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Future  作者: 浅咲夏茶
4th Chapter;Asmodian of mythology and Gods of mythology.
36/127

Target:Ren_part06/episode35

「38度の熱で風呂に入れていいのか……?」

 スマートフォンを取り出して、僕は調べてみる。いいだとか、悪いだとか。意見は様々だ。要は「自分で決めろ」ということだろう。なにせ、某巨大掲示板を創った人は言っている。「嘘を嘘だと見抜けない人に、ネットを使うのは難しい」と。確かに僕もそのとおりだと今思わされる。

「……き、着替えたぞ」

「おう、わか……っ!?」

 僕の前に現れたのは、恋であるのには間違いないのだろうけど、その服は、どう見てもファッションセンスとか、そういうものは無い、普通の服だった。無地の灰色、デブがよく着るああいう服だ。が、その服から見るに、今もう一度恋が巨乳なのだということを再確認させられる。

「……どうした?」

「いや、なんでも。じゃあ、もう一回測ろうか」

「うん。……あ、胸つつかれたくないから自分で測る」

「ケチ」

「ケチじゃない!」

 僕は体温計を持ってきて、それを恋に渡した。


 ***


 数分後――じゃなくて1分程度。恋の熱は上がっていた。ついに39℃台に突入し、早急な手当が必要となった。体温計では42℃という表記がないのからわかるように、40℃にいかないようにしなければならない。40℃というのは、「超」高熱というわけで、41℃なんて生と死のはざまみたいなものだ。だから、39℃という熱は、高い熱を意味する。

「熱か。……頓服薬でいいから、食べたら飲め」

「頓服薬なんてあったっけなあ……」

「知らないが、有るだろうきっと」

「そっか。でも、無かったら凛が持ってる頓服薬頂戴」

「はいはい。それじゃ、生姜スープとアクエリアース持ってくるね。ご飯余ってなかったら、お前おかゆ要らなそうだったし、スープとアクエリアースだけでいいよな? 食欲無さそうだし」

「うん、有り難う」

「まあ、あれだ。この部屋から移動するのも大変だろう。持ってくるよ」

「私は別に動けるのに……ゴホ」

「咳、治ってなかったか」

「治ってないみたいだね……」

「ま、持ってくる」

 僕は階段を降りて直ぐに台所に行き、そして戻った。やはり、暖房の効いている部屋と効いていない部屋では、この温度差は結構な差だ。

「ただいま」

「おかえり」

「机は……勉強机でいいな。んじゃ、冷ましてあげるよ」

「どうやって?」

「『ふーふー』とかがいいか?」

「口移しは?」

「アホか!」

「照れるなって」

「違うわ! ……あのな、お前は病人なんだ。ただでさえ、免疫力が弱まっているのに、口移しなんて言語道断だぞ。僕の菌が移ったらどうするんだ」

「移らないと思うけどなあ、菌なんて」

「はあ。じゃあ、ふーふーでいいだろ」

「うん」

「じゃあ、ふーふーする」

 僕は、机の上においておいた生姜スープの入った皿を手にとった。金属と木では、この熱さに違いが有る。なにせ、本当に金属は熱くなるのだからな。木材を使っている茶碗は、全然持てるレベルだが、金属は時と場合によるが、とてつもない熱さで持ち主を襲ってくる。

 今回、僕の使用した皿は金属じゃなくて木の茶碗で、持った時に襲ってくる熱さは普通のもので、熱すぎるわけではなかった。

「なんかさ、こうやって二人きりで部屋にいるってのも久しぶりじゃないかな?」

「まあな。愁やら梨人やら。エリザが僕の家に来てからは、本当、二人きりなんて時間はなかったしな。お前となんてさ」

「そうだよ。明日から学校か……」

「また休んで水掛け合うか?」

「それしたらまた風邪引くと思うけど」

「あ、あれが原因でお前は風引いたのか!」

「今日、大雨の中で外でたむろして滝の前に居たからだろ……」

「まあ、いずれにせよ、お前が悪い」

「そうだね。『私が風を引いたのはお前が悪い』なんて言えないもんね」

「なにそのさり気なく、『私がモテないのは』みたいに言うの」

「たまにいるよね。キャラクター投票で、メインヒロインなのに一位じゃない奴」

「確かにいるよな、そんなキャラクター」

「まあ、そんなことはさておき。早く夕飯を」

「はいはい」

 僕は茶碗を持ち、スプーン一杯にすくった後、ふー、ふーと息を二度吹きかけた上で、僕はそれを恋の口に運んだ。

「あーん」

「あー……んむっ」

 目を瞑る恋。少ししか見せてくれないその姿だったが、その姿は可愛いという言葉以外に当てはまる言葉がない。

「美味しいか?」

「うん、美味しい」

「あのさ、これしてんの疲れるからお前、自分で食え」

「えー」

「どうせ食えるんだろ」

「く、食えると思うけどさ……。せ、折角女の子とイチャイチャ出来るんだよ?」

「……お前、自分から『女の子とイチャイチャ』とか成長したな」

「成長って……おい」

「いやさ、僕もそろそろディナーを食べたいからさ」

「ディナーに何食べるの? ……ま、まさか私にだけスープ飲ませて、自分は美味しいコース料理でも食べようっての!?」

「……僕はそんな人じゃねえから」

「そうかなあ?」

「12年来の付き合いだろ。……いいから自分で食え。寝るときは一緒に寝てやるよ。流石に明日学校だから僕も徹夜したくないし」

「寝不足だったりするの?」

「それはないな」

「そっか。でも、やっぱりあーんってしてもらいたい」

「何? 僕を誘っているの?」

「それは無……くない。誘ってる、っていうのは間違ってるかな?」

「じゃあ、僕だからそういう事するの?」

「……そうだって言ったらどうする?」

「お前のツンデレキャラが崩壊して、デレデレキャラになったんだなって思うと思う。要は、『攻略完了したからもう要らね』的な感じ?」

「……キモオタニート共に勝手に『俺の嫁』とか言われて、イケメンに攻略されて嬉しいなあ、と思ってた美少女キャラが、そのイケメンの本当の姿知ったら可哀想だよねえ……。しかしまあ、凛はそんな男じゃないと思うけど」

「そうだよ」

「その言葉は信用出来ない」

「最低だな」

「最低じゃないよ」

「ま、僕はディナーを持ってくるよ」

「何食べるの?」

「ご飯1パック」

「パックって事は、冷凍……じゃなくて、俗にいうインスタント系か」

「そうだ。流石に、僕は風邪引いているわけじゃないから、お前みたいに生姜スープとアクエリアースだけじゃ、流石に身体も持たないしな」

「そっかー。それじゃあ、仕方がないってわけだね」

「そういうことになるな」

「そのご飯、ちょこっと私に分けてもらっていい?」

「熱いぞ?」

「いいよ別に」

「じゃあ、持ってくる」

 僕はまた急いでご飯を取りに行った。同時に、恋の家の窓がしっかりと閉まっているか確認した。そして確認を終えた上で、僕は恋の部屋へ戻った。

「ふう」

「何その、自家発電した後みたいな言い方」

「恋、風邪引いたから羞恥心忘れたのか?」

「……分からないや」

「そっか」

 恋は、僕が戻ってきた時には、生姜スープを飲み終えていた。そして、アクエリアースを手にしていた。更に、テレビを付けていて、バラエティ番組を見ていた。ああ、そうか。今は午後7時を回ったしな。俗にいうプライムタイム。視聴率を取らないとヤバイ時間帯だったっけか。

 そんなどうでもいいことを考えながら、手に温かいインスタントライスを持ち、僕は恋の机とセットで置かれていた椅子に座った。

「なあ、恋。お前、正直なこと聞きたいんだが、エリザのことどう思う?」

「私より胸大きいし、英語も日本語も喋れるバイリンガルみたいだし、しかも外人譲りの茶髪。作り出した感じがしない髪だし。……しかも力は私と同じ、いや同程度以上だし。凛とはいっつもくっついているし」

「無敵って訳か」

「そうそう。……つか、凛はあんな可愛い子に『ぎゅー』とかされて、羨ましいなあ。私もあんな妹欲しかった。……妹じゃなくてもいいけど」

「妹じゃなくてもいいのかよ」

「いいのだ」

「それじゃ、ご飯食うんだろ?」

 僕は話の話題を変えた。まあ、こんなこと聴き始めたのは僕なわけで、変える必要もなかったのだろうけど、一応確認だけしておこう、そう思ったのだ。

「そんなに要らないよ。……一口あーんでいい」

「はあ。……じゃあ一発いきますかね」

「おうよ!」

「あーん」

「うー。うむ。……旨いね!」

「そうかそうか」

「うんうん。……これ食べたら元気が出たよ! それじゃ私、もう寝るね」

「待った。薬を飲んでいないぞ」

「そうだね。歯も磨いてないや」

「それこそ、歯を磨いてやろうか? ……流石に薬を飲ませるのは無理だけど」

「歯を磨くって……。でもなんか、それされると一気に子供になった気分になりそうだなあ。……でも、たまには凛に甘えてみるのもいいか」

「そうだぞ。これでも僕は優秀ってのは一応建前として。けど、それ以上に家庭的な男としてもイケるように頑張ってんだよ。僕の顔はこんなだからね」

「凛は十分イケメンだと思うんだけどなあ……」

「そうかな? そんなこと言ったら、お前なんてもっと可愛いだろ」

「有り難う。お世辞だろうけど、有り難く貰っておくよ、その言葉を」

「お世辞じゃないし」

「嘘でしょ」

「嘘じゃないよ。……まあ、嘘か本当かはお前が信じる次第で決まるんだが」

「そうだね」

「じゃあ、歯磨きしに行くか」

「はーい。……ねね、あのさ」

「ん?」

「エリザちゃんみたいに抱きついてみていい? おんぶとか大丈夫?」

「ま、病人に対しての看病は必要だしな。いいぞ。おんぶしてやるよ」

 僕はおんぶしてあげる、とだけ言って、直ぐにおんぶをできる体勢になった。といっても、最初から立っているわけにはいかない。当然、しゃがんで、乗らせてから立ち上がらなければならない。

「どうだ?」

「天井が近い」

「そうか。ま、流石に危ないから、危ないと思ったら俺の肩でも叩けばいい」

「じゃあそうする」

 僕はエリザを台所へ運ぶ。12年来の付き合いともなれば、幼馴染の家の部屋の配置なんて、覚えたも同然。なにせ、恋の場合は人の部屋に勝手に入ってくる奴だったからな。今じゃ、流石にエリザが居るからやらなくなったのだろうけど、昔は良く入られて起こされたものだ。

 今、僕って本当、いい生活してきたんだなあ、と思う。女の幼馴染が二人居て、しかもそのうちの一人とは家が隣、起こしに来てくれたことすら有る奴で。そして、なにより僕が認めた『ツンデレ』である。暴力を振ることはまあ、滅多にないだろうけど、それでもこいつがいると即戦力になる。

 しかし、今はそうも言えない状況だ。恋だって風邪を引いている。くしゃみとかはしていないようだけど、咳は出ているし。高熱を出しているし。インフルエンザで無ければいいのだけど、そういう時に限ってなったりする。

「なあ、恋。ちょっとソファに座ってくれ」

 台所まで移動し、僕は恋をソファに座らした。僕はソファではなくテーブルの上に座って、僕はそこで恋に指示を出した。

「な、なに?」

「僕を殴れ」

「凛。あんた、もしかしてドの付くほどのM?」

「いや、お前が回復したかどうか知りたいだけだ」

「それで私の力を測ると……」

「ああ」

「じゃあ、いくよ?」

「どうぞ」

「えい」

「普通だな。もっと強くしてみ」

「じゃあ、今出せる最高の力で……えいっ!」

「うおっ……。い、痛いな。けど、いつもよりは弱いな」

「そっか。……じゃあ、今の私はか弱いってことか」

「そんなことはないだろ」

「それって、私が弱っていても女の子らしくないってわけじゃん」

「それはないと思うぞ……」

「それはお世辞をどうも」

「褒めてやってるっていうのに。なんでお前はこういう時もツンツントゲトゲしてんだ。少しはデレろよ。僕だって、お前を攻略して居るわけじゃないし」

「なにさ、攻略って。まさか二次元と三次元を混同させてしまったのか?」

「……悪い。言い方が悪かった。『お前を口説いているわけじゃない』ってこった」

「く、口説くとか、なにさ突然……」

「いや、今思うとお前は力も強いし、家事もできるし、面倒見が良いし。いい嫁さんになるんじゃないかなあ、と。ま、歯磨きするぞ」

「恥ずかしくなったのか? 顔真っ赤になっていくのか?」

「か、顔真っ赤とか、私はそんな風になってないだろ!?」

「熱出してるからね。わからないんじゃないかな」

「……確かに。……じゃなくて、もう早く歯を磨いてくれ!」

 顔を真赤にする恋。言われるとそういう風になっていってしまうタイプか。それなら、もっともっと辱めてあげよう。でも、それは今じゃなくていい。辱めることくらい何時でも出来る。

「じゃ、お前の歯ブラシを欲しいんだけど」

「ほ、欲しいとか、変なことに使わないよね?」

「馬鹿か! 僕がどんな変態だと考えてるんだお前は!」

「だ、だってあんな一杯エロ本とかエロゲとか持ってる時点で……」

「確かに誤解させたのは悪かったな」

「そうだぞ。い、いっつもエリザちゃんとくっついて、変なことしたらって思うと私、本当に心配しちゃってさ……」

「『変に心配しちゃうから、どうせエリザちゃんを困らすくらいなら私になんでもしていいから。身体とか壊してもいいから』……って事を言いたいのか?」

「裏声で言うな!」

 わざと僕は裏声で言った。恋は当然それを見ぬいた。見ぬいたもの何も、見抜けないほうがおかしい気もする。12年来。いや、これくらいエリザでも見抜けてしまうだろう。なんて下らないことを言っているのだろう……。

「ま、まあ、早く歯を磨いてしまおう」

 今までの事を消す感じで、僕は恋の歯を磨くことにした。

昨日は、腹部に激痛が走ったので、休みました。

いやあ、恋ちゃんと同じ事を僕が経験するなんて、本当になんてこった。


風邪なのか、ただの腹痛なのかわからないのですが、取り敢えず整腸剤飲んで寝ます。眠気が強くなってきて、書くペースが落ちると思いますが、どうかご了承下さい。

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