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Future  作者: 浅咲夏茶
7th Chapter;5 days of the last. -Until December 12 from cultural festival.
99/127

Target:Rina,Ren and Elisa +α./episode98

 12月11日水曜日の朝。僕は、いつもと同じように、平和な朝を迎える……はずだった。


『あっ……バカっ……そっ、そんなところ、イジったら……ひゃあっ!』


 聞こえてくるエロい声。それは、僕の持っているエロゲの中でも結構良作な方のエロゲの声だった。しかも、酷いことにこんな朝早くからエロゲの音声を大音量で流しているため、完全に近所迷惑なのである。

「近所迷惑だ……って」

「起きたんだね、ダーリン」

「なんだ、朝からそんないやらしい声を流して」

「なんか、会長さんがダーリンをいじめたいからっていう理由で……」

「元凶は会長かよ。朝くらい静かにさせてくれよってんだ、全く……」

「だよねえ。……で、ダーリン。眠気はどう?」

「眠いわ。叩き起こされたせいで眠いわ」

「じゃあ、愛の結晶づくりをして、身体を動かして体温をあげようよ」

「やめなさい、そういうやましい事言うの」

「……ぶー」

「おい」

「ぶー」

「……やんないからな? やったらこれ、R15じゃなくてR18だからな?」

「別に構わないよ、私は」

「……何で僕のまわりには痴女しか居ないんだ」

「それが宿命っていうものなんだよ、凛君」

「会長風に言われても困るんですけどね……」

「そ。……んじゃ、朝ごはん食べようか」

「今何時だ?」

「朝の6時半だよ」

「昨日11時半に寝たから、起きる時間としては丁度いいな」

「一週間のリフレッシュをしないとだめだもんね」

「そうだよ。まあ、それ以外にも日曜日は早寝のほうがいい利点は有る。次の日が月曜だから、月曜鬱を少しでも食い止めることが出来るだろう?」

「そ、そんな病気が……」

「病気と言えるのかな?」

「言えるんだよ、きっと」

「そうか」

 まあ、あれだ。厨二病のようなものだろう、月曜鬱とかいう症状を発生させる病気は。そんな病気に僕が掛かる事は……無くないよな。


 ***


 久しぶりに恋がパンの朝食を作ってくれた。会長の意見もあったそうだが、会長が毎日豪華なメニューを朝に食べてるから、腹持ちのいい庶民的メニューを、と言っていたのも一つあったそうだが、恋が「久しぶりにパン食おう」と言ったのが大きいそうだった。


 そして、今日も授業を受けつつ、教室の窓から空を見上げつつ、昼飯を食べ、昼休みを迎えた。と言っても、ごはんを食べる時間を含めて45分の休憩なので、実質30分、25分しか昼休みはない。

 そして昼休み、校内放送で会長が生徒会選挙演説会の為に集まれという指示をした。当然、生徒会副会長である僕は遅れるわけにも行かなかったので、教室で食べていた弁当を片付け、即座に指示された体育館へと向かった。


 体育館に向かうと、既に候補が演説練習を始めていた。

「会長」

「なんだ?」

「選挙演説会って、何時間目でしたっけ?」

「ああ、それか。選挙演説会は5限だぞ。今日は5限下校日だ。好きなだけ遊べる日だ」

「言い方が酷いですね、会長」

「悪いか」

「いや」

「……んじゃあ、椅子を並べたり、机を並べたりする。準備は生徒会の立派な仕事だ。……あ、椅子足りなかったら会議室から持ってくるが……」

「というか、これを生徒会四役だけでする気なんですか?」

「いや、そんな訳ないだろう」

「ですよね」

 見渡してみれば、聖徒会の執行部の人たちも遅れてきていた。だから、聖徒会四役だけが仕事をするような感じに僕は捉えてしまっていたんだろう。バカだな、僕は。

「ま、5限下校だから、上がりは結構早い。……り、凛君」

「なんですか?」

「プレゼントの件なんだが……」

「ああ」

「き、昨日君がメイド喫茶に来てくれたお礼に、1万円、いや10万円まで好きなモノを買ってやりたいんだが、やっぱりアニメのだけでいいのか?」

「もう買ってるんですよね?」

「ま、まあ、咲希に行かせたからな」

「僕の家に居候しているのに、メイドは従えるんですね」

「電話というものがあるじゃないか」

「そうですね。……ああ、欲を言えば、そりゃあ僕だってもっともっと買って欲しいものはあります。でも、お金で買えるものだけがプレゼントじゃないんですよ。何かを作ってあげることだって、あげたものはプレゼントになるし、一回きりしかやらないことだって、それはそれでプレゼントだし」

「一回きりっていうのはその、え、エッチな……」

「あの、会長大きな誤解をしているんじゃ……」

「えっ!?」

「別に、僕はそういう事を言っているわけじゃないです。その、肩をもんでもらうとか、そういう日常の何かですらも、プレゼントになってしまうというか……。ああ、僕も何言ってるかもう、訳わかなんなくなってきたじゃないですか」

「ご、ごめん。……か、勘違いだったのか」

「はい」

「悪い。……ささ、選挙演説会の準備をしよう」

「はいはい」

 そう言って、僕は会長の仕事を手伝った。生徒会執行部が体育館の掃除を大雑把ながらも行った。時間もなかったので、仕方がないっちゃ仕方がないんだが。そしてその後、掃除されたところから生徒人数分の椅子を配置していった。体育館のステージ下の倉庫にある、ミニステージの隣に大量の椅子が置いてあるので、生徒会総出でそれを出し、並べた。とはいえ、汚いままでは座りたくないだろうから、これまた生徒会総出で椅子の掃除も行った。

 さて、その一方で僕と会長はステージの奥に、垂れ幕をかけていた。いつもならここに英洙が居るはずなのだが、今日は演説をする側なので、彼はここにいない。舞台裏で調整中だ。  

 零奈は決して高校を休んだわけではなかったが、会長から『放送で指示をよろしく』と頼まれたらしく、この場には来なかった。

「よし、これであがりだね、凛君」

「仕事も終わりましたね」

「ああ。……まあ、結局は選挙管理委員会が司会をするのだし、彼らにやらせるべきなんだけどねえ。コミュ障のボクからすれば、そうやって交渉に行くのも難しいから……」

「いや、最近は交友関係広くなってきますよね、会長」

「それはそうなんだが……」

「言い訳はアカンですよ」

「……むう」

「頬をふくらませてもダメです」

「ちっ」

「……じゃあ、もうすぐ5限始まりますし、トイレにでも行って調整でもしましょう」

「と、トイレに連れ込む気か!?」

「そんな変態じゃないですから」

「わ、悪い」

「別に構いませんよ、会長」

 仕事も終わったので、僕はトイレに向かった。別に用を足しにいった訳じゃない。ゲームがしたかったのだ。流石に、男子トイレじゃないところでエロゲをする訳にはいかないし、やっぱりエロゲは男子トイレするのが一番だ。作業も捗るしな。


 ***


『――それでは平成27年度生徒会役員選挙、最終選挙演説会を開催します。ではまず、生徒会長候補、黒嶋くろしま英洙さん、御願いします』

 選挙管理委員会の委員長によって、昼休みの終わった1時15分に演説がスタートした。まあ、こうやって選挙の事を考えると、ふとチョコレートが欲しくなってくる。と同時に恋も欲しいが、まあ恋に関しては幼馴染に名前にれんと入った人がいいので構わないのだが。

「僕は、この学校を変えたいと思います。まず、校風を素晴らしくすることを一つ、重要なポイントと掲げます。と同時に、学力向上を重点的なポイントの2つ目として掲げます。この公約……」

 後ろに責任者2名を付け、生徒会長候補の英洙が自身の公約を提示した。基本的に、本校の選挙はリアルで行われるが、引きこもり生徒に関しては、不登校の生徒に関しては、リアルではなく、SkypeやLine、その他様々なアプリを使用して、選挙が行われているのが現状だ。

 勿論、上のことから分かるようにインターネットを使用するのも禁止されていない。無論、ネットを使ったほうが支持者がつきやすい。

 そして、パソコン等で文書を作成したり、プレゼンテーションソフトを活用するのも禁止されていない。だから、わかりやすくプレゼンテーションソフトを活用してまとめ、適当に動画でも入れたらもう、当確なのだ。


 ***


 午後3時。少し選挙の演説会が長引いてしまった影響で片付けの時間のスタート時刻が遅れたことが引き金となり、この時間に終わることになった。本来なら、この時間ではなくて、もっと早く終わるはずだったのだが。

 最終選挙演説会が終わっても、選挙の演説は禁止されていない。禁止されているのは、選挙当日、つまり明日の12月12日の深夜0時からだ。

「……ねえ、凛」

「ん?」

 恋がこちらの方に向かってきて聞いてきた。

「誕生日プレゼント何がいい?」

「ケーキとかは?」

「時間かかるからなあ。まあ、買えばいいんだけど」

「……そうだな。じゃあ、あの行きつけのおばちゃんの店から買っておけよ、今年も」

「だね。……まあ、それは今日注文入れておくとして、凛は何がほしい?」

「お前が欲しい……なんちゃって」

「変態」

「だから嘘だって。冗談だって」

「はあ。……で、何がほしいん?」

「特に欲しいものがないんだよな。だって、会長に頼んでラノベ系は買ってもらうことになったし、それこそ恋の貯蓄を食うわけにも行かないしなあ。……あっ!」

「どうかした?」

「エロゲーだ!」

「おい」

「エロゲ買ってこい」

「絶対嫌なんだけど……」

「じゃあ、1万円分のギフトカードで」

「じゃあそれでいいよ、もう。……エロゲとか、絶対もう買わないから」

「人のばっかり盗んで……」

「ぬっ、盗んでないし!」

「いや、あれ絶対に僕の引き出しから盗んでるだろ。エロゲ窃盗魔」

「せ、窃盗魔ってなんだ!」

「お前のセカンドネームだ。呼び方はお前が決めればいい」

「いちいち決めなくていいから!」

「……じゃあ、ギフトカードで頼む」

「どうせエロゲで課金するんでしょ」

「悪いか。……って、エロゲで課金とかしねえよ」

「そう」

「ああ」

 恋とのプレゼント交渉を終え、今度はエリザが僕に話を持ちかけてきた。勿論、話題はプレゼントの話題だった。

「私は何すればいい?」

「お前の出来る接客をしてみろ」

「せ、接客?」

「肩もみとか、耳掻きとか、色々」

「おー」

「お前は家庭的な部分が二人より欠けてるから、僕がチェックしてやる」

「ありがとう、ダーリン!」

「それに、お前は一応居候第一号だからな。僕の貯蓄を食ってるわけだし、貯蓄を共に使っていく人間同士が金のかかるプレゼント分けあったところでって話だしな」

「確かに……」

「というわけで、お前は家庭的か、母性あふれる女か、明日チェックする」

「はいっ!」

 ということで、三人からのプレゼントは決まった。本当は恋からもラノベ買って欲しかったのだが、これまた変に恋を苦しめるのも可哀想だしな。前に執事服でアニメショップ行かせてエロゲ買わせたんだ。それを同年中に2回もするなんて、酷い話だろ。

「んじゃ、適当に私はコンビニ寄ってきます」

「いいよ、待ってるから」

「ナニして待ってる気だよ」

「ナニってナニだろ」

「エロゲ?」

「それもあるけど、やっぱりスマホゲーっしょ」

「お前がギフトカード欲しい理由はそれだな……」

「そうだよ。だって、18歳になったら10000円っていう上限金額の縛りが解かれるんだよ!? 一応、歳出には最新の注意を払うけどさ、課金してみたいじゃんか、1回とか5回とか、10回とかは!」

「……だめだ、ホント。私の幼馴染がこんなやつだなんて、本当に心外だ」

「心外いうな」

「悪いね」

「悪いな」

「んじゃ、待っててよ。すぐに買うから。包装は……」

「無くてもいいけど」

「ツンツンすんな」

 それおめーだろ、と心のなかで言っておいた。今更ながら、リアルで人をツンデレ呼ばわりするのはこちらが恥ずかしいものだな。ネットで生まれた言葉、オタク同士の間で、ゲームで生まれた言葉をリアルで使うなんて、そんなに気持ち悪いことは他にないだろう。


 ***


 恋がコンビニから帰ってきたので、僕らは4人で家まで帰った。そう。明日で生徒会の仕事も殆ど終わりだ。後は新しく決まった生徒会長、副会長等にそれぞれ襷が渡る。それが明日、12月12日なのだ。

 そして、12月12日は僕の誕生日である。と同時に、恋、エリザ、会長の誰かがフラれる日だ。梨人と結んだあの言葉さえ無ければ、今年も平和な誕生日を迎えられたのに、と少し僕は悲しみつつも、新たに彼女が出来るという、未知の喜びへの妄想に浸ったりしていた。


 ***


 そして夕方、何故か恋に夕飯を作れと頼まれた僕は、恋とエリザ、それに会長が女子会をしている最中一人だけこき使われ、料理を作っていた。

 もしかして、あいつらの中の誰かを彼女にしたら、こういうのを毎日することになるのか? ……そんなの絶対嫌だ。絶対に、絶対に嫌だ。

「よっしゃ!」

「勝った!」

 クリアの文字と同時に上がる声に、少しイライラしながらも、僕はやっぱり夕食作りを止められなかった。恋に任された今日の夕食作りの作業を……。

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