↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Future  作者: 浅咲夏茶
6th Chapter;Band members and culture festival.
PR
91/127

Target:My band members. ~Band practice last really./episode90

 時の流れは非常に早いものだと感じ、まるで年寄り臭い事を言い放った僕は、エリザに微笑されるだけのトーク力しか無かった。

 まあ、そんな自虐ネタから始めるのもどうかと思うが、もういい。こちとら徹夜明けで眠くなってきてるんだ。……コーヒー買うか。


 そういうことが重なり、結局買った缶コーヒーを持ち寄って僕は11時20分という時間を迎えてしまった。丁度アナウンスをいれる時間だ。

「――校内の皆さんへの連絡です。午前11時20分を回りました。あと10分程度で文化祭恒例行事である、のど自慢大会、ウタウマ選手権を開催いたします。観覧希望の方や、歌いたいという方は、今すぐに体育館にお集まりください。一般の方の参加は、先着10名までですので、是非ともお早めに」

そう最後に付け足しておくのを忘れずに、僕はそうマイク片手に言った。


 ***


「Ladies and gentlemen, boys and girls!!」

 どこかで聞いたことの有る曲が流れる。……しっかしまあ、昼から何でこんなウタウマ選手権とかいうやつで、音痴な人の歌ってるところを聞かなくちゃいけないのか。……しかも、台本には『出ていって歌ってくれた人と会話』とかいう、無茶ぶり入ってるし。……まあ、しぶしぶ決意するしか無いでしょ、「やってやらあ」ってことをね。

 ……って、ステージの上にいるの会長!?

「Everybody hello! I am Rina Saijo,Student council president. 」

「I am Ren Kashiwase of Culture Festival Executive Committee. And I am that chairman. Thank you!」

「さあ、というわけで始まりましたね、恋さん」

「ですね。……あ、ウタウマ選手権って一般の方も参加出来るんですよね?」

「ああ、勿論だ。うちの生徒会の副会長が、『10人まで』とか言っていたが、別にそれ以上でも構わない。尺が余ればそれはそれで……」

「……まあ、90分も有りますしね」

「ああ。……さて、君たちは飯を食いたければ是非とも出店でみせで買うなりして、焼きそば等を食べるんだな。……あと、校内でお昼ごはんを食べた方に限り、この後13時半から開かれるミスコンや、15時10分から開かれるミスターコンテスト等の投票権を貰えるぞ!」

 会長がそう言うと、さっきヲタ芸を踊ったりして観客を唖然とさせてくれていた、ESSの人たちが「うおおおお」とか言っていた。それ以外にも、ヲタク達も喜んでいたし、何故かふと僕の居る司会席を訪れた宇城先生や、放送部の部長が目を輝かせていた。

「……さて、ここまでの前振りはこれくらいにしておきまして、みなさんの歌の上手さを見て行きましょう! では、ウタウマ選手権2014、スタートですっ!」

 恋のセリフによって、ウタウマ選手権という名ののど自慢大会がスタートした。テレビ放送の倍、90分も枠をとったことや、12時台にするなど、いろいろな面で意識しているのだろうか。……まあ、この件に関しては僕ら生徒会も色々とやったから、僕らが無関係とは言いがたいけどさ、でも知らないんだよな。提案者僕じゃないし。……結局他人任せかよ。

 まあ、司会の仕事をしなくちゃいけないので、まだまだやらなきゃいけないことはたくさん有るんだけどな。それ故に、こうやってストレス溜めて他人任せにしてしまうのか、僕は。

「では、参りましょう。まず一曲目は……」

 出来る限り僕もテンションを上げつつ、司会進行の仕事を果たすことにした。


 ***


 12時55分。某テレビ局のバージョンと同じように、文化祭でもやった。『今年のチャンピオン』というのをだ。某テレビ局のバージョンは、毎週しているから『今週のチャンピオン』だが、文化祭では『今年のチャンピオン』という名前ですることになった。と言っても、別にそれといった商品がもらえるわけでもなく、ただ称号がもらえるだけなんだけどな。

「終わったー!」

 まず会長がそう言って、僕に何故か抱きついてきた。

「かっ、会長!?」

「……あ、ごめん。徹夜明けでつい……。ささ、私と恋はもうご飯済ませたんだけど、そっちは?」

「大丈夫。済ませてあるよ」

「んじゃあ、最終練習だね、この後は」

「30分……しかないですけどね」

 その時だった。エリザが、少し小さな声で右手のひらをこちらに見せる形で手を上げた。

「あ、あの……」

「ん?」

「私、ミスコンのクラス代表なんです……」

「えっ……」

 僕は「やはりお前だったのか」という思いと、「それじゃあ練習出来ないじゃん」という思いが交差していた。……それならデートなんかせずに練習しておくべきだったじゃねえか。ちっ。

「だから、もう少ししたら……あ、もう行かないとだ!」

「え……?」

「じゃ、じゃあ……」

 エリザは、自分が一緒に練習できないということを悔やんだ。自分のせいじゃないのに、エリザが悲しむ必要はないのに、何故僕は手を差し伸ばせなかったんだろう。何故僕は何も言えなかったんだろう。励ましの言葉もなく、怒ることもなく、口を利かないこともなく。

「……凛」

「ん?」

「3人と、イブリースだけで、練習……しよっか」

「……大丈夫ですかね、エリザ」

「大丈夫だよ。……ううん。大丈夫って思うしか無いじゃん」

「ですよね……」

 それは諦めなのか、それとも諦めではない何か強い思いなのか。……恐らく後者だろう、と皆が思った。いや、そう思いざるを得なかった。あきらめたらそこで試合終了、というあの名言を今僕は脳内で再生した。

「でも、練習なんていっても、音楽室……」

「開いていないね。権力の行使をするのも何か嫌になってきたし、仕方ないから体育館のステージ下倉庫で練習だ」

「え?」

「……まあ、そこに今日使う楽器が置いてあるんだけどね」

「マジっすか」

「マジっす。……それに、そこで魔力結界はれば、結局は『防音』になるし」

「魔力使うんですか……」

「もしも時は使わざるを得ないだろう」

「はあ……」

 本当、会長の話には呆れたり呆れなかったり、本当色んな話が出来るもんだよな、この人は。

「……でだな」

「ん?」

「歌を誰が歌うか考えたんだが……凛でいいだろ」

「いや、僕ベース……」

「ギターにしろというのか? 魔法少女が歌う文化祭って一体何さ?」

「イブリース可哀想なんでそれ以上言わないであげてください」

「はいはい。……ま、本題はそこじゃなくて、ハーレムをまとめるのは君だと言いたいのだ」

「……ハーレム?」

「いや、君はこれをハーレムと考えないのかよ。……一応あれだぞ。私だって君の事好きだし、恋も、エリザもそうだしな。『ライク』だけどさ、一応それなら『ハーレム』じゃんか」

「……やめてください、ハーレムエンドは二次元だけ……」

「ラノベは二次元に含まれるだろ」

「でも僕達の過ごしている所は三次元……」

「二次元だっつの。現実を見ろ」

 現実って「さんじげん」って読める気がするのは一体何故だろうか。やっぱりアレか? ちょいと厨二病だった時代があるから、変なルビを覚えちゃった感じなのか?

「……でだな。結局のところ、これはハーレムなんだ。一回言ってみたらどうだ? 『俺はハーレム王になるッ!』ってね」

「やめてください」

「……まあ、君が嫌がるならそれはそれで止めにするよ。こんなんで時間をとる訳にはいかないしね。……じゃあ、倉庫に向かうぞ」

「ちょっ……」

 会長に引っ張られて僕と恋は体育館のステージした倉庫に向かった。


 ***


 昼1時5分。僕らの頭上では、現在ミスコンの練習が行われている。練習と言っても、セットとかが作られ、そのセットをどう使うかだとか、そういうことなんだろうけどね。でも、そういうのも技術家庭科の担当教師から来てもらったりと、色々と工夫をしているらしい。

「……すげえな」

「ああ。んでもって、美術部がここでも色彩設定とか担当してるらしい」

「会長出たかったんでしょ?」

「なっ……」

「まあまあ。意外と乙女な所あるんですねー」

「うっせ」

 会長とばかり会話しているのもアレだと思い、僕は恋にも会話を仕掛けた。

「恋は3年連続出れなかったな」

「出なくていいよ。まあ、私がミスコンに出たところでって話だし」

「暴力さえ無ければ全然……」

「最近は暴力振っていないと思うんだけどなあ」

「お前、ただ自分の株を上げたいだけの一心だろ」

「悪いか」

「悪くねえけどさ。……まあ、このミスコンが選挙に繋がったりしてたから、恋が生徒会長するのかなあ、とも考えたけどよ、やっぱりあり得ないよな。去年の恋は大体学年90位台だったしな」

「うっせえな。おめえみたいな天才とは違うんだよ」

「何? 『あなたとは違うんです』的な何か?」

「そうだよバカ」

「バカとかいう方がバカなんだよ。揉むぞ」

「もっ……」

 僕が揉むぞといった瞬間、恋は口ごもってしまった。

「……凛君もやっぱりそういう趣味か」

「違います。誤解しないでください、会長」

「はあ。……何か身の危険を感じるよ」

「一応『冗談』ですよ?」

「……抱いたのにね」

「なっ……」

 会長にそう言われるとなんとも言えないのが現実だ。……く、過ちなんぞ犯さぬべきだったか、と今更後悔したところでって話だ。全く、高校生は最高じゃねえよ。最低だよ。「小学生は最高だぜ」とか某所で出てるけど、ガキの頃ってめちゃくちゃ楽だったなって今更ながら思うな。

 まあ、こんなこと言っていいのかって思うけど、ガキなら大罪犯したところで結局は親が判決受けるだけだし、子供には一切の制裁が加えられないのが現状だ。だからいじめも絶えないんだろうな。そうやっていくうちに会長みたいなぼっちがうまれて、結局はリア充グループとの孤立が生まれる。

 昨日見たあの不良だってそうだった。目が怖かった。表情も怖かった。でも、僕が彼を押し倒した時、少し本性見えた気がした。不良にだって、悩みのようなものが有るんだっていう感じのことをな。

「ま、まあ、練習を……」

 必死に隠そうとするのだが、僕は恋に迫られていた。

「……抱いた?」

「あの、恋さん? け、決してへ、変な意味じゃなくてですね……?」

「『抱いた』っていう言葉が出てきている時点で『負け』なんだよなあ……?」

 怖い。……怖いよ、恋。いつものツンデレに戻れよ! 僕はヤンデレなんて認めないぞ! 幼馴染がヤンデレとか、絶対そんなの許さないぞ! 認めないぞ!

「……は、はは」

「笑って誤魔化すんじゃねえぞ……?」

 こうなったら、昨日のデートの時みたいに辱めるのが一番……か? まあ、仮に辱めることになったとして、僕は一体どんな手段を使うべきだろう?

『そーですねー。テキトーに選択肢だしましょーかー』

 ニュクスがめちゃくちゃ軽い気持ちでデビルマシンを使った心中会話を仕掛けてきた。

『「選択肢出しましょうか」ってお前、一体何がしたいんだ?』

『いや、普通ギャルゲーマスターなら選択肢使うでしょ?』

『ここまでのこの作品を見てみろよ! 選択肢なんか一個も使ってねえだろ!』

『それは作者さんどーかしてますね』

『軽くメタな内容言うんじゃねえよ!』

『前の私とのデートの時、選択肢とか……』

『無かった』

『「不正はなかった」みたいに言わないでください。……まあ、たしかに不正はなかったですけど』

 ま、こんなクッソ寒い会話に付き合わされてる他の悪魔のことを考えると、早く心中会話を止めたいと思うものには思うのだが、中々やめられないのが実情というものだ。……ちっ、たかが幼馴染が機嫌を損ねた程度でなんでこんなにクッソ寒い会話は勿論、悩まなくちゃいけないんだ……!

『それは、ご主人様が恋さんを好きだからじゃないんですか?』

『えっ?』

『……私とのデートの時、ご主人様はしぶしぶしてた感じがありました』

『渋々って訳じゃないけどな』

『そうだったんですか。……でも、ご主人様は今、一番恋さんに好意を抱いていると思います』

『何でだ?』

『12年来の……仲だそうじゃないですか。……幼馴染だからって負けさせていいんですか?』

『そういうことかよ! 本気でお前の話信じちゃった僕はなんなの!?』

『……いえ、私は本気です。形勢が逆転して、会長さんやエリザさんがご主人様の第一彼女候補になるかもしれませんが、現在の第一彼女候補は、恋さんだと思います。……でも、現実を考えた時は会長さんですけどね』

『金があるから?』

『はい。……あ、んじゃ選択肢だけだして私は解散しますね』

『一人で解散とか言わないでくれるかな?』

『すいません。……んじゃ、選択肢出しますね』

『うん、何で処方箋出してるみたいに言えるのかな?』

『人生は小説、恋愛はゲームですからね』

 何その名言。僕はぷっと笑いそうになったが、ここで笑うと、会長や恋からみれば、『痛い人』だとか、『変な人』だとか思われかねないので、何とか笑いをこらえようと必死になった。

『それでは、ご主人様への選択肢を提供します。

 ① 腹パン

 ② おっぱいもみもみ

 ③ キス

 以上、どれかをご選択ください』

『選択肢なかったら何か起こるの?』

『ご主人様のお財布からお小遣いを全額恋さんに寄付させて頂きます』

『なああああにいいいっ!?』

 いやこれ、軽く脅しだよね? 脅しなんでしょ?

 選ばなければ僕の財布の中のお金は没収され、全て恋に渡る。となれば、僕の毎月の楽しみであるエロゲー購入イベントは中止になり、当然エロ本も買えず……。その一方で恋に渡されたお金は恐らく戻らないだろうし……。

 ちっ。ニュクスのやつ、なんて酷いことしやがる。

「凛、どうしたのかな? 早く真相を言ってほしいな? な?」

「……ああもう、②を選択だッ!」

「ひゃあっ!?」

 結局、②を僕は選択した。そう、『おっぱいもみもみ』だ。別に金縛りとかに襲われるような、『絶●選択肢』的なやつじゃなかった。でも、大体似てるよね。あれ脅しじゃん。……いつもは『ご主人様』とか僕に使えてるふりして、裏ではあんなこと考えてやがったのか。畜生め。

「ちょっ、りっ、んっ、やっ……はぁぅっ!」

 恋が目を瞑り、両膝を擦り合わせ、同時に非常にエロティックな声を上げた。それを見ていた会長は、僕が恋の胸を揉みしだいているのを見て、

「ええいっ! 私も、参戦じゃああああいっ! このっ、このっ、このおっ!」

 などと供述し、僕の揉んでる手の上から更に恋の胸を揉んだ。だが、会長の中のサディスト的な支配欲が高まり、会長はそのまま手を降下させ、恋の脇腹を攻撃した。

「あはははははははははっ!」

 めちゃくちゃ大笑いしてるよ、この人。

「並乳なめんなああああああっ!」

 会長は更にこちょこちょを強めた。……何してんだろうね、ホント。つか何この構図。『練習とか時代遅れ』みたいな感じになってませんか?


 ***


 それから2分程度僕の恋への胸もみ攻撃、及び会長による脇腹こちょこちょ攻撃は続いた。終わると、恋はその場に倒れ、へへへと笑顔を見せた後、咳払いをして立ち上がり、僕と会長に言い放った。

「変態っ! バカ! バカ! ホントバカ!」

 恋によって罵声を浴びた。まあでも、結局は練習した。たって1回だけ。最初から最後まで、約12分の演奏を。でも、恋の機嫌は直る事を知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。