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Future  作者: 浅咲夏茶
3rd Chapter;Genie Cheats.
22/127

Target:Elisa and Rina/episode21

「おはよう」

「……か、会長!?」

 僕の部屋。静まっていた部屋に結界が張られた。そして、会長は僕の耳にイヤホンを付け、そこにマイクを繋いで最大ボリュームで会長は叫んだ。

「う、うるさ……。鼓膜破れる……」

「やあ。魔族討伐のお時間だよ」

「今何時……。てか、こんな起こし方しないで……」

「朝の3時半」

「それって『未明』って言いませんか? つか、一番眠りたい時間なんですけど。……体壊したら会長のせいにしますから。全く」

「な、なんでボクのせいなのさ!」

「いや、僕にしっかりとした睡眠が出来ないようにしているのは会長ですし」

「……わかった。じゃあ、ボクのせいにすればいいさ。それじゃあ、エリザちゃんも誘ってくれないかな。一応、彼女にもボクから悪魔をあげようと思うし」

「いや、僕こそオールジュエルもってるので、別に会長があげなくても……」

「流石彼女には優しい凛君だね。だから、彼女から『ダーリン』と慕われているのか。ボクも凛君を見習う必要があるな」

「いや、慕う必要はないですけど……。それより、早く討伐しに行くんならエリザを誘ってきます。……つか、僕とエリザの部屋は同じですけど」

「し、思春期の女の子が君のようなケダモノと一緒に寝ているのか?」

「ケダモノとか、僕は性欲に毒された青年じゃないし。……まあ、確かに一つ屋根の下、いや同じ部屋で寝ていれば普通は変な風に思うと思いますが」

「そうだぞ」

「僕はまだエリザに手を出してないですし……」

「『まだ』だから、手を出すことも……」

「それはエリザを彼女として認めてからですね。エリザを彼女にしたら、まあやらなくもないかも……って、会長何言わせてるんですか!」

「言い始めたのは君だろ、凛君。……さて、早く起こせ」

「仕方ないですね……起こしますよ」

 まだ薄暗く、どこにエリザが居るのか正確にわからないため、僕は手探りで探して行った。柔らかい感触を手に感じ、エリザの身体と思われるのを見つけた時、僕はその下に手を回して持ち上げた。

 しかしながら、柔らかい感触ということは、エリザは裸というわけであろう。体温も服を着ている時に感じるのよりも高いし。……なんでエリザは裸で寝ているんだろうか。何か意味でもあるのか。

「エリザ起きろ。そして服を着ろ」

「服を着ろって……。服くらい着てます」

「な、な。つか、敬語ってことはまさか……」

「そのまさかです」

 部屋の中に炎がちらついた。「うわ……」と、自分がエリザだと思っていたのは実はニュクスだということに気付かされる。最悪だ。エリザだと思ったというのに。まあ、敬語ということでエリザではないことはわかったのだが、やっぱりニュクスだったのか。

「ニュクス。なぜ僕の魔法陣から出ている」

「いえ。魔法陣は描かれたんです。きっと、エリザさんが描いたんだと思います。ご主人様が描かれていないのであれば、該当する人は自ずと分かっているかと……」

「なるほど。じゃあ、エリザはニュクスの隣にいるというわけか」

「はい」

「じゃあ、ニュクス。どけ」

「ええ。いいじゃないですか。ご主人様の身体で温まっていたんですから」

「流石夜の女神だな」

「意味は違いますよ。深い意味じゃなくて、普通の意味です」

「そうか。じゃあ、どけ」

「ご主人様、キツすぎます。私を全裸にさせて、そしてキツく当たるなんて、ご主人様は本当に鬼畜な変態さんです」

「いやだからそれは……」

 途中で会長が話に加わってきた。

「……詳しく聞かせてもらおうか?」

「いや、ニュクスが裸で寝ていて、ニュクスを魔法陣の中に戻した時、服着せていなくて。それでニュクスは恥ずかしい思いをしたと……」

「そりゃ恥ずかしいよ。ニュクスだってレディーなんだからさ。悪魔でも少しくらい可愛がってやりなさいっての。本当、凛君は表ではいいやつだけど裏では超鬼畜なドS変態さんですよね」

「やめい。……まあ、悪かったなら謝る」

「私は悪魔ですから、ご主人様に何をされても受け入れます。だから大丈夫です。過度な心配とか、全然要りませんから」

「……わかった。じゃ、今度こそエリザを起こそう」

「はい」

 僕は別途の奥のほう、そこにエリザが寝ていると考え、そっちに手を伸ばした。また、誰かに触った感触があったので強く叩いて起こすことにした。

「起きろ!」

「んっ、ひゃあっ!」

「何してんだ。ふざけるな。起きろっての!」

「や、やめっ……んんっ、痛っ……あっ!」

「下手に喘ぐな。つか、まず喘ぐな。それより早く、起きろ。起きろ!」

「だから、起きてる……んあっ、てば……そこばっか叩く……んなっ!」

「あ、起きてるのか」

「お、起きてる。……で今、ダーリンは私の『何処』を触ったか分かる?」

「……え?」

「……わからないんだ。それであんなに叩いたんだ。酷いよ」

「ちょ、エリザどうし……」

「人の右乳を何回も強く叩くなボケえええええええっ!」

「う、ぐはっ!」

 強いパンチ。悪かった悪かった、と僕はペコリペコリと何度も頭を下げるのだが、エリザは一向に許す気配を見せない。それもそうか、自分の胸を何度も強く叩かれれば怒るのも当然だ。いくら僕を『ダーリン』と言って、まるで僕の嫁みたいな甘い口調のエリザだが、やっぱりエリザも怒ってしまう時は有るはずだ。それが今なんだろう。

「つ、強すぎ……」

「幼馴染の胸を叩いた感触はいかがでしたかね、ドS鬼畜ダーリンがっ!」

「だ、『ダーリン』っていうのは続けるんだ……ぐはっ……ね」

「だって、それはダーリンに彼女が出来るまでの約束って言ったじゃん」

「……そうだったな。てか、身体が痛い……。魔族討伐したくない」

「あ、そ、それはごめん……」

「そこは謝るのか」

「傷めつけたの私だし。……お詫びになんでもするよ?」

「じゃあ、重大なミッションを今度やらせてやる」

「……ううう」

 エリザは少々しょんぼりしていたが、お互いにそれは『まあ、チャラ』みたいな感じでもう振れないことにして一応の和解をとった。

「さて、じゃあ会長、魔族討伐行きますか」

「え、身体大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫。じゃあ会長。エリザに悪魔を一匹授けてやって下さい」

「あれ。凛君が自分から『エリザに渡す』って言ってなかった?」

「あ、そうだった。じゃあ、僕がガチャ引かないと」

「でも、ガチャの仕方覚えてる?」

「あ」

「……ったく。『ガチャ魔法陣スタート』って叫んで、いいところで『ストップ』。それで悪魔が一体/一匹でてくる。前にも説明しただろう?」

「会長、覚えていません」

「なんと。じゃあ、指示通りやれ」

「わかりました。……ガチャ魔法陣、スタートッ!」

 僕の魔法陣が白く光る。今までの赤い魔法陣の光りかたとはかわって、白く輝いていた。非常にきれいな輝きは、僕がまるで光属性の使い手かと思わせるような光の煌きだった。

「き、綺麗だ……」

「はあ。じゃあ、いいところで叫べ」

「はい!」

 10秒程度経っただろうか。そこで僕は『ストップ』と宣言した。その瞬間、光とともに召喚された悪魔が僕の魔法陣の上に立った。

「さあ。そしてそれをそのままエリザに転送!」

「エリザに……魔族転送!」

「う、うわっ!」

 エリザの魔法陣が突然光った。エリザはその輝きに驚いていた。昨日『魔法少女』となったばかりのエリザが事情を理解するまでには結構な時間がかかりそうだ。けれど、少しずつでも魔法少女としての技術を身に着けていってほしいものだ。

「こ、これは……」

「それは『超堕天使サマエル・エデン』だね。……てか、凛君運勢良すぎ」

「え?」

「いや、そのサマエルは『覚醒進化』したあとの悪魔。タイプは『毒・炎』。実際は凛君が使うべきだったんだけど、まあエリザちゃんにも使えないわけじゃないね。……けど、本当にその悪魔は強いからね?」

「ほ、本当ですか?」

「うん。呪い技も、突然の炎攻撃技も、超魔法もこなす悪魔だからね。……昔は相当悩まされたんだよ。その悪魔と前に対決した時あるから」

「そうなんですか?」

「うん。何度も負けて。5回くらいでようやく勝てた。その時の生徒会メンバーに居たのが今の英洙で。いや、本当あいつ真面目な割に魔族討伐もこなす優秀性でね。魔法の使い方教える魔法科なるもののある高校があったら、彼は確実に劣等生にはならないとおもうね。優秀生なんじゃないかな」

「じゃあ、もし妹が居たら、その妹は劣等生に……」

「いや、英洙に妹は居ないよ。強いて言うなら、零奈じゃないかな。別に頭が悪いって意味じゃないけど、今の生徒会メンバーで一番学力が低いのは零奈だし。それでも学年ではいいほうだから……バカって回りにいないんだよね」

「会長、馬鹿馬鹿いうのはやめるべきです。それに、何でネタ混ぜるんですか」

「いや、君こそ私のネタに自分からのってきたじゃないか」

 ちらりと僕はエリザの方を向いた。エリザは何もわからないようで、首を傾げていた。よし、あとでネタのもとにした作品を読ませてやろう。

「あの、会長さん。そのネタって……」

「ああ、『魔法科高校●劣等生』っていう作品で。神だよ。『ソード●ート・●ンライン』と同じで、ネット掲載からスタートした作品で、確かここの『小説家になろう』ってサイトから始まったんだよ」

「インターネットから作家さんが生まれるなんて凄い時代ですね!」

「そうそう。だから、会長も作品書こうか迷ってるんだけど……」

 僕は会長がそういったのを聞き、会長をイジることにした。また、エリザが今はネットからでも作家さんが生まれることに驚いていたのには驚いた。もしかすると、エリザは小説とか読まない人なのかもしれない。

「やめてください。会長は駄文しか書けないでしょ?」

「何が駄文だ! 高3なら、文法程度理解できるのが当たり前だろう?」

「いや、小説に必要なのは文章もそうですがまずはストーリーですし……」

「それをいうならイラストだろ! いい加減にしろ!」

「あ、ありましたね。それ『やはり俺●青春ラブコメは●ちがっている。』作品内で、主人公言ってましたね。『ラノベはイラストで決まる』的なことを」

「そこは知ってるんだ」

「はい。何か、最近書店の奥の方に可愛い女の子がいっぱい描かれていた本のタイトルを見たら、今言ったのと同じで。でも、あの作品は絵だけじゃなくて、ストーリーもちゃんと考えられてて凄いなあ、って」

「ああ、確かに『は●ち/俺ガ●ル』はストーリーが凄いからね。……というわけで、会長に小説を書くのは無理。ストーリーを考えなさい」

 僕が会長に指摘すると、会長はメタ発言をしてきた。

「そんなこといったら私達の作品だって駄作じゃん。ストーリーも考えられてない、キャラもありがちな設定、キャラのイラストがない。ほら」

「会長、それは禁句です」

「生徒会にコメディ的要素、そして主人公がエロゲプレイなんて、そりゃあもう『生徒会●一存』じゃないですか。パクるな!」

「違うだろ。パクリじゃないだろ。……色々とライトノベルについて話しているけど、別に生徒会が主軸の話じゃないだろ、僕らの作品は」

「じゃあ何が主軸なんだ」

「主軸なんかないんじゃないですかね。だって、あらすじで『カオスライトノベル』って言っちゃっていますし。あえて言うなら、魔法少年とか魔法少女とかが魔族討伐するところが主軸的な感じなじゃないですかね」

「そうかなあ」

「そうですよ。……てか、魔族討伐はどうした」

「あ」

 今頃になって気づいたらしい。「遅いよ」と関西人なりのツッコミを少々加えた後、僕とエリザは会長に連れられて現場へと急行した。


 ***


 ライトノベルについて語っていたまるで『平和的』な時間帯とは打って変わって、ここからは『魔族討伐』というバトル展開的な時間帯に突入する。……そんな説明しなくてもいいか。ストーリー呼んでれば園児でも分かる。

 連れられてきた場所、そこは神戸大橋の下のあの場所だった。

「 ま た こ の 場 所 か 」

 もうここにはうんざりしてきた。何度も何度も魔族討伐して、殆どがこの場所だったからだ。ライトノベルなら、ネトゲか学園か空中で闘うのが普通なのに、なぜこの場所で僕は魔族討伐をすることしかできないのか。

「仕方ないだろう。この場所で現れた魔族が居るんだから」

「魔族……?」

「ああ。魔族だ。ほら、神戸大橋の欄干から神戸の街を、遠く大阪の街を見ているあの魔族こそが、今回のターゲットとなる魔族だ」

「あれが……魔族?」

「ああ。名は『風森妖精シルフ・エアリエル』。草属性を2つ持つ魔族だ」

「あの悪魔を……討伐するんですか?」

「当然だろう。魔法少年となった以上、魔法少女となった以上、魔族を破壊することは、必然的と思える。それこそミッションと言ってもいい」

「会長は、ああいう魔族を倒すこと、破壊すること、殺すことを、『正義』だと言うのですか?」

「何か間違ってでも居るのか?」

「間違ってますよ、そんなの」

「え?」

 会長は首を傾げた。そして、僕は昨日自分の悪魔にしたサラマンダーを魔法陣を描いて召喚した。サラマンダーは自身の髪を真っ赤にして、身体から火を放っていた。

「こ、これは……」

「僕の悪魔、サラマンダーです。昨日、僕がこの娘を攻略してゲットしました」

「旦那様。お仕事とかはありますか?」

「嘘……でしょ?」

「嘘じゃない。証言人もいる。なあ、ニュクス?」

「はい。ご主人様は華麗に彼女を攻略し、自身の悪魔にしました」

「ほら。会長、何か言い返せますか?」

「い、言い返せるわけ無いだろ。けれど、本当に攻略なんかで……」

「ならいいです。会長を、ニュクス、ウンディーネに続く、3番目の証言人にしてあげます。あ、エリザも3番目の証言人になれよ?」

「あ、うん」

「じゃあ、会長。……見ててくださいよ。僕の華麗な攻略を」

「攻略……」

「そう。攻略です」

「そ、それは何時やるんだ。もう、するのか?」

「朝早いですからね。多くの人が寝ている時間帯にやりますよ」

「そ、そうか」

「じゃあ、言って下さい。『ミッションスタート』って」

「ミッション……スタート……!」

 その言葉とともに、僕はマイク付きの小型イヤホンを右耳に付け、羽を生やしてシルフの元へと翼を広げて飛んでいった。


「絶対にシルフを……僕の悪魔にしてやる」

 僕の心の中のサディスト心が動かされそうだった。そんな心を更に加速させる言葉、それは『攻略ミッション』という言葉だった。

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