Target:Childhood friend +α./episode76
今日は、僕が見たいテレビ番組があったので、夜7時に切り上げた。本来、前にも触れたと思うがもっと延長ができるのだが、やはり延長となると僕もそれだけ疲れるし、それこそ職員会議でバンド練習できないとか、それはもう『練習すんな』って言われてるのと同じだしなあ。
まあ、そんなこんなで皆楽器を片付け、僕はイブリースを魔法陣に戻すという事をし、そして僕は恋、エリザとともに家へと帰ったわけだが、途中で雨が降り出してしまった。何処で降り始めたのか正確な事は分からないのだが、雨がふりだしたのは事実である。とはいえ、傘を持っているものは居なかった。勿論、折り畳み傘なんて以ての外だ。持っているものなどゼロだった。
流石に街中で魔力開放するのもどうかと思い、僕とエリザと恋は、家まで走った。
***
「……何故お前らがリビングでゲームしてるんだ?」
家に帰った時、時刻は夜7時半を回ってはいなかった。走ったからだろう。……そこまではよかった。なのに、目の前にあの男衆2人組がコントローラーを持って、椅子に座って、人の家のリビングを占領している姿が伺えた。
「うわああああああっ!」
「うっしゃああああっ!」
画面に映し出される『GAME OVER』の文字。途端に、愁の顔に笑みが浮かび上がり、梨人の顔には憎しみが浮かび上がった。
「姉ちゃんも何とか言ってくれよ……」
台所に居た姉ちゃんにそう言ってみるも、答える気配はなかった。
というかまず、愁と梨人はヘッドホンをしているのだから、聞こえないのは当然か。最終選択肢として、『テレビの電源を落とす』という手段がある。リモコンを愁と梨人は意識していないからな。……だが、あのゲームは僕のゲームである。万一、データ破損なんていう事があったら、僕は発狂するに違いない。
ここまで計算した上でこいつらはしているのか、と思うと、更にイライラがわいてきた。まあ、それが正解かどうかは確認していないから理性で押しつぶすわけだけれども。
「――僕の部屋に行くか」
「嫌だよ! ……え、エリザ、私の部屋に来て一緒に着替えた方が……」
「いや恋、別に僕はそういうことを言いたい訳じゃないんだけれど……」
「だ、だって、制服透けてる時点で、り、凛がそういうこと言ったら、誰だって変な意味で捉えるに決まってんじゃんか。……変態」
「お前もエロゲーマーだろ」
「……え、エロゲーマーと変態はち、違うし?」
「はいはい。……お前、前に男装した時、まんざらでもなかったよな」
「あーあーあー」
隠そうとしているのだろうけれど、丸聞こえだぞ恋。
「……まあ、先にお前ら風呂に入れ」
「……あ、ありがとう」
恋がそう答えた後、エリザが笑顔で僕に抱きついてきて、
「ダーリン、そういう気遣いは+100ポイントだよっ!」
「……何だそのポイント」
「好感度ポイント……かな。攻略に必要なポイントだと思うよ」
「攻略に必要ってどういうことだよ。つかなんだよ攻略って。魔族攻略は終わったはずじゃないのか?」
「……いやあ、あの時のダーリンは本当格好良かったなあ、って思うよ」
「勝手に思ってろ」
「な、なにさその……」
「なんでもねえよ。今日は結構早く帰ってきたんだし、ゲームしよう」
「……何その小学生がいうようなの」
「ぼ、僕はそんな『ショタ』属性はないぞ!」
僕がそう否定した時、隣に居た恋がその『ショタ』という言葉に反応した。
「しょ、ショタ……」
「おい恋、お前まさかショタコン……」
「は? い、意味分かんないし……」
「でもお前、そういうの好きなんじゃねえの?」
「な、なんで?」
「今反応したじゃん」
「なっ……そっ、それはその……」
「ショタコン」
「ち、違うから……」
「ショタコン」
「……いや、あの」
「ショタコン」
「……」
「ショタコン」
四回、僕は恋に言った。何か、ここまで来ると僕、完全に『クズ』に見えてこないか? ……恋は確かに可愛いよ? 僕のが言うのも何だけど、結構可愛いし、僕の言うこと嫌だ嫌だって散々言っても、結局は聞いてくれるし。まあ、すんなり聞いてくれるエリザのほうが、接しやすいかもしれないが、エリザだってその裏には『トラウマ』があるから、あんまりキツイこと言いたくないんだよな。……何というか、エリザは純粋無垢というか、守ってやりたくなる存在というか。……言葉にしようとすると、何かが僕の頭のなかで引っかかるんだよなあ。
「……ショタコンじゃないのに。凛のバーカ! 馬鹿馬鹿ばああああか!」
恋はそう言って、風呂場へと駆けていった。それを追いかけて、エリザも駆けていった。
***
夜9時。夕飯を食べ終え、風呂にも入り、そして僕の部屋で、恋、エリザ、愁、梨人と、5人を迎えた『幼馴染会議』的なものが始まった。
「……まず、何故愁と梨人はあそこでゲームをしていた? しかも、人の部屋から何故ゲームソフトを盗んだ?」
「……で、出来心だっただけだ」
最初に答えたのは梨人だった。愁は、自分のスマホに夢中になっていた。
「お、おう。じゃあなぜヘッドホンまで持っていった?」
「あ、あれはテレビ……」
「テレビの下に有るヘッドホンは、お前がつけていたヘッドホンとは違うが?」
「……あの、えと」
「こっちは自分の所持物程度把握済みだわゴルア。……まあ、壊さないだけよかったとしよう。……だが、何故持っていった?」
「で、出来心だって……。お前をその、驚かそうと思って……」
「……そうか。梨人はそういう奴だったのか」
「やめてくれ。そのセリフ、国語の教科書で聞いた気がするから」
「ああ。大体似ているな」
「……酷いな」
「酷くはないだろ」
「引用でもないくせに」
「わ、悪かったな……」
「そうだ。……で、お前は今日も、幼馴染二人を抱いてお楽しみですか」
「……はい?」
わけが分からなかった。ああ、意味じゃないぞ。『抱いて』とか、『お楽しみ』とか、それが一体何を指すかのかはわかっていた。そりゃあ男子高校生だしな。まあ、恋は気づいているようだな。流石、僕が認めた『ムッツリスケベ』だ。……エリザはというと、こちらもまた気づいているようで、頬を紅潮させ、僕が見た瞬間にそっぽを向いてしまった。
「……まあ、お前はそういう趣味かも知れんが、12月12日、解ってるよな?」
「ま、まあ……」
「よ、余裕ぶっこきやがって。帰宅部のくせに」
「お前もだろそれは」
「し、しかもバンド組んでるらしいじゃねえか! 何一人ハーレム作ってんだ!」
「別に僕はハーレムが作りたくて作ったんじゃないんだけど……」
「じゃあなんで作ったんだよ?」
「あれは、会長が……」
「お前、結構女の子との交友関係広いよな」
「一応学校じゃいい立ち位置だからな」
「生徒会副会長とか、マジで死ねよ」
「お前、憎んでるのか? それとも、笑ってるのか?」
「さあ?」
「……そうか。でもまあ、生徒会副会長って、主人公の立ち位置だよね」
「だな。基本、ハーレムの主軸となる男が……お前、俺を皮肉ってねえか?」
咳払いをし、間を入れた上で梨人はそう言った。
「ひ、皮肉ってないよ!」
「……取り敢えず、お前が今日、二人を抱くってことを聞いたら、ちょっと居てもたっても居られなくなったので、今日は一緒に寝させろ」
「そういう意味深な発言は控えて、どうぞ」
「悪いな」
「……分かってくれればいい。つうか、言っておくけど、僕とエリザは同じ部屋でいつも寝ているんだよ?」
「……それだけでも羨ましいわ」
「まあ、お前も頑張れよ」
「皮肉らないでください」
「はいはい」
そんな会話をした後、僕はいつの間にか、『ゲームソフトを無断で借りられていたこと』がどうでも良くなっていた。
そして、結局今夜は、愁と梨人も自分の家に帰らず、僕の家に泊まることになった。そして、寝る部屋は……。
「……何故僕の部屋にお前らが」
ため息混じりの声は、一切聞いてもらえなかった。シカトとか、結構酷いことするんだな、この男衆ときたら。
まあ、そんなこと言っているのもなんだ、ということで、僕は寝るのにもまだ早かったし、愁と梨人とともにゲームを楽しむことにした。
***
午前0時をまわり、僕はベッドに寝転がり、そのまま寝た。梨人はというと、コントローラーを持ったまま寝落ちしていた。途中で愁が操作してコントローラの操作権をなくしたけど。
それから4時間程度経過し、まだ眠かったのだが、誰かの声が聞こえて僕は起きた。
「こ、ここは廊下っておまっ……」
暗闇だったが、目の前に居たのは愁、梨人で無いことはすぐに分かった。姉ちゃんの部屋の光が少しばかり廊下を照らしていたのだ。
「お前朝から何してんだ」
「……まあその、なんて言うかね」
「ん?」
「あ、朝ごはん、一緒に作って欲しいっていうか……」
「僕のご飯を作る能力は平均程度だぞ」
「でも、凛って結構料理上手いじゃん」
「それはそれはお世辞をどうも」
「……正直、私としてはお前に毎日の昼飯と朝飯を作って欲しいんだけど」
「無理だ。僕はそんな早く起きれない」
「嘘つけ」
「今だって眠いし。……つうか、まだ4時だろ? お前本当弁当作るの必死だよな」
「いい嫁になるための修行だ。……凛が望めば、裸エプロンだってしてあげてもいいよ? ……た、確かにエリザよりはちっぱいだけど……」
十分だと思いますけど、はい。……姉ちゃんにそれ言ってみろ。殺されるぞ。しかしまあ、裸エプロンか。幼馴染の裸エプロンを見るっていうのも新鮮かな、とも思うんだけれども、流石に引いちゃうよね、裸エプロン好きとか。
「……お前Dカップなんだから、普通に大丈夫だろ」
「大丈夫って何が?」
「胸の大きさ心配する必要ねえって話だよバーカ。……それに、裸エプロンとか風邪引くだけだぞ。エロゲで見たからやろうとしているのかもしれないけれど」
「……あ、ありがと、心配してくれて」
「紳士として当然」
「変態紳士の間違いだろ」
「……返す言葉もないです、はい」
まあ、そんな会話を済ませ、暗闇を進んでいく。目の前をいく恋は、暗闇にもかかわらず、電気を付けずに物体の触り心地足早に進んでいっていて、凄いと思った。僕だって、手すりを触りながら暗闇を降りれるけど、流石に足軽に行けないよ、うん。ちょっと慎重になると思う。何せ、朝早く起きることはあっても、リビングに行くことは滅多にないしね。
リビングにつくと、すぐに恋は部屋の電気をつけた。そして、ハンガーに掛けられていたエプロンを着て、食器棚からマスクの箱を取り出した。僕でさえ、マスクの置いてある場所はわからなかったから、ある意味こいつすげえな、と思った。人の家に何が置いてあるのか把握してあるんだから。
「――お前よく把握しているな」
「そりゃあ12年も腐れ縁してたら把握するだろ」
「そうかもね」
僕はそう答えた。恋は炊飯器のスイッチを入れてご飯を炊き始めた。次に、冷蔵庫から肉や卵などを取り出し、野菜類を取り出し、色々と出して、そして今日の昼飯のメニューを考え始めていた。
「うーん。何がいい?」
「昼飯?」
「うん。……大体決まってるけど、あんた次第で変えていいし」
「恋が好きなやつ作ればいいんじゃねえか、たまには」
「そう? ……なら、野菜中心の弁当になるけど……」
「それは嫌かも」
「だろ? ……だからあえて生姜焼き入れてあげてんのに」
「昨日は半分しか食えなかったけどな」
「あれだけ大きい一切れの肉やってんだし、別に文句言うなよ」
「誰のせいだ、誰の!」
「はいはい。……じゃあ、生姜焼きとレタス、んでもってトマト入れるか」
「玉子焼きもよろしく」
「ふわふわがいい?」
「頼む」
「じゃあ、変な事書いてあげようか」
「……は?」
「昨日はさ、特売で安く売ってた大きい肉を使ってあげたんだけど、今日は普通の肉だから、あんまり大きくないんだよねえ。だから、恐らく肉と卵が主役になるかと」
「で、その玉子に文字書くのか? オムライスでもないのに?」
「いやいや。昼飯に書くわけ無いじゃん。……まあでも、男が卵食べても、女性ホルモンに影響少ないから、コレステロール増えるだけなんだけど」
「いや、美容にいいらしいけど?」
「男が美容……。変じゃないけど、凛が言ってるのはちょっと……アリかな」
「アリなのか」
「うん。……じゃあ、取り敢えず今日の朝ごはんはオムライスだ。凛のオムライスには、『変態戦士』って書いておくね」
「アホか」
「リアクション有難う御座います。……ふわふわでいいんだよね?」
「おう」
「じゃ、失敗しないように頑張るか」
「ああ。不味い飯だけはやめてくれ」
「おう!」
恋はそう言うと、マスクを装着して髪を梳かすようにして、水で手を洗って、冷凍庫から焼きおにぎりの冷凍食品を僕に渡してきた。
「まあ、朝早く起きるとお腹すいちゃうし、これ食べな」
「……焼きおにぎり?」
「うん。この焼きおにぎり、お姉さんが冷蔵庫、もとい冷凍庫に入れておいてくれるんだよね。んで、さっきちょこっと見てみたら、これがあったんだ。お前も食べてみてくれ。……食ったこと有るか」
「分かんないや。……基本、僕も自炊派だし」
「だね。私の作った弁当を4人で食べてたよね、昔」
「だな。……今それやるとしたら、5人で食べることになるね」
「妹も居るだろ」
「悪い。でも、朝練……」
「……早く弁当作らないと駄目じゃん! 先に言えよー」
「ご、ごめん!」
僕は、その場でちょっと軽くだったけど、恋に謝罪を入れておいた。そして、やることもなかったので、電子レンジで焼きおにぎりを解凍、そして温め、それを取り出してテーブルの上に持っていた。
カップの中に入れておいたので、そこまで熱く感じなかった。その後、冷蔵庫から海苔を持ってきて、それに巻いて僕は焼きおにぎりを食べた。
まだまだ4時だったし、僕は眠かったので、微糖のコーヒーと共に食した。
99話まで書こうとすると、実質土日に2話更新しないとダメなんだな。
眠いし、大変だよな、なんて思いながら、後書きを書いてます。
こ、今後とも宜しくお願いします!
……CEOも早く進めないとな。




