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Future  作者: 浅咲夏茶
4th Chapter;Asmodian of mythology and Gods of mythology.
44/127

Target:Elisa and Hideaki./episode43

 あの言葉の背景には、おそらく何かが隠れているはずだと、僕は思った。けれど、「好きだ」と言われて僕は照れてしまい、答えるのをやめてしまった。

 

 寝る前も、エリザとは話すことが気まずくなって、何一つ喋らないまま、お互いに眠りについた。


 ***


「起きて下さい、先輩。先輩……」

「……ん?」

「英洙です。……魔族討伐の時間ですよ、先輩。その隣の人も、魔法少女じゃないんですか? ……それなら、早く行きますよ、先輩」

「また魔族討伐なのか……」

「はい。今回は、魔王を相手に戦います。凄い強い魔王です。名前は……イブリースです。イスラム教の魔王様です。……そういえば、会長から聞いたんですが、先輩は魔王とかを殺すのには興味がない……いや、それを拒否しているのですよね?」

「確かに魔王を殺す、だとかは興味はないな。けど、それは『話を受け答えできる魔族』にのみ通用するのだ。殺さないで魔族を完全に討伐しようなど、無理だ」

 神戸港で会長が言っていたことを思い出す。あの時、会長は発狂していて、気が動転していた。魔族討伐のためには、「『攻略で全てOK』なんていう、甘い考えは捨てちまえ」ということを忘れろ、と僕に教えてくれた。でも、やっぱりそういう訳にはいかなかったのだ。僕には人を殺すこと、魔族を殺すこと、動物を殺すこと。そんなことは僕には出来ない。

「先輩。行きますよ、魔族を討伐しに」

「何処へ向かうんだ?」

「高校です」

「魔族が高校にいるのか?」

「はい。居るようなんです。……早朝の学校に魔族って、何か新鮮ですよね」

「何を言っているんだ、お前は。何が新鮮だ、馬鹿野郎」

「せ、先輩?」

「それって、会長が言い出したことか?」

「はい。メールで僕に送られてきたんです。零奈は直に会長に呼ばれたそうなんですが、僕に来たメールには、『先輩と一緒に行け』と書かれていて、それで先輩のところに来たんです」

「……早朝4時だぞ、今」

 隣の家の部屋の明かりでうっすらと、僕の部屋の机の上に置かれた時計が照らされる。時計が示す現在時刻は4時50分。――眠い。そして早朝だから寒い。尋常でないほどの寒さだ。この神戸の街で、霜が降りたんじゃないかとも疑ってしまうようなこの寒さ。本当に寒い。正直、布団から出たくない。

「分かってます。けど、僕も先輩を連れて行かないと、後々会長に何されるか……」

 あの会長は、ああ見えて結構後輩を扱き使う女だ。ボクっ娘として、可愛く振舞っている。まあ、僕も可愛いと思っているが、後輩達からは『厳しい母親的な女』と言われている。そして、昔会長は高校の全部活に所属していた時期があった。……確か、仮入部の時だったと思う。そして、それから1年生の間、全ての部活に入部、退部をした。そんなことをしているくせに、学力はいつも上位に来る女だった。今は僕と同レベルの学力だが。

 僕は、これでも1年生の入学したときは、まずまずの成績しか取っていていなかった。この学年の人数345人中、250位以内に居れば上等、というような頭脳だった。「これくらいでいい」と思っていたが、その年の12月。僕に転機が訪れた。

 きっかけはエロゲだった。その頃から、僕はエロゲに浸っているような人間だった。決してクズというわけではないと願いたいが、感じ方によって、クズ以外なんというのか、とも思われそうだ。


 エロゲで転機、なんていう事が有るのか、と思うかもしれないが、本当に転機が訪れたのだ。そのエロゲが、今僕が新作が更新されて発売される度に購入しているエロゲだ。そのエロゲの内容は、三角関係を描くわけでもなければ、鬱を描くわけでもない。王道の恋愛ストーリーだ。

 ヒロイン一人を選択し、そこから告白、デート、キス、デート、キス……そして、最終的にベッドシーンへと向かっていく。でも、そのエンドが辛いことも有る。選択肢を誤れば、鬱エンドに繋がる。けれど、選択肢を誤ることなど、5%にも届かないくらいの確率だ。普通、選択肢で戸惑うことはない。


 おっと。相当話が逸れすぎた。寝起きだから余計なことばかり考えてしまうようだ。……変な言い訳だが、いい言い訳だと思っている僕がいる。

「それじゃあ、エリザも連れて会長のところへ向かおう。……学校だな?」

「はい。それじゃあ、その隣の方を起こしてくださいよ、先輩」

 僕は返事を返した後、エリザの頬をつねってみた。

「う……」

 つねっても起きないので、強く頬を叩いてみる。

「痛っ!? ……って、だ、ダーリン? お、おはよ……」

「魔族討伐だ。支度している暇はない。すぐに魔力を開放して学校に向かうぞ」

「か、顔とか洗わせてよ……」

「そんな暇はない! ほら、行くぞ」

「ダーリン……酷いよ……」

「魔力……開放!」

「ちょ、何もう魔力開放してんの?」

「お前が全然魔力を開放しないからだ。……それに、すぐに終わるはずだし、そこまで時間を掛ける必要はないと僕は思うんだけどな……」

「そ、それならダーリンについていくよ! ……で、でも、また女の子とイチャついたりしたら、私嫉妬しちゃうかも……」

「勝手に嫉妬してろ。少なくとも、僕はお前を嫌っちゃいないし、むしろ好きだけどな、お前のこと。……あ、変な意味で捉えんなよ?」

「ダーリンのこと、だいだいだーいすき!」

「なっ……」

 朝からくっついてきやがる。当然、ふにゅりとしたあの感触が背中に伝わる。朝、寝起きだから、生理現象で僕のアレはああなっている。正直、このままでは、エリザにバレた瞬間に終わる。「鎮まれ」と心のなかで叫んでいるのにもかかわらず、僕の脳内はそれを拒否する。

「おい、エリザ。早く魔力開放しろ」

「……魔力、開放!」

 エリザもちゃんと魔力を開放したところで、やっぱりエリザは僕に密着してくっついてくる。そして、耳元で「ダーリンは、私との子供の名前は何がいい?」などと、供述している。正直、耳元で言うのはやめて欲しい。僕の心が相当高鳴るからだ。今、僕の心のなかは『超』が付くほどバクバクしている。

「それじゃあ、先輩の彼女さんも一緒に、飛んでいきましょうか」

「い、いや、エリザは僕の彼女じゃない……」

「先輩、そういう所で照れちゃ駄目ですよ。だから会長に『女っぽい』って言われるんです」

「会長、そんなこと言っていたのか?」

「はい。昨日、なんか会長が言ってたんです。『私この後、凛とデートだから、あいつの事、めっちゃ可愛がってやる』って。凄いニヤけてました」

「あの会長、たまに酷いことぶっちゃけるから怖いんだよな……」

 その時だった。僕の腹部をとてつもないような痛みが襲ったのだ。なんとなく、誰がしたのか分かる。……犯人はエリザだ。

「ダーリンのバカ! 私という、未来の産む機械を持っておきながら、新たに女の子を攻略していこうなんて、酷いよ! どうせ、ダーリンのことだから、色々とエッチなことしたんでしょ? あんなことや、こんなこと!」

「おいバカ。まだ早朝だぞ。五月蝿くしたら……」

「ダーリンの変態、性欲魔神!」

「いや、僕はそんなんじゃない! 信じてくれ。エリザ……。考えを改め直そう、な?」

「その話には乗れません」

「なっ……」

「ダーリンが私を捨てようとしているから、私もちょっと冷たくする」

「や、やめろ……。お前が離れると、正直寒いんだぞ……」

 告白だとかそういう訳じゃない。好きって思いを伝えようとした訳じゃない。ただただ、今寒いから、人肌の温もりで暖かかったから、そういう理由だ。

「じゃあ、ダーリンの為にくっついていてあげる……」

 エリザは、冷たくしようとしていたのからは一変。一瞬にして顔つきを変えた。隣で僕とエリザのやりとりを見ていた英洙は、僕とエリザが「恋人」であると誤解してしまったらしい。ここまで仲睦まじい関係を見られたためか、誤解したようだ。幼馴染っていう特殊な関係だけなのに。ちょっと離れ離れになっていただけなのに。


 ***


 僕ら三人は、高校に向かって飛んでいった。

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