Target:Ren and Elisa/episode45
「あ、そうだ。イブリースって高校生なの?」
「どういうことですか?」
「いや、僕の悪魔のサタンは働いているからさ、もしかしたらお前も学業に打ち込んでいたり、それこそサタン同様働いているのかなあ、って思ってさ」
家に帰り、自分の部屋に戻ったうえで、僕はイブリースを召喚した。そして、ふと疑問に思ったことを僕が言った。今までの流れは大体そんな感じだ。
「私は、ちゃんと高校行っていますよ。おそらく、ご主人様と同じ学校だと思うけど。まあ、簡単にいえば、私が攻略されたグラウンドのある学校だね」
僕の通っている学校だ。間違いはない。……しかし、そんな学校にイブリースが通っていただろうか。正直、僕の脳内にはそんなことは記録されていない。当てずっぽうでイブリースが言ったわけでもないとは思う。けれど、イブリースが僕の通う学校に通っているのか、確認を取らないとわからない。
僕は、イブリースが何年なのか聞いてみた。
「お前、高校何年生だ?」
「高3だよ。……ご主人様と同じ学年だけど、ご主人様とは会ってないよ」
「なんだ? ということは、転校してきた、みたいなことか?」
「そうなるね。転校生だよ。……謎の転校生、という訳じゃないけどね」
「物語の黒幕とか?」
「だから、私は謎の転校生じゃないってば!」
「はいはい……」
そんなこんなで雑談をしていた午前6時前。いつもどおり、恋が起こしに来た。平日はいつも起こしに来てくれる。稀に来ない日もある。また、稀に弁当を作ってきてくれる日もある。
姉ちゃんが大学に入る前は、姉ちゃんが僕、美来、恋、自分といった3人前の料理を提供していた。けど、大学に入ってからは、バイトをし始め、寝る時間は基本的に日付が変わった後。でも姉ちゃんの通う大学は、午前10時が登校の門限なので、朝6時とかならまだ寝ていて問題はない。
むしろ、朝10時まで寝ていることができる(支度とか含めて朝8時な)のが、僕は非常に羨ましく、少し憎んでいた。高校と大学は違うんだ、ということを感じさせてくれるいい例になったのだが、個人的にも『朝は弱い』ので、是非とも高校でも検討してほしいものだ。
「戻れ!」
「ご主人様、ちょ……」
会話を断つ。イブリースも一応女の子である。服装は、完全に女の子であるし、喋り口調も女の子だ。確かに悪魔ではあるけれど、『女の子と一緒にいた』と思われれば、恋から反感を買うことになりかねない。
僕はそれが嫌だった。殺されそうになるから。妬いた時の恋は、結構可愛い。でも、それを隠すように、僕を殺そうとかかってくるので大変なのだ。
「凛。あんた、なんか隠してるでしょ?」
「いや。隠してなんか無いけど」
「そう。ならいいや。……今日、弁当作ったけど、食べる?」
「昼飯用か?」
「当たり前だろ。……まあ、朝飯にしてもらっても構わないけどさ」
「じゃあ、食べる」
「そっか。んじゃ、学校行く直前に渡すね。……あ、そうそう。ご飯、まだ作り終えてないから注文受け付けるけど、玄米、白米、炒飯どれがいい?」
「白米で。あと、ふりかけよろしく」
「唐揚げあるよ?」
「ふりかけは万能だということをお前は知っていないのか?」
「いや、知っているけどさ。一応、確認だけしておかないと」
「優しいな、お前は」
「まあな。これでも私はお前と12年来の仲を持つ幼馴染だ。腐れ縁だけどね」
「お前の作る弁当は旨いから、腐れ縁のままでいいんだけどな、僕は」
「なにそれ。要は、私が『弁当製造機』ってことかよ。……ちょっとひくわー」
「いや、僕そんなこと言ってないよね!?」
「そう? ……てか、正直『弁当製造機』って言い方、『(赤ちゃんを)産む機械』って風に聞こえるから、即座に言うのやめて。困るから」
「困らないくせに」
「……今度は、昨日以上の痛さで襲うからな?」
「……わかりました。言うの止めます」
「よろしい」
昨日のあの痛みには耐えられない。なにせ、あれ以上の痛みを味わったのなら、確実に僕の片玉が壊れると思う。……想像しただけでも吐き気がしてくる。
「んじゃ、どうする? 朝飯、作ったの?」
「いや。……でも、エリザの姿がないから、もしかしたら朝飯作ったのかな?」
「さあね。でも、食べてみたいよね、エリザさんのご飯」
「確かに。確認してみるか? 作ってるか、作っていないか」
「そうだね」
僕は、恋と共に部屋のドアを開けてリビングの方を見てみる。……作っていない。エリザは一切の料理という料理を作っていない。テレビの前のソファで寝てしまっている。……まあ、あんな起こし方されれば仕方ないか。
「なあ、恋。弁当、余ったやつでなんか作れる?」
「無理。今日は、あんたの分を作るべく、全部使わざるを得なかった」
「そっか。……で、どうする?」
「こっちが聞きたいくらいだよ……」
「コンビニの弁当でも食うか?」
「朝からコンビニ弁当とか……。健康に気を使えよ、ゲーマー……」
「げ、ゲーマーで何が悪い! ……つか、お前だってエロゲやってるんだろ?」
「エロゲに登場する男の子がかっこよすぎたから、私が落ちちゃった」
「……おい。……おい。……マジか?」
「うん。本当に、かっこよすぎた。だって、ヒロインがレイプされて泣いているところに、駆けつけて慰めて……。そして、色々と言うんだよ。で、その台詞が本当に泣けるんだよ。……感動した、本当」
「お前、昨日は『エロゲのデータ全部消してやる』とか言っていたくせに、直ぐにそうやって真逆の事言い出すんだな。見損なったよ」
「ちょ、言論の自由は!?」
「僕、昨日は本当に悲しかったんだぞ。分かってるのか? ……エロゲのデータが消去させられるあの苦しみが。お前には分かるのか?」
「分かった。きっと、分かったと思う……」
「よかったな。お前も今日から『エロゲーマー』だ」
「な、なんかその言い方ムカつく」
「なんでさ?」
「……私が変態みたいじゃんか」
「そりゃあ、エロゲーをプレイした時点で変態なんじゃな……ぐふっ」
「うるさい! うるさい! うるさああああい! ああもう、頭来た!」
「落ち着け、恋。僕はお前に怒って欲しいわけじゃない。な? な?」
「やっぱり、そうなんだよ。人のことをエロゲーの虜にして、自分はその虜になった相手を食べる……。変態。変態。変態。……変態豚野郎!」
「最後はちょっと違うん……ぐあっ!」
親指を強く踏みつけられる。恋の顔には自然と笑顔が浮かんでくる。悪魔だ。この女、悪魔だ。……痛い。痛い。凄く痛い。今直ぐにでもここを出たい。けれど、流石は格闘系の女。強すぎる力に、僕は反撃をすることが出来ない。
「ほれほれ。変態には、これがいいんでしょう?」
「いや、全然良くないし。マジで痛いし。やめて」
切実な思いだ。痛いのは紛れもない事実であり、これ以上されると本当に僕の足が機能しなくなってしまうんじゃないか、という考えすらこみ上げてくる。それだけ痛いのだ。やめて欲しい。でも、されるがままだ。抵抗できない。相手が強すぎる。
そんな中、僕にも対抗策となる案が脳内にて浮上してきた。それは『恋をちょこっとだけ落ち着かせる』ということ。恋には、これからもツンデレで、外は超サディスト、中は超マゾヒスト、というキャラで居て欲しい。だから、ちょっとだけそう修正を加えるための対抗策が必要なのだ。
「恋」
「ん?」
「ちょっとだけ、目をつぶれ」
「は? ――おいちょ、待っ……」
僕の胸の中に恋の顔を埋める。そして、窒息しない程度に強く顔を抑えて、僕のベッドに押し倒す。ちょこっとだけ期待させておいて、後で笑いに変えてくれれば一番ありがたいものだ。……けど、そう簡単に行くようなことではない。こいつには柔道で学んだ数々の技をこなす力がある。となれば、その技に巻き込まれた瞬間、僕は恋の餌食になるほかない。
「こ、こら離せ……」
「待ってね。ちょっと付けるものがあるから」
「付けるものってなん……っ」
恋の目の前は真っ暗だ。きっと、真っ暗なんだ。眼の前に居るのは僕だとわかっていても、一体何を着けられるかわかっていない。だから、少し怖いかもしれない。……ただ、それは僕にとって見れば、凄く有難いことだ。なにせ、恋を本当のマゾに変えることができるから。怯えた状態の女がどれだけ可愛いか、それを僕は知っている。ゲームの世界で、リアルの世界で。
「オッケーだ」
「ま、前が見えない……」
僕が恋に着けたもの。それは……目隠しだ。と言っても、店で売っているような普通のタイプの目隠しではない。横に長い黒い布で目の周りを縛って見えなくしただけの、簡単な目隠しである。解くのも非常に容易だが、加えて恋には手にも拘束させてもらったので、動くためには相当なハンデが付いてきてしまう。
「どうだ、凛。目の前が見えない感覚は。……お前のことだから、こういうことをされると楽しくなるんだよな。笑顔になるんだよな。マゾだから」
「わ、私はマゾなんかじゃない! 勝手に決めるな!」
「そうやって強がっていられるのも、一体いつまでなんだか。……つか、手も拘束されているんだから、一々抵抗しても無駄だと思うけど」
「い、今直ぐ拘束を解けえっ! 私にはやらなきゃいけないことがあるんだ」
「例えば?」
「か、髪の毛梳かしたりだとかさ、シャワー浴びたりだとか……」
「僕が一緒に入ろうか?」
「へ、変態っ! ……きゃあっ!」
僕のことを叩こうとしたようだが、前が見えないため、ベッドから落ちそうになった。僕がぎゅっっと抱き寄せると、恋の身体が一気にビクビクっとした。恋の身体は本当に柔らかく、僕の身体とは全然感触が違った。……まあ、僕はそこまで筋肉が有るわけでないし、腹筋も割れているわけではない、普通の体型だ。それでも、体重は60kg程度だ。一応、これでも恋が健康に気遣った料理を作ってくれたり、姉ちゃんが健康に気遣った料理を作ってくれたりしたおかげだろう。
そして今、僕が抱いているのは恋の身体である。幼いころのこいつの身体からはいい匂いなんて全然しなかったのに、高校3年生になって抱きついてみると、凄いいい臭いがする。それに、恋も嫌がってないようだし、もうちょっと過激に行こうか。……いやいやいや。恋に対して何欲情しているんだ僕は!
ちょっと気を取り乱したらしい。男という生き物は、なぜこれほどにまで性欲に振り回されなければいけないのか。……けどまあ、女として産まれていたら、今頃僕はどうなっていたのか……。
ふと、そんなことを考えながらいると、恋が僕の身体をつねってきた。
「離せ」
「もうちょっと温まっていたいんだが……駄目か?」
「私は湯たんぽではない。それに、抱きまくらでもない。……離せ」
「照れてる?」
「ど、どうしてそうなるんだよ! て、照れてねえよ! ……つか、マジで前が見えないんだ。……あの、本当に怖いんだよ?」
「怖いだろうな」
「だ、だからマジで離してくれ! な? ……へ、変なことされたくないんだ」
「いや、僕は別に変なことをする気はないが……」
「じゃ、じゃあ離せってば!」
「いや、目隠し取らなければ前は見えないし、前が見えなければ補助が居るのだから、その補助を僕がしてあげるよ。……ちょっと湯たんぽ代わりに温まらせてね。温めさせてくれたら……僕がお前にラノベ全巻貸す」
「す、凄い事言うな。……って、騙されないぞ?」
「だよな。……まあ、僕も正直、そろそろ腹が減ってきたから飯を食いたくなってきたんだ。……作ってくれないか?」
「凛って本当に自己中心的な男だよね。……まあ、幼馴染だから『はいはい』って許しているけどさ、今後、自分の嫁とか出来たらどうするのさ?」
「僕は二次元こそ至高と思っている人間だからね。……それはおいておいて。ま、調教でもして、僕の言うことをなんでも聞いてくれる嫁に仕立て上げるんじゃない?」
「ないわー。めっちゃひくわー」
「ひ、酷くね!? ……じゃあ。酷いことを言っちゃうような恋にはお仕置きしないとな。……心しておくんだな、恋よ。僕はサディストだぞ?」
「わ、私だってサディスト……あっ、ひゃひゃひゃっ!」
こちょこちょこちょ、と、右の脇の下をこちょこちょしてみる。左手はどかさず、ぎゅっと恋を抱きながら、右手で。ガッチリと閉じられていく。目隠ししているため、相当感度もいいらしく、こちょこちょする度にビクビクしている。……女は男より感度がいいらしい。それも色々と関係していると思うけど。
「ばっ、り、凛んんっ! やめへっ! はひっ!」
「こちょこちょ、意外と効くんだな」
「違っ。私は全然、くすぐったくなんかなっ……はひっ!」
「いつまでその強気を貫けるかな? 自称サディストさん?」
なおもこちょこちょを続ける。流石に30分とか、そんなに長くすることはしない。なにせ、30分だとか、凄い長い時間こちょこちょをすると、死んでしまう為だ。前に何処かのテレビで放送していた。あれ以来、僕もこちょこちょは5分以内に収まるようにしている。『5分』という文字に、何か意味があるわけではない。けど、それでも自分なりに制限を設けている。それも、サディストとして当然の事。一定以上の事は求めない。傷めつけるのはサディストの役目だが、相手を思いやりながらしなければ、それはただの『虐め』である。そうだ。それは『お遊び』でも『プレイ』でもないのである。
「も、もうやめてえ……やめてえ……お願いします……はひいっ!」
そろそろ手も疲れてきたので、僕は恋に強く言ってみた。そして、低いトーンでゆっくりと。耳元で囁いた。
「なあ、恋。どうだ? いい加減、自分がマゾヒストだって、認めろよ」
「わ、私はマゾヒス……あははははははは……ひゃひいっ!」
「認めろって言ってんだろ。聞こえねえか?」
「ほ、本当に私はサディストだよ……。マゾヒストなんかじゃないよ……?」
「そうか。……お前の『抵抗』は、どうみても『楽しんでいる』ようにしか見えないんだけどな。お前、本当に『サディスト』なのか? ……それにさ、終いには『お願いします』って言ったじゃん。お前、本当はMなんだよ」
「……な、泣くよ?」
「泣けば? ……サディストは、マゾヒストの涙を見ることで笑顔が生まれるからね」
「鬼畜。変態。バーカ……」
「泣きたいのか? いっつもいっつも、僕のことをバカにして。偉そうに」
「ち、違うよ! 偉そうになんかしてない!」
「エロゲのデータ消すだとか、僕の背中を踏んだりだとか。酷いよな、お前」
「……」
「だからさ、僕、傷ついてるんだよ?」
「で、でも……。じゃ、じゃあ、これがその仕返しってこと?」
「そうだ。僕はやられたらやり返す人間だ。10倍でも、100倍でも、1000倍でも。どんなに鬼畜と言われようと、好きな人間のためには頑張るぞ」
「す、『好き』な人間……?」
「どうした?」
「ひょっとして、凛って私のこと好きなの?」
「普通だろ。12年来の幼馴染の仲だぞ? 朝からご飯も作ってくれる、将来有望な幼馴染を好きにならないなんて、そりゃあ大損だろ」
「す、好きなのか……私のこと……」
「あ、一つ言っておくけど、『ライク』だぞ?」
「え」
「お前、まさか僕がお前を『女として』の方の意味で好きだと思ったのか?」
「わ、わ、わ、わ、わ、悪いかあああああああっ!」
「意外と、そういう一面もあるんだな。これが……『デレ』なのか」
「あああああっ! うるさいうるさい! 私にとって被害を及ぼす事ばかり言うんじゃねええっ! やめろおおっ! ああああああっ!」
恋は火消しに必死だった。自分が恥ずかしいことをしてしまった、と思っているようで、それを消そうとして奮闘するのだが、僕の脳内にはちゃんと記録として残ってしまったため、そうそう消すことは出来ないだろう。
でも、恋にもこういう一面があるんだ、と思うと、もうちょっとからかいたくなる。……外は強くて中は弱い、か。こいつには話で攻めるのが一番だな。それに、12年来の幼馴染ということも有り、非常に会話がスムーズに進む。そういった面でも、こいつは本当に僕にとって見れば、心の支えみたいなものなのだろう。……エロトークだって、最初は凄い恥ずかしがっていたのに、今じゃちょっとは抵抗有るようだけど、殆ど話に付いてきているし。
やっぱり、最初から恋は色々なエロいことを知っていたんだろう。
「ま、これからもよろしくな。……涙、吹き飛んだ?」
「あ……」
「撫でてやる」
「あ、ありがと……」
目をつぶり、撫でられることに前向きな姿勢を示す恋。……が、その時。ドアの階段から足音が聞こえてきた。
ゴクリと唾を呑んで、恋をベッドの下に移動させる。
「早く移動しろ」
「え? ちょ……」
恋が何か言いたそうにしていたが、そんなことお構いなしだ。僕は、恋をベッドの下へ向かわせた後、部屋に入ってきた人との話に移った。
「エリザか……」
「な、なにさ、その態度は!」
「うるせえな、朝から。つか、飯食べるぞ、飯。……コンビニの弁当と、近くの牛丼屋の弁当と、朝からハンバーガー。さあどれがいい?」
「うーん。牛丼がいいな! 私、日本食って意外と食べていないからさ」
「わかった。んじゃ、僕、エリザ、あと恋の分だな。取り敢えずチャリで行くか。……いや、普通に朝から魔力を使おう。大幅な時間短縮になるし」
「それじゃあ、それで」
「おう」
部屋の窓から牛丼屋へ向かう。今日は、いい天気だ。本当、秋晴れって感じである。とはいえ、もうすぐ紅葉も終わって散って、雪化粧していくんだろうけど。
***
僕は、エリザと恋には並を、僕には肉多めで注文して帰宅した。
「こ、これが……牛丼……」
リビングにはエリザと恋が待ち構えていた。割り箸を貰ってきたのだが、テーブル上には箸がきちんと用意されていた。でも、恋の分だけはなかったので、恋の箸のみ割り箸、ということになった。
「い、頂きます!」
朝6時30分。テレビを付け、ニュースを聞く。神戸の天気は今日は晴れのち曇り。降水確率は10%。きっと雨はふらないと思う。気温は平年並み。
「さあ、食った食った」
みんなが牛丼を食べていく。恋に関しては、元から男子並みに食べるので、ちょい汁多めに入れておけばよかったかな、と今思ったが、現実そんなことはなく、全然腹一杯になったらしい。対してエリザは食べ終わると、直ぐに歯を磨きだした。……まだパジャマだった。早く着替えないと駄目だからだろうか。男だからわからんが、女には女なりの苦悩ってのが有るんだろうな。
そして今日も制服に着替えて、所持金5000円弱(牛丼代金を引いて実質現在所持金約4000円)を持って、僕は恋とエリザと共に家から出た。
出た時に吹いた風は、冬を感じさせる冷たい風だった。




