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Future  作者: 浅咲夏茶
5th Chapter;Unpleasant memories of heroines.
61/127

Target:Ren,Elisa,Rina and Iblis./episode60

 朝の挨拶では、8時ちょっと過ぎくらいに会長に合流して挨拶をしだした。事情を話すと、会長は直ぐに「乙」とだけ言って、背中を叩いてきた。


 そうして今日も、一日はあっという間に過ぎていった。文化祭準備期間は来週であるし、それこそ生徒会長選挙だってもうすぐ行われるのだし、早め早めが重要だ。

 早め早めで言えば、何故か今日は、会長に連れられて音楽室へ来ていた。どうやら、会長によれば『尺稼ぎでバンドする』なんて言い出したらしく、本当にひどい話だなあ、と思った。が、会長のその行動力には批判は付けられない。その行動力だけは見習いたいものだ。本当、早め早めに伝えれば良かったものを。

「バンドか」

「会長。バンドって、僕と恋とエリザと会長の4人なんですか?」

「そうだ。……本番では、女装して貰うぞ」

「嫌ですからね?」

 いや、真面目に嫌だ。本当、女の格好とかマジ勘弁って話だ。

「……まあまあ、そう言ってるけど身体は正直……」

「何言ってるんですか会長!」

「いや、特に深い意味は無いぞ」

「絶対有ったでしょ……」

「まあ、どう思うかは凛君次第だけどね」

 本当、この生徒会長にはある意味で憧れるし、ある意味で呆れるもんだ。

「あ、あの会長さん!」

「なんだ、エリザ?」

「だ、ダーリンと一夜を交わしたって……本当なんですか?」

「うっ……」

「ほ、本当なんですね!? やっぱり胸だけじゃ……って、この泥棒猫っ!」

「や、違うんだ! そのだな……」

「私だってまだ初めてを守ってるのに……」

 エリザがうるうると瞳から涙の粒を垂らそうとしていると、隣に居た恋がそれを慰めに入った。

「はいはい。泣かない泣かない。恋愛ってのは、人それぞれだから。というか、一夜を交わしたってだけで恋愛とか、そういう方がおかしいし、それこそ、ちゃんと避妊とか、そういうことも考えてしているなら、大丈夫だと思うけどなあ。……まあ、彼女以外とするのはちょっと心外だけど」

「れ、恋……」

「はいはい。泣かない泣かない。……つか、泣いてばっかじゃ演奏なんて出来ないよ。……あ、そうだ!」

 恋が何か思い考えたそうだ。

「ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムって言う風に5つありますけど、どんな風に分ける気なんですか?」 

「ドラムは私だ。ベースは凛君。キーボードは恋ちゃん。そして、メインのギターとボーカルの二刀流をするのがエリザちゃんだ」

「一応私はピアノ弾けますけど……出来るかな、キーボード」

「大丈夫だ。……正直、ギターとボーカルを2つするのは無理かもしれないから、その時のための代任も居る。それは……」

 丁度その時、ドアをノックする音が聞こえた。

「イブリースちゃんです!」

 は? ……い、いつの間に僕の魔法陣を抜けたんだこいつは?

「い、いやイブリースって僕の悪魔……」

「いや、私はご主人様の悪魔であって、この高校の生徒ですから」

「何その『あくまで執事ですから』みたいな言い方……」

「一応、着ているのとか変えられるから別に執事になれないことはないけれど、私一応女ですし、『メイド』のほうが正しいのでは?」

「……そうかもな」

 でも、男装執事とかいうキャラも居ないことはない。それこそ、恋に執事コスさせてエロゲ買いに行かせた時のあの表情を思い返すと、格好良かったなあ、あの時の恋。……照れてるところは『格好良い』じゃなくて『可愛い』か。

「……で、イブリースはギター弾けるの?」

「うん」

「……それなら、5人でバンド組めばよくね?」

「それはエリザさんに……」

「じゃあ、エリザ」

 僕はエリザに質問を投げかけた。

「5人でバンドと4人でバンド。どっちがいい?」

「そりゃあ、大人数のほうがいいでしょ。……てか、私一週間じゃギター弾けないし」

「そんなこと言ったら僕だってベースなんて……」

 少々ネガティブな発言をすると、後ろから会長が慰めてくれた。

「大丈夫だ。イブリースが教えてくれるよ」

「ご主人様の為ならば、教えるしか有りませんから」

 会長の言葉にイブリースが続く。

「そうか」

「……それなら決まりだね」

「ただ、何の歌を歌うんですか?」

「『My ever and after this.』だ。一応、咲希に作ってもらった」

「タイトル回収……ですか?」

「酷いなあ。こんな時にもメタ発言とは、平常運転だな」

「そういうもんです」

 聞いたことがないということで、会長が自身のスマホで聞かせてくれた。会長は、財閥の令嬢で多額のお金を持っているというのにもかかわらず、「CD費よりネット費に金かけたほうがマシ』とかいう理由で、CDを買ってないそうな。でも、スマホの音楽配信サイトなどからダウンロードしているそうだ。そっちのほうが『安い』『手軽』『便利』だそうだ。

 音楽に耳を傾ける。


 ……


 Staring at themselves,Think me in the future with me so far.

 例え今 傷ついて 咲かした花が散っていく


 My ever and after this.

 目の前にあるそれは夢? 

 それともただの現実?

 現実逃避なんて 悲しみ明け暮れた今を


 何時かまた 会えるから


 そっと

 (そっと)

 思いを心に刻む


 ……


 I meet with you again in the future somewhere.

 消えた灯 枯れた花 夢現実に朽ち果てていく


 My ever and after this.

 夕陽に思いを乗せ

 潮風に吹かれて

 今はまだ 人生の終焉など 来ていないのだから



 灯す灯 咲かす花 何処かに思いを隠して

 儚い恋愛を 青春の1ページに


 My ever and after this.

 終焉はまだ遠い

 思い胸に刻んで

 ここから2度目の青春が 幕を開けていくんだ

 

 火を灯し 花咲かせ

 

 いつか

 (いつか)

 またこの場所で


 ……


 次の曲が流れそうになったので、会長が音楽再生を止めた上で、スマホをポケットにしまい、「ドジしました」という風な態度を見せた。

「――いやあ、ごめん。途中からだったわ」

「そうなんですか? ……てか、これを咲希さんが?」

「そうそう。最近あいつ、VOCALOIDを手に入れたそうでさ、使ってみたかったんだと。ちなみに、声は全部咲希の声だ」

「なん……だと?」

 咲希さんってめちゃくちゃ良い声出せるんじゃねえか。……あの人なんなんだよ。つか、会長の一族とその周りの執事やメイドって一体何者……。

「さてと。楽譜配るね」

 会長が笑顔で楽譜を配る。


 配り終えると、僕とイブリースだけが追い出された。理由も当然合ってのこと。「お前はまだベース弾けねえんだから練習してこい!」ってのが理由だそうだ。

『I meet with you again in the future somewhere……♪♪』

 エリザの歌声が聞こえてくる。流石はバイリンガルと言うこともあって、その歌声は本当に滑舌も良く、マジでパないなあ、と思う。

「ご主人様、ベースはお持ちですか?」

「持ってるわけ無いだろ。……でも音楽準備室があるだろ。そこに……」

「これですよね?」

「それだな……って、人の魔法陣から楽器を出すんじゃねえ!」

「す、すいません!」

「まあいいや。弾ければいいんだし。……でもなあ。楽譜はわかるけれど、ベースなんて中学時代に愁の家で弾いたのが最初で最後だったな」

「弾いたことあるのですか。凄いです」

「いや、そんなこと言ったらイブリースこそ、よくギター弾けるな」

「これは会長さんから教えていただいたんです」

「そうなのか。本当、あの人は何でも出来て羨ましい限りだ」

「でも、それがあったからこそ、一人ぼっちの毎日があったんですよね?」

「そうらしいな。……僕に対して色々と言って来てくれている会長だけれど、ああいう一面も昔は無かったのにな。何でだろ?」

「そりゃヒトは考えが変わりますからね。日本は法治国家で民主主義国家ですから、考えなんて人によって様々なんですよ。それを抑えこむなんて」

「ああ、説明ありがとうな。けどお前の言うとおりだよな、本当」

 考えが変わる。それが会長がいっつも明るい女になった一つの要因だと言えるのかは定かではないが、恐らく会長に何かがあったのは事実である。それこそ、会長が『ボク』と一人称を名乗るときは、その対象の相手を信頼している証拠だそうだ。きっと、心から信頼出来る相手を見つけたから、あれ程までに明るい女になったんだろうなと考えることも出来る。

「んじゃあ、イブリース。主人が悪魔に色々と教え込まれるっていうのは、ちょっと変かもしれないけど、人それぞれだもんな。んじゃ、イブリース先生、よろしくお願いします」

「私はご主人様の先生なんかじゃありませんけど、もしご主人様のお望みならば、様々なコスチュームに変身することも可能ですが……どうされますか?」

「うーん。……じゃあ、頼んでいいかな?」

「どんな姿がいいですか?」

 おい、これは危険な質問だぞ。相当直球な質問で、目の前に居るのが悪魔だということも重なり、ついつい自らの性癖を自ら打ち明けて自爆する可能性だってあるんだ。ここは少し慎重に行くべきだ。

「……そ、そうだな」

 ここで掲示板にいってアンケートを取るのも一案かも知れないが、そんな暇無いのが現実というものである。コミュ障が外で執拗に話しかけられた時の感覚がもしこのような感覚だとしたら、本当ネット依存ってやばいなあ、と思う。掲示板に答えを求めるなんてどうかしてるぜ……なんてね。

「ふ、普通にスーツとか」

「女にスーツっていうのは、もしかしてご主人様はそういう性癖をお持ちで……?」

「ち、違っ……」

「まあいいです。主人に逆らえないのが我々悪魔というものですから。それこそ、悪魔として転生して生きて行けて、食っていけるのであれば、正直それだけで幸せってものなんでしょう。……きっと、幸せって身近にあるんですよ」

「ど、どうした?」

「……いや、何でもないです。えと、その、攻略される前の事、色々と思い返してしまって……。今のご主人様のような主人では有りませんでしたから」

「……そうなのか」

「はい。ただただ、性処理用の道具として利用されたこともありますし、金の為にとアダルトビデオにも出演したこともあります。勿論、相手は主人です」

「なんてひどい話だ」

「でも、現にそれが起きたのですから。……今のご主人様は、本当に格好良いというか、本当悪魔に慣れて嬉しかったというか」

「……僕はそんなにいい人間かな?」

 自分で言うのもなんだが、変な性癖を抱えているし、それこそエロゲやエロ本だって色々と持ってる。幼馴染に振り回されることもあれば、他人にこき使われることだってある。僕はそういう人間だ。

「……ご主人様は、私の事を『奴隷』みたいに扱うことは有りませんから」

「確かにそれはな……」

 もしかするとコミュ障で、女性経験もない、幼馴染もいない、そんな僕だったら、ニュクスはもとい、ウンディーネ、シルフ、それこそイブリースやサタンなどに、手を出してしまっていたかも知れない。

「……あの、ご主人様に一つ」

「なんだ?」

「……もしも、私がご主人様にキスをしたら、ご主人様の事を『凛』と呼んでもいいですか? 文化祭の日までの限定で」

「別に文化祭までじゃなくていいよ。普通に、気軽に『凛』って呼びな」

「き、キスは……」

「しなくてもいい。……で、そのキスって何か深い意味とか有るのか?」

 キスされて嫌がる男はいない。そりゃあ、不細工から迫られたら別だけれど、イブリースは普通に可愛い。だから、キスしても平気だ。理性は大丈夫かどうかわからないけれど、精神状態は安定するはずだ。吐き気もないはずだ。

「悪魔にとって、『キス』っていうのは『契約』を意味するんです」

「契約……?」

「私はまだ、ご主人様と親密な関係を築けていません。だから、正直ニュクスが羨ましいんです。親密な関係を気づいていれば、キスをする必要は有りませんから。普通にキスじゃなくて言葉で大丈夫ですから」

「そ、そうなのか。……それより、契約って一体なんだ?」

「悪魔じゃなくて、人間状態になっていいかということです。人間状態だと、ご主人様の命令を全て受け付けることは出来ませんから、悪魔はこれを『契約』と呼んで、どれだけ重要か昔から伝えてきました」

「な、なるほど……」

「ちなみに契約を結ぶと、超魔法とかも全て使用不可となります。でも、再度キスすることで再契約となり、悪魔に戻すことが出来ます」

「そ、そうか」

「はい」

 ……別にキスなんてもう会長、エリザとしているし、抵抗感こそあるけれど、やれと言われたら恐らくやるだろう。それが僕なんだと思う。

「ああ、それとギターに関しては、魔力なしでも弾けるので大丈夫です」

「凄いな。……けど、僕は悪魔のままで居て欲しい」

「そ、そうですか」

「ああ。だから、契約の件は全てチャラ。それでいいか?」

「いいです。全てチャラで構いません」

「そうか。それじゃあ、ベースの練習しよう。頼むよ、イブリース先生!」

「あ、は、はい」

「ああ、それと」

「な、なんですか?」

「僕のことは気軽に凛と呼んでくれ」

「わ、わかりました。ご主人……いえ、凛」

「ああ。今後共、よろしく頼むぞ」

「は、はい!」

 ビクビク震えながらも、イブリースは笑顔でそう言った。

 ……episode59で『校門』と『肛門』を間違えてしまいました。……一応修正してあります。他に、呼んでて誤字とかあったら感想で伝えてください。


 さて、My ever and this after とかいうタイトルは、曲名でした。曲名をタイトルにするっていうのは、結構ありがち……なのかな?


 正直な所、マイエヴァはプロット自体乱雑で、一体どういう展開になっていくのか僕自身も楽しみだったんですよね。デスジレだって基本的なプロットは作っていなかったし。


 丁度episode60なので、23時丁度に投稿しようと思ったんですが、失敗しました。……こ、今度は絶対に00に合わせて投稿したいです!


 ただそれだけのことでした。……今後共、Renonsをお願いします。マイエヴァはまだ続きます。


 ところで、『マイエヴァ』は『マイヱヴァ』の方が正直いいんじゃないかなあ、と思う僕がいるっていう。(ヱヴァ●ゲリオン的ネーミング的な意味で)


 あと、3ヶ月近く、凛君の一人称に合わせて『僕』って書いてばっかいたせいか、『俺』っていう主人公が書けなくなった。……これがジレンマ病なのかな? (デスジレ設定では、ジレンマ病は原因不明の病です)


 まあ、今後共、Renonsを宜しくお願い致します。《大事なことなので(ry)》

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