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Future  作者: 浅咲夏茶
6th Chapter;Band members and culture festival.
89/127

Target:My band members. ~Last song practice./episode88

 昼12時50分。僕は学校に到着した。恋は、僕より先に行かせてあげた。先、といってもほんの4、5分程度なんだが。

 いつもはESSの面子に色々と睨まれている正門前の通路だが、今日は睨まれていなかった。傷を負っているからだろうか?


「ど、どうしたのその傷!?」

「あ、会長。すいません。ちょっと不良に……」

 丁度生徒玄関を通って生徒会室に向かっている途中、会長に会ってそう言われた。僕は、今まで何が有ったのかというこれまでの経緯いきさつを語った。

「……なるほど」

「まあ、デートの終わりをそれでしめちゃうのも嫌なんですけどね」

「それでも、君は彼女を守ったんだし、十分じゃないのかな?」

「そうですかね」

「そうだよ。……さて、生徒会として準備にとりかかるぞ。今日は19時半まで開いてるけど、私の家に来てもらうからな、その後」

「例の24時間……」

「ああ。……ちゃんと睡眠取ったか?」

「取りましたよ。……不良に絡まれて散々ですけどね」

「まあ、無理しろとは言わないよ。傷ついている奴にそんなこと言ったところで知ったこっちゃないって話だしさ」

「そうですね」

「……って言う訳で、凛君。とっとと終わらせて、早く練習に取り掛かるよ」

「は、はーい……」

 会長は至っていつもと同じで、何か変わった変化等は見受けられなかった。


 ***


 夕方4時半。文化祭まであと15時間半。放送委員会が当日の放送をするのだが、何故か彼らが突然『生徒会やって』と、頼んできたので、結局本番の司会は僕ら生徒会四役がすることになった。

 渡された原稿は、軽く20ページを超えるもので、覚えていられるかって話だった。でも、これを当日はしなきゃいけないってわけか……。

「まあ、原稿とか放ったらかしにしておいて大丈夫だよ。ちょっと予定狂ったけど、本番は私が仕切るから」

「いやあ、マジ会長さん頼もしいっす」

「お前も不良に絡まれて、そんなに怪我負ってる時点で頼もしいと思うけどな」

「言葉が指す意味は違いますけどね」

「ああ」

 そんな感じで、一回だけ原稿の読みあわせをすることになって、それ以外は結局決められなかった。


 ***


 夕方5時を回った。前日の最終通し練習の時間だ。『通し』といっても、本番同様のものを確認するだけだ。金曜の午前の部とほぼ構成は同じだし、企画では、ここは35分まで、のはずだったのだが、それがいつの間にか30分になっているとか、色々と修正が入っていた。

 勿論、僕ら生徒会四役も司会進行の仕事を急遽任されたおかげで、練習の時間など少しも取れずに、こうして最終練習をすることになった。

 その頃、僕と会長以外、イブリース、恋、エリザは音楽室で練習をしていた。会長から受け渡された楽譜を見ながら、渡されたCDを聞きながら。


 一応、僕と会長にも練習の時間は与えられた。とはいえ、それはほんの少しの時間だけで、大体10分程度だ。司会の仕事をし、練習をし、再度また向かう。そんな感じで、司会、そしてバンドの練習は続けられていった。


 ***


『――次は、生徒会×文化祭実行委員会+αによる、バンド演奏です』

 夜9時25分。本番同様、最終の発表が僕らのバンド演奏だった。30分ずつだったのだが、25分で切り上げたところがあったので、こうやって25分スタートとなった。

『練習していないけど、三曲目行けるかな?』

『行けるさ。それが、ボクらのバンドじゃないか!』

 デビルマシンを通じ、僕は会長と心中会話を行った。それが終わると同時に、とてつもない緊張感に襲われた。そして、1曲目、2曲目ときて、最後の3曲目に移った。

「……最後は、ノーネーム・ザ・マイベストです」

 エリザの声と共に、僕らのバンドの演奏が始まった。実質、これからあと8時間しか練習時間はなく、この8時間が練習の山場だ。これを過ぎれば練習する時間など皆無に等しく、本番で最初で最後、なんていう感じになりかねない。


 ***


 夜9時55分。演奏を終え、僕はイブリースを魔法陣に戻し、咲希さんが体育館まで迎えに来てくれたので、そのまま誘導され、僕らは車に乗った。

「1番は、上手くいったんだけどね」

「2番は……」

 車内ではそういった声が多かった。それは曲への批判ではなく、本当に24時間で行けるのかどうかというそこへの意見だとかだった。


 ***


 夜10時半。車で会長の家まで来た。そして、僕らは急いで演奏の準備を始めた。衣装だとか、そんなのは後回しにして、まずは練習だった。手を洗うことは確かにしたが、すぐに練習に向かうため、皆簡単にしていた。

「さてと。……練習だね、まずは」

「で、会長」

「ん?」

「……あと9時間半ですけど、大丈夫なんですか?」

「徹夜すれば何とかなると思う……」

「マジですか」

「マジですな」

 イブリースを再度召喚し、僕らは演奏の練習を始めた。時には眠気に襲われるため、コーヒーを咲希さんから貰ってそれを飲んだり、色々工夫した上でだ。


 ***


 なんだかんだで練習を進めていった。日付ももうすぐ変わろうとしていた。

「……土曜深夜なのにアニメ見れないのは悲しいですな……」

 関西圏は結構アニメ豊富なのに、見れないなんて悲しいぞ。地方民から見たら、ここにいれるだけでも嫉妬の温床になりかねないというのに……。まあ、アニメ見れないからとか言ってるくらいじゃダメだな、ホント。

「テレビ付けようか?」

「い、いいの!?」

「まあ、このテレビは本当は練習用に使うテレビなんだけど、CSもBSも地デジも、全部入ってるから大丈夫」

「……まじっすか」

「まじっす」

 僕は喜びのあまり、大声でやったあ、と言ってしまった。

「子供みたいに喜んで……」

「いやあ、人の家でアニメ見るとか、それも少しおかしい話ですけど、別にいいですよね。愛さえあれば関係ないですよね」

「……やめなさい」

「すいません」

 ちょっとテンションが上ってしまったおかげで、会長から指摘を受ける羽目になった。まあ、それもそれでいいか。……さてと。アニメはアニメでいいとして、練習練習。

 どうせ見たいアニメは深夜3時からなので、ということで、僕はそのまま練習を続行した。


 ***


「……完成した」

「やったあっ!」

 朝5時半。3時台にアニメを見ていた僕は、それなりの時間をアニメに費やしたが、結局は会長達とバンドの練習をし、朝5時半には完成まで漕ぎ着けていた。

「皆眠気は大丈夫?」

 眠気は大丈夫だ。咲希さんのコーヒー提供も有ったからか、それなりにスムーズに進んだ。エリザが僕の家から持ち寄ったカップラーメンを皆で分けて夜食を摂ったこともあり、空腹も抑えることが出来た。

「大丈夫です」

 クマが出来ているわけでもないし、全然大丈夫だ。

「そっか。……んじゃ、朝飯食べて学校行くよ」

「何時くらいに着きそうですか?」

「7時に着けば上等じゃないの?」

「そうですか。……それじゃ、それなりの時間に合わせて食べたほうがいいですな」

「そうですな」

 そう会長と話を済ました後、僕らは朝飯を会長とともに済ました。

 元から制服を着ていたので、特にそれといった着替えだとかする必要はなかったが、眠気を晴らすため、一応念入りに顔を洗っておくことにした。


 ***


 12月7日朝7時。文化祭の幕開けまであと1時間だ。日も昇り、学校を照らしている。大きな垂れ幕が学校のあらゆるところから垂れ下がっており、文化祭というとても大きな行事が開かれていることを感じさせてくれた。


 文化祭といっても、準備はもう済ませてあるので、教室とかに戻る生徒は皆無だった。何せ、7時半から生徒は朝礼があるからだ。だからこそ、文化祭の前日から徹夜したほうが効率がいいのだ。眠気で本番を台無しにしてしまう可能性はゼロではないが、最後の練習が出来るということもあるので、徹夜をする生徒は多い。

 確か前に、生徒会主導のアンケートで「いつ徹夜しますか?」との事を書いてもらったら、そういう反応があったそうな。……まあ、そんなことを聞く生徒会も生徒会でどうかと思うが。


 

 司会進行の仕事を放送委員会、及び放送部から依頼され、結局原稿を読み合わす暇もなかった僕と会長だったが、「ダメなら英洙と零奈がやってくれる」という、ダメ上司が言いそうな、考えていそうなことを考えた。つまり、他人に責任を押し付けたわけである。……ただ、出来る所は出来る限り全うする所存だけどな。

 

 そうしているうちに、時間はどんどん経過していくものである。そして、ついに来てしまった。朝8時、文化祭スタートの時刻である。

「焼きそば100円だよ!」

「んじゃあ、こちとらたこ焼き50円じゃ! 買った買った!」

「ESSの総力を上げて、エリザ様のファイルを販売するでござる!」

 外から威勢のいい声と、客の奪い合いが聞こえてきた。ああ、言っていたっけか。放送委員会と放送部は名称が似ているということで、こうして文化祭で一騎打ちすることになったらしい。……のだが、そこにESSが加入し、エリザのファイルを販売することをしているそうだ。

 さて、文化祭の開式が行われる体育館だが、やっぱり寒かった。僕ら生徒会四役と、執行部主体で色々と寒さ対策をしているのだが、換気とか、変なことしているうちにみるみるうちに体育館が寒くなってしまい、結果的に相当な寒さになってしまったそうだ。

「――朝8時を回りました。急遽、放送部及び放送委員会から『生徒会がやれ』と言われたので、司会進行を務めさせて頂く生徒会長の西條里奈と」

「同じく、生徒会副会長の白砂しらすな凛です」

 少々メタなことを言わせていただくと、僕が何故ここまで本名を名乗っていなかったのか、そして何故第一話で本名を名乗らせてくれなかったのか、遺憾の意を示したいところだが、まあいいとしよう。

 というわけで、僕の名前は今更だが『白砂凛』だ。本当、女の名前みたいだよな。

「……というわけで、午前は我々生徒会のツートップが司会を努めさせて頂くわけですが、なんと、もう一方ひとかた、共に司会をしてくださる方がいます。それは……」

 会長がステージの方にに手を向けた。と同時に、足音を立てながらステージのほうに上ってくる女が居た。……って、あれは恋!?

「えと、その、文化祭実行委員会の委員長を務めさせていただいた、柏瀬恋とい、言います。……今、何故かESSの人たちが正門前で『放送部VS放送委員会』の、商戦に参加しているわけですが、是非とも買わないでください」

 いや、いいのかよ。それ営業妨害じゃねえのかよ。

 ……って、何気に執事服着てないか、あいつ。

「まあ、嘘ですけど。……ええと、今年の文化祭では、色々と初めてすることが有ります。まあ、毎年恒例のミスコンは当然なのですが、このステージで愛の告白合戦なるものをするらしいです。……あとはそうですね、毎年恒例の歌合戦も、お昼11時45分頃より、お届け出来るかと思います。

 それでは、今年も本校の文化祭をお楽しみください!」

 恋はそう言うと、ステージから降りた。というか、既に執事服着てていいのかよ。まあ午後のバンド発表の時にどうせ着るけどさ……。

「以上、文化祭実行委員会委員長、柏瀬恋さんのお話でした。

 さて、今年の文化祭のテーマの発表に移りましょう」

 しっかし、本当今年の生徒会は何も関わってないんだよな、こういうのに対して。去年までは文化祭実行委員会が空気になるくらい、生徒会が主体だったというのに、今年の生徒会は本当に仕事していない。

 その分、恋とかエリザが色々と頑張っていたんだけどな。

「では、今年の文化祭のテーマを、バインリヒ・エリザさんに発表してもらいたいと思います」

 エリザの名前が上がった途端、皆の声が大きく、嬉しそうな声になっていった。それだけエリザが人気だということだろう。いっそのこと、恋じゃなくてエリザをクラスのミスコン代表にしちゃおうよ。うん。

 ……てか、ミスコン代表とかって決まってたっけ? もしかして、僕と恋が休んでた日に決められたんじゃないだろうな?

 そんなことを考えつつ、エリザの話に僕は耳を傾けた。

「Good morning. Is Weinrich Elisa. I, for the first time will experience the cultural festival of this high school. So, may not proceed like the script. However, It is fine with it if you can enjoy.

 えと、まあその、初めてですがよろしくお願いします。あと、今年の文化祭のテーマは、こちらになります」

 途中でエリザが日本語に戻したが、まあいいか。

 そんなことを思っている最中、ステージの後方の垂れ幕が降ろされ、文化祭テーマが現れた。今年の文化祭のテーマは『真・文化祭』らしい。

「まあ、読みは厨二病的にするなり、なんなりしてください。んじゃ、また英語に戻します」

 そうエリザが言うと、皆またエリザの方に耳を向けた。

「Well then,My cultural festival and your cultural festival, is a start!」

 そういった後、エリザはその場で一礼をし、ステージを去った。しかし、本当エリザの英語の発音がウマ過ぎてワロタ、って感じである。だから直訳が追いつかない。

「エリザさん、英語での発表ありがとうございました。……さて、今年の文化祭、まず始めは部活ごとの発表演目からです。先に文化部の発表、次に運動部の発表とします。前者は8時15分より、後者は8時55分よりの発表となります。それでは8時15分より、吹奏楽部及び合唱部によるスーパーコンサートと参りましょう。では、吹奏楽部、及び合唱部の皆さん、準備をお願いします」

 吹奏楽部と合唱部の準備が始まったのを見て恋がこちらに来た。そして、会長から僕に司会の主導権が渡され、僕が原稿を読む。

「これから8時12分程度まで、少々の休憩を取ります。以後、休憩は10時30分頃の休憩までございませんので、この時間の休憩で用を御済ませください」

 アナウンスをした後、僕と会長も少々の休憩時間となった。といっても、まだまだ原稿は残っているし、こんなところでため息をついていては先が暗いままだ。ネガティブじゃなく、ポジティブに行かなくちゃ。

 

 そう思いつつ、僕と会長は原稿の確認を行った。読み間違えたら大失態だからな……。

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