首を抑える手に力がこもり、壁に押さえつけられ、反対の手では胸を鷲掴みにされる。


「っつ…!」


いきなり胸を掴まれ痛い。


「細身の割には意外とあるじゃねえかぁ、ん〜?」


男の手の中て形を変えている。敏感な所をギュッとつねられ思わず息が漏れる。


男は満足そうに目を細めて、服に手をかけ一気にしたに下ろす。


ボタンが勢いよく地面に落ち胸元がはだける。白く柔らかい胸が男の前にさらされる。


ごくりと喉がなるのをみて、その隙をついて男のスネを思い切り蹴ろうとした。が、あっさりかわされ、逆に両太ももの間に足をわって入られた。


「なぁ、もう諦めろ?俺がお前の銃を落とした時点でもう逃げ道はねぇんだよ。」


その通りだった。カラダを支える背中は既にコンクリートの冷たさと同じく冷えて


逃げ切る体力はもうない。


元中流貴族の娘が、初恋の庭師を助けようと首を突っ込みこんな風に事件に巻き込まれてしまった。


全て自分の責任だ。


「組織に引き渡す前にせいぜい俺がお前の事を可愛がってやるよ。何、組織では尋問、拷問、嬲られ放題で用が済んだらポイだ。」


そう言って男は、抗う様子もないと分かったのか手首を押さえつける事をやめ、スカートの中へと手を伸ばす。


もうどうでもいいやと思い、ふと横を向くとメインストリートに立ってこちらをみる男がいた。


逆光でよく見えないがなんだか目があったような気がする。


と同時に執拗に胸と太ももを這っていた手の動きが止まる。


「なら貴様もそのコースを辿るんだな。」


男の首元にナイフをピタリとつける少年。金色の緩いウェーブのかかった髪に深いカーキ色の帽子に制服、この街を規制する自警団のものだ。


ナイフを持つ自警団の後ろには別の二人が銃を構えている。


「ロイ将軍、容疑者確保です!」


少年がこちらを向き明るい声で言う


「ニース、そういうことはきちんと拘束してから言うこと。」


いつの間にか背後にはさっき目があっただろう男がいた。


日に焼けた肌に制服の上からでも、わかる鍛えられたからだ。前髪に少しかかる黒髪に制服と同じカーキ色の目。顔は整っていて美男といわれるタイプだろう。


笑うと目尻が少し下がるその男が少年に、向かって告げた。


見上げる私の目と男の目が再び合う


「こんばんは、あなたにも同行してもらいますが宜しいですね?」


そういって将軍と呼ばれる男は手を差し出した


助かった、ほっとして右手を彼の手のひらに置く。温かい…


ガチャン


差し出した腕から金属音が響く


「えっ?」


「何か?」


片腕にはめられた手錠をまじまじと見つめる私に彼はにっこりと微笑みながら答えた


「抵抗しようとしまいとどちらにせよ枷をかけるのが規則ですから。反対の手は…」


そう言いながらジロジロ観察される。


「まぁ、武器などは持っていないようですし、、、私に付けておきましょう。」


なんとなく笑いがこもった声とともにもう片方の錠が彼の左にかけられた。


悪いことしてないはず…なのに手錠っていざはめられると心に来るものがあるんだな、、と思いながら自警団の馬車にのる


馬車の中では精神的にも肉体的にも疲労していたこともありよく眠れた。


馬車の動きが少し止まりふと左を見るとカーテンの隙間から灯りが見えた。


馬車についた小窓から覗こうとカーテンに手をかけた瞬間、金属音と重みがかさなる。


あ、、手錠…


「よく眠っていましたね」


不意に右から声がかかる


将軍と呼ばれる男が右隣にいた。あまりにも距離をちかく感じたので窓の方へ身を寄せる。


「警戒、しているんですか?それにしていてはぐっすりと熟睡していましたね。もっと緊張感を持った方がいい。」


にこりとしながら枷のない右手が顔に近づく


頬に手をかけ唇を指でなぞられる。


「…誰が味方で敵なのか、、、わからないでしょう?」


人の良さそうな目が鋭くあやしくひかる。

ぞくっと寒気にもにたものが背中に感じられ、全身が緊張した。


クスッとまた彼は笑って続けた


「冗談ですよ?私は少なくともあなたの味方ですから。ほら、もう着きましたよ。」


いつの間にか緩やかに動いていた馬車が止まる。


男はガチャリと馬車の扉を開き、手を引く。


「さぁ、どうぞ?」


手錠で繋がった手を取り降りると、そこは自警団の施設というより屋敷のようだった。ひゅうっと吹いた秋風にふらつきながらもぼーっとする意識を保とうとするが体力の限界をとうにこえていた。











初投稿です。なるべく続けて投稿できるよう頑張ります。

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