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Future  作者: 浅咲夏茶
3rd Chapter;Genie Cheats.
27/127

Target:Elisa and Haku/episode26

 妹の部屋に移動し、エリザを中に入れた後、鍵を閉め、妹の部屋の現状を把握することに務めることにした。

「あのさ、エリザ」

「ん?」

「妹の部屋、相当散らかってるよな。なんでこんなに一杯パンツやら、菓子の袋やら。本当、あの妹は一体何を考えているのか……」

「確かにね。ここまで散らかってる部屋見ちゃうと、さすがの私も驚くよ」

 エリザは先程までの『掃除イヤ』という気持ちを逆にし、『掃除してやる』という前向きな気持ちになってきた。それこそ、このパンツや菓子の袋を『巨人』だと思えば、駆逐したくなるのは当然だ。それこそ、登場人物同士で共通するところもある。ある登場人物の名前のはじめにカタカナの『エ』が付くということだ。

「……本当、家が狭くなってきちゃうよね、こんなことされると」

「ああ、僕のイェーガー!」

 僕が進撃●巨人の中から少々のネタを持ちだして使うも、エリザは顔を微笑ませることはなく、険しい表情になっていった。せっかくのネタがこうなってしまうと、結構傷つくのは僕だけだろうか。

「イェーガーって、ドイツ語で『狩人』だけどさ、そういうネタ? それとも『進撃』ネタ?」

「後者です」

「そっかー。でも、ダーリンの部屋に置いてあったっけか?」

「ああ、置いてある。僕はギャルゲー・エロゲー廃人である以上、ラノベや漫画にも詳しい人間でいようと思ってな。だから、殆どのラノベや漫画、エロゲやギャルゲはちゃんと続編も買っている」

「ヲタクって、無駄に金持ち多いよね」

「だって、お金ないとグッズ変えなくて直ぐ金欠になるじゃん」

「それなら買わなければいいものを……」

「ふっ。エリザはまだヲタクじゃないようだからそんな素振りを見せられるんだろうな。真のヲタクってのはな、書籍やゲームだけじゃなく、グッズも買うし、コミケも行くし、声優のコンサートは勿論、BDやCDも全部揃えるんだよ!」

「……エロゲーに囚われたダーリンに言われると言い返せない」

「え、エロゲーに囚われたとは何だ! 僕はそんなことした覚えはないぞ」

「恋に執事コスさせて神戸のアニメイトに行ったのは昨日だったよね……?」

「……うぐ。あ、あ、そ、そうだ。掃除、掃除をしよう」

「話題、逸らしてるよね? 気づくんだよ、女は察せれる生き物だから」

「ちょ、エリザ怖い……」

「そっか。じゃあ、怖く感じないようになんでもいうこと聞いてあげようか」

「え? ん? 今なんていった?」

「いや、なんでも。ほら、掃除掃除」

 聞こえていたが僕はあえて難聴の振りをする。最低な人間にも見えるかもしれないが、別に僕は自分から『ぼっち』だとか『友達が少ない』だとか行っていないし。むしろ、リアル社会でこういう嘘を一切つかないと、騙されるし、コミュニケーションも取りづらいはずだ。

「……掃除機か。けど、まずパンツ片付けないと駄目だろう」

「パンツ……。ま、まさか、ダーリンは実妹のパンツに興奮する変態!?」

「おいこら」

「あ、ごめ……。度が過ぎちゃったよ。でもまあ、そういう人じゃないなら良かったよ。つか、もし私の夫がそんな人だったら最悪だし」

「そんな夫、結婚しなきゃいいだろ……常識的に考えて」

「だよねえ。……さて、パンツの回収に移りますかね」

「回収言うな。別にこれは『回収作業』とかじゃないだろう。『駆逐作業』じゃないのか?」

「まだ『駆逐』という言葉を引っ張る気か。もういいだろう」

「もういいか。じゃあやめる」

「即決だな。だがそれがいい。……んじゃ、パンツどうするの?」

「片付けて、そっと箪笥に片付けてあげればいいだろ。途中で姉ちゃんとか会長に見られたらアウトだろうな。一番危ういのは恋だろうけど」

 僕の予想はあたった。なんと、姉ちゃんが後ろに現れたのだ。恋や会長じゃないだけマシか。そして、登場と同時に僕の背中に冷たい何かを当ててきた。

「ひゃうっ!?」

「義姉さんも目覚めですか」

「ああ。ぶっちゃけ、もう8時だろう? 時間の流れは早いなあ、って思いながら居たんだけどさ、そろそろ飯食おうかと思っていたら、丁度エリザちゃんと凛が美来の部屋に入ろうとしていたのを見てしまってね。まさか、こんな朝っぱらから、しかも人の部屋でイチャラブしてるんじゃないかと心配になって」

「そ、そんな心配いらないよ、姉ちゃん!」

 が、姉ちゃんの一言がエリザに火をつけたのか、僕の一言がエリザに火をつけたのか。別に、そんな明らかな ××(チョメチョメ)はしていないし。でも、女が言うのと男が言うのでは大きく違うものだ。痴漢とか、そういうのと同じで。性的な事件とかは男が起こすことが多いってだけで、正直なところ、『××してました』とか女が言うのと男が言うのでは印象も異なる。

「……り、凛は本当には、激しくて……。と、途中でたぷたぷになったのに、更に続けてきて……。あ、赤ちゃんできちゃうかも知れないのに……」

「いや、そ、それは違くて……」

 否定してもどうにもならない。男が言うのと女が言うのでは捉えられ方が異なるのだから。最悪だ。言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズンってもんだ。

 この瞬間、僕が姉ちゃんから少々の痛みを味わわされる事が決定した。両手を上げて『オワタ』と素直に喜ぶことは出来ない。リアルでされるとやっぱり喜べない。ゲームで「うわどうしよ……」って時なら、余裕で『オワタ』って言えるのに、リアル世界じゃ言うことも出来ない。

 僕は姉ちゃんに怯えているのだろう、きっと。

「は、はあ。最近の若者は本当に進んでるよね。ま、避妊はしっかりね」

「痛っ」

 姉ちゃんに頬をつねられた。でも、それだけで済んだ。殴られるわけでもなく、蹴られるわけでもなく。いつもの姉ちゃんは殴ったりするのに。いや、それは恋か。僕は姉ちゃんと恋を混同していたようだ。なんてこった。

「さてと。んで、行為は終わったんなら、今から何しようとしていたか聞きたいんだけど、何しようとしていたの?」

「……掃除」

「ああ、美来は全然入れてくれないもんね、自分の部屋に」

「そうそう。だから、美来が遠征行っている間に美来の部屋を掃除してしまおう、って思うに至るわけだ。姉ちゃんも手伝ってくれる?」

「うーん。いいよ。できれば、私の部屋も掃除して欲しかったり」

「なにそれ。けどなんか姉ちゃんの部屋綺麗そう。掃除する必要あるの?」

「まあね。あるんだよ、それが。私は恋やエリザちゃんのような家事が得意な女じゃないからね。料理はできても整理整頓は苦手だから」

「いや、そんなこと言ったらエリザなんか、インスタントしか作れないよ?」

「ちょ、ダーリン! そこでそういうこと言わないで!」

「ははーん……。弱みゲットだね、こりゃ」

「うう……」

 エリザがシュンとしてしまった。こういうエリザを見ていると、普段とのギャップが激しいなあ、とつくづく思う。いや、何時もこんな感じでも有るか。感情豊かなのがエリザの取り柄だと思うし。例えば「ダーリン」というところだってそうだ。そしてたまに自身のその肉感的な身体を密着させて僕の煩悩を呼び覚ましてくれるし。本当、エリザってギャップが激しい女だ。

「エリザがシュンとしてるけど、妹のパンツ箪笥に片付けて部屋掃除するぞ」

「いや、それは凛がする必要ないでしょ。だから、パンツの片付けくらいは女の子に任せなさい。男の子が女物のパンツをいじるんじゃない!」

「だ、だけど別に妹のだぞ? 家族のパンツくらい大丈夫だっての。そんな初々しさなんて、家族にはいらないだろう。エリザとかだとちょっと違うかもしれないけどさ」

「だ、ダーリンやっぱり私をそういう目で……」

「違う違う! いやでも……いや、えとこれは……」

 口ごもってしまう僕。理解してくれたのか、「ふーん」と姉ちゃんも僕の考えを否定しなくなった。妹の下着でスーハーする変態じゃないから、という僕の思いが届いた結果になったのだろう。口ごもったのは少し恥ずかしいが。

「さ、パンツの片付けに入るぞ」

 僕はパンツパンツいうのに抵抗はないが、普通女は言いづらいと思う。姉ちゃんは違うと思うけど、エリザもそれは違ったらしい。結局、今僕の周りで一番羞恥心とか持っているのって恋や会長辺りな気がする。零奈や英洙に関しては、あんまり接触したりしていないので、よくわからない。でも零奈はそういうことには抵抗がある娘で居て欲しい。これ以上、僕に接したすべての人が羞恥心をなくしてしまうなんていう状況を作り出したくないからな。まるで僕が全ての元凶みたいに言われたくないし。

 妹のパンツを片付けている傍らで、僕はそんなことを考えていた。


 ***


 妹のパンツを片付け、下らない雑談を姉ちゃんとエリザとした後、僕はベッドの下にホコリが溜まっているだろうと思って、ベッドの下も掃除することにした。しかしながら、ベッドの下と言えばエロ本などの隠し場所として有名な場所だ。いくら女だとしても、妹も思春期だし、そういうものは有るはずだ。

 僕はそーっとベッドの下を覗いてみた。案の定、エロ本が出てき……いや、それはエロ本ではない。これは同人誌だ。しかも、シールで『R18』って書いてあるもの、そればかりが出てくる。しかも、全ての同人誌に女の子が登場しない。皆男のキャラばかり。これから察するに妹は……。

「腐女子……なのか」

 衝撃の事実が僕の心に、脳裏に突き刺さる。姉ちゃんもそれは知らなかったらしく驚きを隠せなかったようで。そしてエリザは当然そんなことなど知らず。まさか妹が僕と同じヲタクだったとは、この時初めて知った。思春期だからという理由で妹の部屋にはいることはなかったが、本当は妹が腐女子になったから入れたくなかったんだろうな、と思う。

 その事実を知った時の僕は、険しい表情ではなく、驚きのあまり顔面蒼白的な感じだった。……顔面蒼白は言いすぎかもしれないけど、それくらい驚いたわけだ。本当、妹がヲタクで腐女子だなんて分からなかった。

「その同人誌ベッドの上に3冊くらい置いておいてあげれば? そして、メモでも置いて『パンツ片付けておいたから1000円くれ』とでも書いておけばいい」

「エリザ、その考えは最低な考えだぞ、ヲタクからすれば……」

 なんとなく僕も分かる。今じゃ僕は、恋にも、エリザにも、それこそ今会長は僕の部屋で寝ているから、起きたら直ぐに『僕はヲタクだ』と再確認してくれるはずだ。なにせ、僕の部屋は見渡せば一面にポスターやらラノベやらがあるからな。エロゲーとかは隠してあったり、恋が管理していたりするため、僕の部屋にはないけれど。

 それこそ、中学生時代には僕もベッドの下にエロ本やエロゲを隠していた。通販でエロゲを購入し、通販でエロ本、官能小説を購入し。時にラノベや漫画を購入し。インターネットって本当に素晴らしいものだ。

 そんなことを過去の自分とリンクさせて振り返っていた僕だったが、もう一つやらねばいけないことを思い出した。そう、姉ちゃんの部屋の掃除だ。頼まれたのもはやっぱりやり通してあげたい、ってのが僕の信念のようなもの。それを揺らがせるということはそう簡単にさせられない。

「姉ちゃんの部屋の掃除もするの?」

「お、そうそう。覚えているじゃないか。そうだぞ、姉ちゃんの部屋の掃除もしてもらうんだからな。凛はこき使ってやらんと」

「酷いいいようだな。だから彼氏が出来ないんだぞ」

「わ、私は二次元の彼氏がいるからいい!」

「そっか。じゃあ、掃除しようか」

「なんかコメントくれよ!」

「そっか」

「それがコメントなのか!? 姉ちゃんの扱いひどくないか!?」

 そりゃあ家族だからね。ちょっとくらい扱いはエリザや恋、会長、愁、梨人……そういう人と比べていけば当然扱いは下だ。だって、家族だし。でも、言っていい所悪いところは区別つけているから大丈夫だ。やっぱり、姉ちゃんはそれなりの包容力があるからちょっとくらいキツイこと言っても大丈夫だが、たまに泣く。……姉ちゃんの泣き顔って意外と可愛いんだよな。

 余計なことを考えてしまった。だが、姉ちゃんは決してブスではないと思う。妹もな。姉ちゃんが早く彼氏作るべきだと僕は思うけど、現実問題そうも行かないようで……。自分の周りに異性の幼馴染が二人も居るっていうのは結構恵まれていることなんだな、と思わされる。

 なにせ、姉ちゃんなんて僕の両親の第一子で、一杯の愛情を注がれたんだろうけど、やっぱり『姉』っていう肩書があったから、甘えることが出来ないのだ。姉ちゃんと18年弱生活して、それは良く分かってくる。たまに甘えてきてもいい気がするけどね。ぶっちゃけ、そっちのほうが僕の心の中に埋まっている『支配したい』という欲望が活性化していく気がする。

 おっと、更に余計なことを考えてしまった。

「さ、姉ちゃんの部屋の掃除をしようか、エリザ」

「うん。でも、義姉さん顔真っ青だけど……いいの?」

「いいのいいの。ね、姉ちゃん? 隠すことなんかあるの?」

「あ、あはは。ないに決まってんでしょ。うん、無いよ。ごめんね、ちょっと変なコト考えていてね……私、本当に深く考えちゃう人だから」

「そっか。じゃあ、姉ちゃんの部屋に突撃しようかな。よし、エリザ行くぞ!」

「だ、ダーリン!? ちょ、手強く引っ張りすぎだってば! 痛っ!」

「ああもう、じゃあお前抱えていくから」

「ちょ、ふぁっ、ふああっ!?」

 エリザの手を強く引き、僕の手をエリザの右肩まで回して、エリザの腰辺りと右肩まで手を回し、がっちりとガードした上で姉ちゃんの部屋まで突撃していく。うっすらながら、姉ちゃんがなにか隠している気がした。だからどうせなら、ちょこっと日頃から羞恥心を味わっていない姉ちゃんに恥じらいを味わってもらおうということも一つある。

 そんあことを考えながら、2メートル程度しか無い姉ちゃんの部屋へ、妹の部屋から突撃していった。


 ***


 衝撃を受けた。姉ちゃんもヲタクだったのだ。部屋に飾られたポスターの数々。僕は自分から姉ちゃんの部屋にはいることはなかったけれど、こんな事になっていたとは。しかしながら、姉ちゃんは整理整頓が苦手だという割には部屋は片付けられていて綺麗だった。妹の部屋のようにパンツは落ちていないし、菓子の袋なんてものも落ちてはいなかった。

「掃除する必要ないじゃん。うわあ、心配損だよ。よし、解散」

「ちょ、ま、待ってよ!」

「ん? なんだ、姉ちゃん」

「……じ、人生相談が有るんだけど」

「は?」

 その台詞、『俺の●がこんなに可愛い●けがない』で聞いたぞ。けど、今回は妹じゃなくて姉だ。そう、姉。実の姉だ。僕は実の姉に『付き合ってくれ』とか、恋愛感情を抱くことはないと思う。……うん、ないと思う。それこそ、血縁関係の有る人と夜の関係をかわし、もし妊娠した場合、奇形児が産まれる可能性は、血縁関係のない人同士が夜の関係を交わして妊娠した時と比べると、相当差が出てくるらしい。

 また、父親と妹、姉という場合は、兄や弟が妹や姉と夜の関係を交わして妊娠させた時と比べると、半端ない確率で奇形児がうまれるらしい。

 というか、ぶっちゃけた話、僕は二次元で巨乳属性に目覚めたので、あんまり貧乳が好きではなく、姉ちゃんに女性としての魅力は感じないのだ。けれど、可愛く無いという意味ではない。普通に姉ちゃんは可愛い。

「……で、人生相談って何のことだよ」

「えと、このエロゲー全部やるから、そ、その……」

「ん?」

「これ、読んでくれ……」

 姉ちゃんは下の方を向き、さっきまでの表情とは全然違う表情を見せた。僕も思っていたのだが、やっぱり姉ちゃんは可愛い。けど、巨乳属性の僕に貧乳属性は好きになれない。もう大学生なのだから早く彼氏を作って欲しいものだ。何度も言っているけれど、バイトもしているのだし、簡単に行けるはずなのに。やっぱり貧乳だから駄目なのだろうか。

 いや、今はそんなこと言っていてはダメだ。姉ちゃんにやってほしいと言われたことが有るだろう。今はそれをしなければ。

「で、これは一体何?」

「ど、同人誌の原稿。大学のサークルでゲーム作ろうってなって、私はそのイラスト担当になって、技術上げるために同人誌描いてたからさ……」

「は、はあ……」

「よ、読んでくれ!」

「『R18』のシールとか無いから、これエロ漫画とかじゃないよな?」

「ばっ、そ、そんなの描くわけ無いだろ!」

 今の姉ちゃんは、いつもの姉ちゃんとは違って、とっても顔を赤く染め、恥ずかしがっていて可愛い。……性的な目では見られないけど、もしかすると新展開的な意味で姉ちゃんルートが開拓スタートされるのかも知れない。もしそうなったりでもしたら、僕は一体どうすれば。

「じゃあいいや。と、取り敢えず読む。……って、ちょ!」

「ダーリン、義姉さんに照れすぎなんだバーカ!」

「と、取り上げるなっ!」

 姉ちゃんは、エリザより5センチくらい背が低いようだ。だから、エリザが手を高く伸ばして、姉ちゃんがあがいてもそれを取れない。

「はあ……。じゃあ読むよ」

「ちょ、ダーリン!」

 僕はこれでも170㎝後半台あるからな。180cmくらいあればもっと良かったんだろうけど、僕はそこまで行けなかったのだ。それでも、170cmあれば、エリザの身長だとしても、十分取ることが出来る。それなりに僕は腕が長いしね。

「……お、これは」

 姉ちゃんの同人誌には、オリジナルのキャラクターと思われる女キャラと男キャラが描かれていた。そして、舞台は……神戸か。でもこの制服、どことなく涼宮ハル●の憂鬱に似ている。パクリではないんだろうけど、結構似ている服だ。だがしかし、近年エロゲーで急増している乳袋を搭載した制服じゃなかっただけマシだと思ってしまう僕が居た。そんなことを考えている僕が、どうみてもエロゲー廃人みたいに見えてしまうものだ。


 内容は普通の恋愛モノだった。やっぱり、恋愛物の終焉は神戸大橋で、そこで幸せなキスをして終了、というストーリーだった。しかしながら、ここで描かれている女の子が凄く可愛いのはこれまたいかに。萌えを狙っているようで、狙っていないようなイラスト。それでいて男のキャラも少女漫画で出るようなキャラじゃなくて、ラノベやエロゲで見かけるキャラ。姉ちゃんの以外な才能を今、僕は目の当たりにしたのだ。

「す、凄い才能じゃないか……。なんで美術大行かなかったの」

「試験で問題の解答欄一つずらしてやってた。だから最下位で、結局もう一つの方選んだ。だから今の大学行ったんだよ。成績優秀でも解答欄ミスはなあ……。ま、凛はそういうミスしないでね」

「わかった。じゃあエリザもな」

「うん、ダーリンもね」

「僕はミスしないから」

「そういう自信こそがフラグなんだぞ、凛。痛い目見るんだぞバーカ」

「姉ちゃんと同じミスはしねーよ」

「どうだか」

「ふっ。じゃあ、この同人誌返すね。姉ちゃんって絵上手かったんだな」

「私の技術は相当なものだぞ」

「エリザはどうなの?」

「……画伯状態です」

「……あ」

 察した。エリザは絵が下手らしい。だから『画伯』というわけだ。下手な絵、異常なほど雑、描いたものが一体何なのかわからない絵……そういう下手な絵をまとめて『画伯』と言うのである。詳しくはネット辞書サイトでも見ればいい。

「……も、もうこれには触れないでおくよ、エリザ」

「……うう」

 エリザはまたシュンとした。けど、こればかりは仕方ない。触れてやばいことを自分から触れに行くなんて、それはもう爆弾に自分から向かいに行くようなもので。少しは覚悟も居るかもしれないけど、これは仕方がないのだ。

「姉ちゃん、いいもんありがとな。これからも頑張ってね」

「そ、そっか。じゃ、じゃあこのゲームをどうぞ……」

「ちょ、これは……」

「え、エロゲー16種。ちょこっとシリーズ入ってるけどさ、全部おもしろいやつだから大丈夫! あ、BLじゃないよ? ちゃんとしたNLね?」

「お、おう。しかし、こんなに一杯のエロゲ、一体何処で入手したんだ?」

「さ、サークルだよ。サークルで、一人ゲーマーがいるって言っていたんだけど、その人がこの16種のエロゲ忘れてっちゃって、届けようと思って持って行ったんだけど、いらないって言ってさ。結局じゃんけんして負けた私のものになって。いやあ、本当初プレイしたときはびっくりしたよ」

「そりゃそうだろうな」

 僕はちょこっと笑った。そして、その16種のエロゲを貰う約束だけした。なぜなら、今もらってもする時間はないからだ。なにせ、この後ノームの攻略が待っているからな。攻略よりゲームを急ぐなんて、エロゲーマーとして名前を語れない。だから僕は攻略を優先する。ゲームなんて何時でも出来る。エロゲーなんてそうだ。二次元の攻略はプログラムだから決められている。けど三次元の攻略は何が起こるかわからないのだ。だから僕はリアルを優先した。

「んじゃ姉ちゃん、これ夕方まで保管しておいてね」

「おいっす。じゃあ、これ保管しておくわ。けど、なんかあるの?」

「ああ。けど、姉ちゃんには言えないことだ」

「うわー。エリザちゃんは知ってるのか。私だけ除け者とか酷いよ」

「し、仕方ないだろう!」

「彼女だから特別なんて……。しかもエリザちゃんには『義姉ぎし』みたいに言われるし! もういいよ、リア充爆発しろ! 部屋から出てけ!」

「ちょ……」

 姉ちゃんに追い出され、僕はため息を付いた。が、それをいい風に捉えたエリザは僕の背中にまた肉感的ボディを密着させてきた。が、追い込まれているところでは僕の煩悩も反応しない。


 結局、そのまま僕はリビングまで行って、ソファに座ってテレビを見て疲れをとることにした。そして、10時まで会長が起きてこなければ、もうエリザと一緒に行こう、ということをエリザと約束した。

 テレビを見ながら、時計の針を見ながら。三連休の日曜日の時間は流れていった。

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