Target:Ren and Elisa +α Ⅴ./episode61
エリザ×凛の話が主になります。
途中、色々と際どいワードが出てくるので、飛ばし読みでも正直結構です。
――やっぱりMeta2fはR15にするべきなのかな?
「おーい、凛」
「『おー●お茶』みたいに言わないでください。僕はお茶じゃないです」
「いや、私はそんな風に言った覚えはないがな」
「そう聞こえましたけどね、少なくとも僕には」
「そうか。……さて、夜7時30分だ」
「完全下校時間、ですよね?」
「ああ。……本当はもう少し早く、予定を組んで説明もしておきたかったんだが、昨日はいろいろとあったからなあ」
「会長、昨日絶対忘れてましたよね?」
「ああ。忘れていた」
「それじゃあ仕方ないじゃないですか。……それで、今日も会長は車で帰るんですか?」
「そりゃあな。私の家まで徒歩で一時間以上もかかるからな、ここから」
「どんだけ遠いんですか……」
「確か、凛君の家も結構時間掛かった気がするんだが」
「自転車だと20分程度で着くんですが、徒歩だと約50分位かかりますね」
「それくらい掛かるのか。……そんで、今日は凛君含め3人は自転車か?」
「ええ。なんで、自伝車小屋に、3つだけ自転車があると思いますよ」
一応暖房のついている音楽準備室で、僕は会長と話をしていた。その後、日曜日に僕、恋、エリザが会長の家に行き、そこでバンドの練習をすることとなった。会長によれば会長の家は相当設備が整っているらしく、父親がアニソンを歌ったり、メイドや執事をバンドに入れ、音楽を作ったり、と多種多様なことで用途で使用しているそうだ。
「早く帰れお前ら」
「う、宇城先生!?」
「悪いな。まあ、もう19時半だ。それこそ、女の子3人……いや、西條は車だからいいかもしれんが、他の2人は自転車なんだろ?」
「ま、まあそうですけど……」
「それならパンチラとかさ、そういうことにも気を配れよ?」
――幼馴染のパンチラとか誰得だよ。……嘘です、すいません。
まあ、僕も男である。女顔っぽいとか、そういう事言われることもある。でも、男なのでそういう『パンチラ』とかは意外と興味があったりする。別に欲情とかの面じゃなくて、少々イジるための材料とかな。そういう面でだ。
なので、いつもいつも殴ってばっかり居る恋に関しては、そういう弱みを握れるだけで話の材料になる。エリザに関しては、普段からくっつかれているため、イジるとかしてもあんまりいい反応を取らないかもしれない。それこそ「ばーか」と頬を膨らませて、プンスカするかもしれない。
人生は山あり谷ありとよく言う。その中の人間関係も山あり谷ありだしな。イジられたらイジリ返す。それが僕の一つの概念的なものなんだと思う。
***
玄関で会長と別れて、僕と恋とエリザは自転車の置いてある自転車小屋の方へ向かった。しかし本当、ここらへんは街灯がないので歩きづらい。19時半ということで完全に夜であり、エリザは前にレイプされたこともあるので怖いかもしれないな。そしてそれは僕思っている以上の怖さだろう。
「こ、怖い……」
やはりか。
エリザが僕の予想通りにくっついてきた。くっつかれると背中のところだけ温かい。昨日は抱きつかれて蒸れたという事もあったが、今日は雨も降っていないし、そんな心配はいらない。恥ずかしいとかそういう事は別だが。
「――エリザの自転車ってどれだ?」
「今日はバスで来たんだけど……」
「じ、自転車じゃなかったのか?」
「私まず自転車持ってないし……」
「姉ちゃんとか妹……はないか」
「いや、自転車3つあったけどさ、使うと……ね?」
「なるほどなあ」
考えてもいなかった。エリザが自転車で登校していたと思い込んでしまっていた。……正直、ドイツから自転車持ってきていない時点で察しておけれたんだろうけど、やはり僕の察する力はまだまだで、それは二流、三流、それ以下の力しか無いんだと改めて実感した。
「――ふ、二人乗りとかは?」
「僕は別にいいんだが……恋はどうだ?」
ここで恋に聞くのもどうかと思うけれど、一応聞いてみよう。
「べ、別に……」
「ツンツンすんなよー」
「べっ、別にっ! ふ、二人乗りくらい、好きにすれば……」
「ツンツンすんな」
「う、うるさいっ!」
恋が本当にあの日なのかはわからないけれど、確かあの日って結構怒りやすいんだよな、確か。……まあ、中1くらいで愁からそういう知識を伝授されましたからなあ。本当、愁という男は変態だよ。
「さてと、エリザ。お前どっち乗る?」
「後ろに決まってんじゃんか」
「別に前でもいいよ?」
「い、いい。後ろのほうがいい」
「……」
ぎゅっとエリザが抱きついてきた。闇夜を照らす街灯など皆無なので、恋からは見えているのか見えていないのか分からないが、さらに強く抱きついてきた感触は確かに感じた。
「つか、自転車で二人乗りって一応違法だし」
「なっ……」
「リア充乙。お前なんて、警察にでも罰金取られればいいんだ。ばーかばーか」
「な、何を……」
「18歳にもなってないのにエロ本読んで、エロゲやって」
「それはお前もだろうが!」
「『Windows_XP』ってファイルを作成して、色んな画像放り込んで」
「うわあああああっ!」
「挙句の果てに、女の子の姿になったことがあるくせに『女の子の日?』とか聞いてくるし。――マジでお前ってデリカシー無いよな」
「お前デリ厨かよ?」
「あ?」
「す、すいませんでした……」
やばい。今の恋の声がめちゃくちゃ怖すぎる。しかも、暗闇も相まって、僕は謝罪をしてしまった。……これじゃ恋の思う壺じゃないか!
「あ、謝れとは言ってないし……」
「そうなのか。……てかさ、本当今日お前朝から怒ってばっかだよな」
「お前が私を怒らせてんだろーが!」
「はいはい。生理のある日の体調管理は大変ですねえ、お嬢さん」
「――マジでお前殴っていい?」
「ほら。やっぱりお前今日女の子の……痛っ!」
「どうだよ?」
「お、お前に背中グリグリされると……骨が壊れることしか考えられなくなるんだけど、これって異常? 正常? ……って、そこはやめ……あははっ!」
背中グリグリされた後にこちょこちょされると大変だ。一応、エリザが抱きついてくれているので、片方の脇しかこちょこちょされなかったけれども、それでもこそばゆい。めちゃくちゃ笑ってしまった。
「――ふんだ!」
恋は怒ってしまったようで、自分だけ先に家へと帰ってしまった。
「だ、ダーリン?」
「どうした?」
「……い、痛いんだよね?」
「そりゃあな。あいつの力は女じゃねえ。五輪選手に匹敵するからな」
「どんな力だよそれ。……でも、一回味わってみたいかも」
「傷つくだけだぞ。それとも……お前はマゾか?」
「ま、マゾなんかじゃないよ。けど、ダーリンがSなら私は……」
「マゾヒストになります、とでも言うのか?」
「でも、子供を作るためにはあれをしなきゃいけないわけで、あれをするにはSかMかに別れなきゃいけなくて、それで、えと……」
「……お前は本当に子供子供いっつも言ってるけどさ」
「え?」
「決して子供だけが全てってわけじゃないんだぞ。何に愛を感じるか、何に感動を感じるか、そういうのは人それぞれだ。子供が全てって感じる人もいるかもしれないけど、結婚ってのは子供を作ったから、子供を作るためにするわけじゃなくて、『一生二人で生活していく』っていう『誓い』の為にやるわけだ。それこそ、子供なんて育てられないのなら産まないほうがマシだ。お前には安定した職、しっかりとした育児や家事、それが出来るか?」
「無理かも」
「それなら、もっと自分を磨け。……で、今思い出したんだけど、傷つくなよ?」
「何でさ?」
「この前の昼飯、相当不味かった」
「……え」
「お前、塩と砂糖間違えただろ?」
「いや、あれはその……」
「まあ、色々と言いたい点は山ほど有るが、言いすぎてお前の心をズタズタにしても悪いからね。……さ、帰るぞ」
「……うん」
冬の風が、僕とエリザの直ぐ近くを通っていったのがわかった。学校の電気は職員室以外全て消えている。この自転車小屋だって、その職員室の明かりで色々と作業ができるってだけであって、この小屋自体に電気はない。だから、さっきの恋みたいに見えなかったり見えたりすることがある。
***
「しっかし、本当に寒いよな」
「一昨日、昨日、今日と、毎日のように夜に外出してそんなこと言っても、『そりゃそうだろうな』で終わると思うよ?」
「そりゃ、夜は寒いだろ」
「ほら、『そりゃあ』って使った」
「『あ』が抜けてるから大丈夫」
「ぐぬぬ……」
そんな会話が自転車で続く。……乗った時から後ろでぎゅっとエリザが僕の身体に抱きついているので、背中はめちゃくちゃあったかいのだけれど、耳に冷たい風がさっきから当たりまくって、本当に冷たくなっている。
三宮の街の中を抜けていく。エリザに時間の確認を求めると、もう夜の8時を回っていた。……そりゃあ夜7時半まで学校にいたからな。当然っちゃ当然か。
「……あ、あのさ」
「ん?」
「――相談、いいかな?」
「人生相談か? ……エリザは僕の妹じゃないし、僕の一人称は『俺』じゃないし……」
「そういうことじゃなくて、本当真面目な話」
「そうか。……信号で止まるから言ってみろ」
三宮駅前の信号で、丁度赤信号を喰らう。それと同時に、エリザも話を切り出す。その表情には、一切の笑みなどなく、本当に真剣な話だということがわかった。
「……私が転校してきたのは先週の木曜、金曜くらいだったでしょ?」
「そうだな」
「先週は良かったんだけど今週、いや正確には今日の朝、校門付近で私の事を写真に収める人がいっぱい居てさ、凄いびっくりしたし、怖かった」
「びっくりは分かるが、どうして怖いんだ? まさか、レイプと……」
「うん。同じ手法だった。『モデルになってくれます?』とか言われてさ、写真を撮られてさ、それでそこから路地裏に連れられて、目隠しされて被害にあったんだ。……服はビリビリになってた。だからさ、トラウマがよみがえる感じがして、本当に怖かった。……だから、こうしてくっついているだけでも安心するんだ。……こんな事言って、ごめんね。面白くなくて」
「別にいいだろ。面白い話も、面白く無い話も、両方あっていいんだよ」
「そっか」
「ああ。……よーし、じゃあ家まで飛ばして帰りますかね」
「え、ちょ……待っ……」
エリザの声など露知らず、僕は自転車のギアを7にして、スピードを上げて家まで戻っていった。途中、警察に出逢えば即罰金、いや警告とかされるという事で、少々ドギマギしたところもあったが、家の近くまで来た時には、もうそんなドギマギなど消えて、普通に楽に、自転車をこいでいた。
***
「ただいま」
「おかえり。……デートしてきたの?」
「で、デートじゃないよっ!」
姉ちゃんは時々危険球を投げてくるから困る。羞恥心がない上に、こういった事を平気で言える姉ちゃんはある意味で憧れるが、もう少し羞恥心を持っていただきたいものである。けど、バイトや大学のサークルとかで疲れているから、家では有りの侭の自分を曝け出す、っていう考えなのかもしれないけど。
「恋ちゃん激おこだったよ? 私が恋ちゃんに『遅いね』って話しかけたら、怒りながら『凛がエリザとデートしにいった』って言っててさ。早めにご飯食って今そこで寝ちゃってるよ。……まあ、食べなさい」
「……今日の夕飯なに?」
「カレーにしようと思ったんだけど、ルーが無かったからさ、適当にあった具材で何作れるか考えた結果、肉じゃがになりましたー」
「肉じゃがか」
「いつもの凛らしくねえな。……ん? お姉さんに話してみろ」
胸の下で手を組む姉ちゃん。だが、貧乳の姉が胸を張ったところで、悲しみしか生まれないような気がする。僕はそれを直球でぶつけてみた。
「無い胸を強調すんな」
直球でぶつけられたから、倍にして直球な質問を投げかける。『やられたらやり返す、倍返しだ』の言葉の如く、僕はそれをしたわけである。
「凛、お前は女の子に恵まれ過ぎなんだ。私、美来、エリザちゃん、恋ちゃん、それに生徒会長。恋愛対象外の私と美来を除いても尚、3人もいるんだろ?」
「な、なんだよ」
「修羅場になってないのか?」
「なっ……」
「聞いたぞ。エリザちゃんとデート、生徒会長さんともデートしたそうじゃないか。……そりゃ、恋も悲しむわけか。本当幼馴染って負けフラグだよね」
「姉ちゃん、酷いこと言うんだな」
「そりゃね。最近、恋ちゃんが隠れ巨乳だということが判明して、『今まで黙ってきていたのか』っていうことで私は怒り心頭なんだ」
「はあ……」
「それこそ、エリザちゃんなんてめちゃくちゃ大きい胸で凛を誘惑して……えいっ!」
「ひゃうんっ!?」
姉ちゃんがエリザの胸を背後から揉む。……何してんだこのバカ姉は。
「やめろ姉ちゃん。エリザをイジメるな」
「いいじゃないか。別に凛の彼女というわけでもないのだし」
「悲しんでるだろ?」
「嬉しがってるように見えるよ? 私には」
尚もエリザのたわわに実った胸を姉ちゃんは揉み続ける。
「あっ……ひゃうんっ! や、やめっ……んっ……あっ……ああんっ!」
「……」
僕は黙りこむ他無かった。「やめろよ!」と止めに入っても別にいい。けれど、それでは姉ちゃんかエリザを蹴飛ばすことになる。だから、それは避けたかった。人を蹴るなんて、そんな事をしたくはなかった。
「だ、だあり……んんんっ! そ、そこらめっ! ひゃあっ! は、はくさ……やめてっ……ひ、ひいっ! らめっ、それ以上は、らめらから……っ!」
ついに、エリザの呂律が回らなくなってきたので、ここまで来ると流石に「ヤバイな」と姉ちゃんも思ったらしく、エリザを開放した。
「もっと早く開放しろよ……」
「力尽くでも助ければよかったのに。……女々しい主人公だぜ」
「姉ちゃんがしなければよかったことでしょうに……」
「それでも、女の子を助ける男の子はモテるよ?」
「僕はモテなくていいよ別に。普通に、平和に、そんな生活をしたい」
嘘だけどね。
こんな風にハチャメチャというか、馬鹿馬鹿しいというか、そんな生活も好きだし、振り回されることも嫌いじゃない。むしろ、それが楽しいってことだってある。でも、何処かで平和に暮らしたい、と願うこともある。
「――さてと。エリザちゃんと凛の夕飯にだけ媚薬入れてあげよう」
「やめいっ!」
「……さ、盛り付けましょうか」
「僕がやるから! 姉ちゃんに任せると危険だから!」
そんなかんなで、結局盛り付けは僕の監視のもと、姉ちゃんが行った。
***
夜9時半。夕飯を食べ終わって、風呂にも入った金曜の夜。テレビを付ければ映画を放送していたり、ドラマを放送していたりと、金曜の夜は面白い。
「――じゃあ、私はサークルで提出しなきゃいけないやつを片すから」
「はいはい」
「じゃあ、恋ちゃんを運んであげて?」
「なんでさ?」
「寝てるでしょうが。まあ、お前が部屋に連れて行って変な事しないか心配だけどさ、連れて行けよ。背中に胸があたってもお前は興奮すんじゃねえよ?」
「し、しない……よ」
興奮、とまでは行かないかもしれないが、意識してしまうかもな。
「じゃ、じゃあダーリンに変わって私が運ぶもん!」
「……勝手にしろ」
「お、怒ってる?」
「怒ってねえよ」
「な、何か怒り気味じゃん、話し方が」
「別に怒ってねえよ。……ま、行くぞ」
「は、はーい……」
ぎこちない返答だった。そして、その後エリザを背中にのせ、僕に変わって、エリザが僕の部屋まで恋をおんぶして届けてくれた。
***
「今日の映画つまんねえな」
「ええ。私はもっと見たいけどなあ」
「僕は録画してとってあるからさ、こうやって何度も何度も同じやつ放送されても困るんだよなあ。『コブリ特集』でアンコールばっかやってるから、あんま見る気起きないんだよな……。まあ、お前が見たいなら見てもいいけど」
コブリ。正式名称、スタジオコブリ。それは、知名度が相当高いアニメーション制作会社である。代表作は、『千と千歳の鬼隠し』や、『絶海の孤島ラピュタ』、『蝉の墓』など。様々な有名作品を数多く作ってきた会社だ。それでもって、金曜の夜の映画を放送している局こそ、大日本テレビである。まあ、そんなことを言っていても何にもならんし、ゲームでもしたほうがましか。
「……だ、ダーリンは見たい?」
おっと。これは映画についてなのか? それともそういうエロティックな夜のお話についてなのか? ……まあ、恐らく前者で捉えていいんだろうけど。……ダメだ。本当に僕は壊れてしまったようだ。エリザは僕にいっつも抱きついているが、それなりに接し方というものがるだろう! 僕はなんてバカなんだ。
「――み、見たくない」
「……じゃあ、消すね」
「い、いいのかよ」
「いいよ。どうせ、録画してるんでしょ?」
「まあね」
「ならいい」
リモコンを操作し、エリザはテレビを消した。
「ねえ、ダーリン」
「ん?」
「ホラーゲーム、してみたい」
「お前大丈夫なのか? ……お前が嫌がらなければ僕はやってもいいんだけれど……。一応、R18のホラゲーも持ってるから、やる?」
「……や、やってみたい!」
「そか。……でも、なんで唐突にホラゲーなんて」
「……ダーリンの近くに居たいから」
「え」
「……い、嫌だったかな?」
「そ、そういう訳じゃないんだけど……ええとだな」
「ん?」
「ぼ、僕も一応男だ。お前に手を出す可能性だってあるし……」
「ラブホに連れて行く勇気のないダーリンのくせに」
「なっ……」
「レイプされてから、あんまり男の人と接したくないっていうか、怖くなっちゃったんだ。ダーリンとあと少しの男の人を除いて」
「愁や梨人、だよな?」
「そう。……その中でも、やっぱりダーリンといると心が落ち着くんだ」
「そ、そうか」
「……うん。そ、それでさ、ホラゲーってヘッドホン付けたほうが面白いんだよね?」
「面白い、というか怖さが倍増するってことだけどな。……でも、いいのか?」
「だ、大丈夫……」
「あの、本当失禁とか御免だから、怖かったらマジで言えよ?」
「ダーリンのバカっ! なんでそんな言葉使うのさ! わ、私はそんなことしないからね? ……じゃ、じゃあもしもしそうになったら、服引っ張る」
「何をしそうになったらだ?」
「……言わせたいの?」
「……出来れば」
「お…………らし……」
「ん?」
「ああもう、失禁しそうになったら服引っ張るからなっ!」
やばい。何かに目覚めそうなんだが。……いやいや、僕は何を考えている。エリザ、並びに女の人全般に対して、卑猥な言葉を言わせる、というなんともまあ最低な事を考えているんだ僕は。……僕は酷い人間だな、本当。
エリザにヘッドホンを渡して互いに装着したのを確認し、音量を調節した上で、僕はホラゲーのプレイを始めた。正直、僕は最近エロゲやギャルゲばかりプレイしていたので、ホラゲーは久しぶりである。故に、結構ワクワクしている。
パソコンのディスプレイには、一人の少女の姿が映しだされた。そして、背景には血塗られた壁、骸骨の続く道。足音の音がヘッドホンから伝わってくる。それだけでもエリザは鳥肌が立ったらしく、僕の服を掴んできた。
「もうダメなのか?」
「……ち、違う。こ、怖いんだ」
「止めようか?」
「い、いい。……つ、続けて」
「分かった。でも、本当に失禁とか勘弁だからな?」
「わ、わかってるよっ!」
ぎゅっと僕の腕をつかむエリザ。次第に、エリザの手は僕の腹部の方へ移動し、椅子も僕と一つで使っている状況となった。が、エリザはそれでも怖いらしく、あともう少しでお化けもとい、怖いやつが出てくるところで、僕の膝の上に乗ってきた。
「……へ、変なコト考えないでね?」
「恋みたいなこと言うんじゃねえよ」
「……ほ、本当に怖いから、えと、その……」
「なにさ?」
「左手で私の身体を支えてくれない……かな?」
「それはどういう……」
「いや、右手でマウス操作してるからさ、その私ダーリンから離れたくないというか、そういうことで、えと、その……」
「そういうことか。んじゃ、ちょっとお邪魔します……」
「そ、そういう言い方はやめろ!」
「ごめん。……それじゃあ、進めるよ?」
「う、うん」
ゲームを再び再開し、エリザにヘッドホンをつけてあげた。そして、ゲームの展開も結構ホラー的要素を含み始め、ついに、一番怖いところへ来た。
『――ね、ねえ。ここ、だよね?』
『ああここだ。あいつはここに……ひいっ!?』
ゲームの台詞とともに、エリザの身体はビクビクと震えを起こした。画面は黒くなり、エリザも怖がりながらも興味を持っていた。そして……。
「ひいっ!?」
ゲームのヒロインではなく、ラノベのヒロインが、大きな声を上げ、僕の方に倒れてきた。が、気が動転している状態であり、僕の姿すらも正しく認識できなかったようで、僕に触れた瞬間に驚いてもう一度悲鳴を上げた。
「……どうだった?」
「こ、怖かったに……決まってんだろ」
「僕は面白かったけどなあ」
「え」
「まあいい。……で、エリザ」
「ん?」
「失禁、どう?」
「そ、そりゃあ、私が失禁なんて……」
「いいよ、別に。変なこと考えてないから。……そんじゃ、今日も疲れたし早めに寝るかね。んじゃあ、トイレ行って来なよ」
「む、無理に決まってんだろ」
「なんで?」
「……こ、こんなん見た後に、と、トイレなんて一人で行けるわけ……ないだろ」
「そう。じゃあいけ」
「だ、ダーリン?」
「嘘だよ。……んじゃ、トイレの前で待っててやっから、行くぞ」
「う、うん」
僕はエリザのトイレの付き添いをしてあげた。本人の意思を聞かずにトイレについていくとか、変態じみた事じゃないので、別にそれといったこともなく、エリザはトイレを済ませた。僕は正直まだ寝る気はなかったので、トイレを済まさずに部屋に戻ってきた。
「――んじゃあ、おやすみ」
「ま、待って」
「ん?」
「い、一緒に寝て欲しい!」
「……はあ」
「だ、ダメかな?」
「別にいいよ」
「や、やった!」
エリザが結構喜んでいた事は、とても印象的だった。まるで猫って感じで。




