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Future  作者: 浅咲夏茶
3rd Chapter;Genie Cheats.
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Target:Flame genie-flame salamander./episode16

 午後2時半。秋の陽があたる。西方の空には、黒い雲が近づいてきていた。あれは福岡で大雨を降らせた雲だろうか。いや、そうではなく、新たに発生した雲なのかもしれない。

 神戸の街を見下ろす。僕の家はここからでは見えない。現在の気温は何度だろうとスマホを付ける。18℃。秋にしてはちょっと暖かいかな。どうせまた、高気圧がなんたらなんだろう。西方の雲はきっと低気圧の雲で、雨を降らすんだろう、と無知な僕は勝手に推測した。

 

 六甲山付近。『来い』と言われた時刻にはなっていない。三〇〇〇っていうのは、3時の事を指すのだろう。ということは今から30分、空きがあるわけだ。

 流石に魔法少年の姿で空中を昼間に徘徊していると、飛行機とかから僕が見られてしまうだろう。夜ならまだしも、昼間は僕も空を飛びたくはない。

「はあ……休憩できるところ無いかなあ……」

 休憩できる場所。空を飛んでいると無性に腹が減ってくるものだ。かの偉人も言ったものだ『腹が減っては戦はできぬ』と。今はそういう状態なんだ。僕自身、腹が減っている。体力消耗すると空を飛べなくなってしまう。

 僕は結界の張り方なんか知らない。結界の中で休むことも出来るんだろうが、知らない人間がやって緊急事態になった時、助けてくれるのはほんの一握りしかいない。そんななかで、するべきなのか、僕は考えた結果、しないことにした。

「神社とかあればなあ……」

 しかし、神社など無い。見渡す限り緑が広がっている。六甲山付近には神社など無いのだろうか。上空から注意深く神社を探す。

「あ」

 発見した。神社があった。僕は急いでその神社へ向かった。


 ***


「階段かよ……」

 眼の前に現れた階段。これからここを上るのだということを考えると、嫌な気分になった。まあ、上るわけではない。僕は空を飛んで上に行く。そのほうが楽だからだ。

「はあ。この後六甲山で何が……ん?」

 階段を上った先、空を飛んで向かう。そこに見えたのは、悪魔とみられるものだった。白い羽を生やし、頭の上に輪を付けている。これは……『天使』という存在なのだろうか。悪魔の中でも『天使』というものは存在するのだろうか。どちらかというと、『堕天使』の方が悪魔っぽいが、それはさておき。

 僕はその天使に話しかけた。

「き、君は……」

 その天使は目を開いた。目は赤い色をしていた。カラコンみたいだったが、カラコンではないのだろう。一体化している。いや、一体化したカラコンもあるんじゃ……。ああもう、ますます頭のなかがこんがらがる。

「―――貴様を排除する」

 お決まりのテンプレセリフだ。こういった(悪魔とか、そういう現実には存在しない人型生物/ロボット等が登場する)ラノベにでるこういったキャラは、大抵おバカキャラだとか、そういうことがある。しかし、右手に剣を持たれているのは非常に危険だ。ふざけ半分に近づくことなど無理だ。

「ニュクス、出番だ!」

 魔法陣を描き、ニュクスを召喚した。

「ご主人様、危ない!」

「うご……っ!」

 バタッと、勢い良くその場にたたきつけられた。……わけではなかった。背中に痛みが無かったのだ。普通なら尋常じゃないほどの痛みが僕の背中を襲うはずなのに、その痛みが全くなかったのだ。

 ニュクスに抱えられて僕は上空へ飛び立つ。地上から30メートルくらいの位置。見渡せば直ぐ近くには山がある。

「……どうでてくるかな」

「はい、問題はそこです。あの悪魔が一体どういう風出てくるか。空を飛べない悪魔ならこの高さに居て遠距離攻撃でいいんですけど……」

 しかし、それはフラグだった。時同じくして、その悪魔はこちらへと向かってきたのだ。そして、2つの銃をこちらに向け、悪魔は自身の目を眼帯で覆った。

「――火炎渦巻フレイム・ボーテックス!」

 紅の渦。あの中に入れば2000℃の炎で焼き殺される。特に今は結界も張っていない。もしも、ここで悪魔がその炎を放てば、ここら周辺が山火事になるのは避けれない。そうすれば、ここの神社も終わりだ。

 ニュクスは僕の前に立ち、こう叫ぶ。

「ご主人様! ウンディーネを召喚して下さい! そうすれば……」

 ライフウンディーネ。今までこいつをバトルで使ったことはなかった。いつもニュクスを使っていた。しかし、今はニュクスに言われたとおりにするべきだ。こんな頼りない主人ゆえ、それも仕方がないのだ。

「ウンディーネ!」

 魔法陣を描き、ウンディーネを召喚した。ウンディーネもまた、右目を黒色の眼帯で覆った。そして、自身の青髪を靡かせ、僕の指示を待たずに、攻撃を始めた。

「――零下結晶ゼロクリスタル!」

 二つの技が合わさる。しかし、僕は何もしない。ニュクスは僕を叱った。

「何やってるんですかご主人様! 早く結界を張って下さい!」

「け、結界なんかどうやって……」

「『魔力結界』って叫んで下さい。その後、10か20って言って下さい。数字は、結界を張れる面積を示します。10なら10cm²を表します」

「……じゃあ、ニュクスの言うとおりにする」

「早くして下さい。もう来て……」

「魔力結界! 20!」

「ナイトフィーバーッ!」

 僕は結界の面積、ニュクスは自身の技を叫ぶ。僕にも結界を張れた。時同じくして、結界の中に煙が蔓延した。僕は咳ごんだ。右目を閉じ、左目も閉じそうになる。しかし、前が見えないのは非常に危険であるため、僕は注意を払って戦闘を続けた。

「ニュ……クス……生きてるか?」

「ご、ご主人様。大丈夫です……」

 僕の目の前にニュクスが現れた。しかし、なぜそんな正確に僕の居た位置がわかったのだろうか。まさかこれも魔法陣の仕業なのだろうか。

「おいニュクス。なんでお前、僕のところまで戻ってこれたんだ?」

「ご主人様の考えと同じです。魔法陣の方向に飛んだだけです。我々悪魔は、主人と一心同体みたいなもんですから。魔法陣の場所さえわかれば、どこに主人がいるかなんて一発で分かってしまうんですよ」

 ご都合主義的なものが見え隠れしている気がするのは気のせいだろうか。まあ、ラノベだしそういうものじゃないんだろうか。……かといって、ご都合主義っていうのもな。やっぱり違うのだろうか。

 深く考えこむと脳内が圧迫され、頭が痛くなってしまう。

「なあニュクス。ウンディーネはどこだろうか?」

「ウンディーネですか……。そうですね……」

 キョロキョロとあたりを見回す。しかし、それらしきものは見えない。当然といえば当然だ。煙が蔓延しているのだから。それさえ無ければ、見えるのかもしれないが、煙がその姿を遮っている今、その姿を見ることは出来ない。

「ちょっと進んでみようか?」

「はい。ただ、本当危険なので、私がご主人様を守ります」

「いや、さっきからお前はそういう行動を取ってきただろう。何を今更」

 僕がそういった時、ニュクスは自分の手にバールのようなものを出した。

「おい。なんでここでパロディなんだよ」

「すいません。間違えました。こっちでした」

 バールのようなものを再び手の中に戻して、ニュクスは手につける腕時計のようなものを取り出した。それは、ニュクス曰く『ハンドシューター』という道具らしく、悪魔を捕まえるために必要な物らしい。

「えっと……」

「あの精霊が近づいてきたら、そのシューターをその精霊に近づけて下さい。その後手を広げて、『デビルシュート!』と叫んで下さい。そうすれば、悪魔は約10~100%の確率で捕獲できます。捕獲した悪魔は、凛さんを『主人』として認識し、以後凛さん専用の悪魔になります」

「なるほど。じゃあ、これを起動すればいいのか?」

「はい。起動して下さい。ちなみに……これ、なんだかわかりますか?」

 ニュクスが取り出したのは、UMDのカセットだった。そのカセットを、ニュクスは『デビルソフト』と呼んだ。そしてその本体をデビルマシンと呼び、そのマシンには3.2インチの16:9のディスプレイが搭載されていた。何気にフルハイビジョンでめちゃくちゃハイスペックなマシンだった。

「これが悪魔を保管するカードみたいなものです。SDカードでもいいんですが、SDカードの方にしますか?」

「USBは無いのか?」

「すみません。USBはないです。SDカードとUMDのみです……」

「そっか。じゃあ、SDの方を」

「何GBにしますか? ……ああもういいです。面倒なので32GBにします」

「ちょ、何勝手に……」

「五月蝿いです。ちょっと黙ってて下さい。悪魔反応があるので」

「そ、そうか」

 ニュクスは、僕に32GBのSDHCカードを渡した。右手のひらで受け取ったのだが、落としそうになった。次にデビルマシンも渡された。投げられるのは結構嫌だったが、それだけニュクスも必至になってやっているわけだし、許さないわけがない。許してやるのも主人というのに必要な物だろう。

 僕は、受け取ったデビルマシンを右手に着床した。そして、SDカードを丁度挿入口があったので、そちらから入れた。


 すると、魔法陣からヘッドホンが出てきた。なぜこんなものが出てきたのかわからないが、好奇心でそのヘッドホンを耳につけた。そして、掛けた瞬間にニュクスの声が聞こえた。さらに、デビルマシンのディスプレイに、ニュクスの戦闘の映像が流れた。

 ヘッドホンはコードがない。Bluetoothの技術を採用しているようだ。そして、そのヘッドホンにはマイクが付いていた。

 僕はニュクスに近況を伝えてもらおうと声をかけた。

『ニュクス、そっちはどうだ?』

『映像見てますか? あ、声が聞こえているので見えているんですかね。じゃあ、報告します。あの、今ウンディーネが暴走しているんです……』

『暴……走……?』

『はい。今、本当に彼女の体の周りに相当な水があって……。炎の私では勝ち目もないのです……。暴走を止めれるのは主人である、凛さんだけです』

『僕……だけ……?』

『はい。と、というより早く……助けて……』

『ど、どうした?』

『しょ、触手みたいなのが……』

 ニュクスの身体の周りには大量の触手のようなものが張り付いていた。悪魔に反応してしまう僕も僕だが、地味にエロい。……アホか。なんでそんなことを今僕は考えているんだ。今はニュクス、ニュクスを助けなければ……。

『ニュクス。大丈夫か?』

『大丈夫じゃ……ないです。今、魔法陣の方向わかるので戻りたいんですけど、触手が……あっ……やめっ……んっ……! はぁ……っ……んっ!』

『ニュクス!? 大丈夫か!?』

『無理……っ……もう無理……早く……らめっ! ……んあっ!』

『ニュクス、今向かう。それで、今お前は何処の方向に……?』

『……真っ直ぐです。今の方向から真っ直ぐ。煙で見えないかもしれませんが、真っ直ぐ進んでくださ……ひぁぃぃっっ!? ……は……はぁんっ!』

『……大丈夫じゃないな。……今、助けに行くッ!』

 ニュクスの声はエロかった。しかし、それだけ大事なことが起きているのだ。あれは喘ぎ声ではないだろう。しかしながら、非常に危機的状況家にあるのは紛れもない事実だ。ニュクスの話上、ウンディーネが関わっているのは事実だ。僕は、優秀生だ。それを活かしてウンディーネを落とせばいい。ギャルゲの知識もある。エロゲの知識も有る。十分だ。……十分だ。

 僕は真っ直ぐ進んだ。煙の蔓延するこの結界の中。前はよく見えない。こういう時に、科学の実験で使うあの眼鏡があればいいのに、とつい思う。

 咳ごんだ後、僕は真っすぐ進んだ先でニュクスを見つけた。そこだけ煙が無い。ここが煙の発生している場所なのだろう。あたりは熱風が吹き荒れていた。ウンディーネの水と、天使にみえるあの悪魔の炎がそれと打ち消し合い、結果的に熱風を生んでいるのだろう。

 僕は魔法少年だ。ウンディーネの主人だ。ここで退く訳にはいかない。でも、ウンディーネを説得して、僕の言うことを聞いてもらわんなければいけない。

 僕はウンディーネの近くに向かう。そして、ウンディーネに語りかけた。

「……ウンディーネ」

「何でしょうか、ご主人様。お叱り成されるのなら、私は水に還ります」

「いや、僕はウンディーネを叱りはしない。しかし、言いたいことが有るんだ。別に告白とかどうこういう問題じゃない。聞いて欲しいんだよ」

「なんでしょう」

「ウンディーネは直ぐに暴走する。勿論そこは悪い点でもあるが、君の個性的な部分でも有る。だが、闘いにおいて暴走するのはありえない。理性が亡くなった悪魔は、出来損ないの悪魔と同じだ。だからといって、時に理性を壊さなくちゃいけない時がある。今みたいに強い相手と闘うときとかね」

「ご主人様。一体何を申し上げたいのですか?」

「君はよくやった。自分自身の理性を粉々にして。こんなに。僕もニュクスも、君の活躍を称える。けど、やっぱり闘いなんかしないほうがいいなじゃにかな」

「ご主人様、そんなことしたら、あの悪魔は暴走……」

「大丈夫だ。僕はゲームの知識もある。それが本当に今使えるかどうかはわからない。けれど、闘いを通さないやり方もあるんだ。それは……」

「それは……」

「あの悪魔のトラウマのようなものをすべて消す。もしくは、あの悪魔の願いとかを全部叶える。そうすることで、あの悪魔は素直になるさ」

「つまり、攻略をすると?」

「そういうわけだ。確かに今、あの悪魔は麻痺状態である。ナイトフィーバーの影響もあってな。それにお前がいい仕事してくれたからHPも結構減っている。ここで僕があの悪魔に様々なことを尽くす。結果、時間はかかるが、あの悪魔も笑顔で僕の仲間になってくれるはずだ」

「笑顔で……仲間に……」

 それは、今はなき両親の言葉から来ていた。


 *** 


 昔、僕はやんちゃな男の子だった。自分で言うのもなんだが、小3くらいまでは負け知らずの男だった。しかし、3年の時に僕は梨人に傷を負わせた。全治2週間。その時、僕は両親に言われた。

『喧嘩は大事。喧嘩なしに物事は通らない。国際社会だってそう。武器を持っていないから平和ってわけじゃない。何処かで闘いは起こるし、人間は闘う生き物。でも、それだけで友達がうまれる訳じゃない。褒め称えてもらえるだけ。だから、喧嘩も大事だけどたまにはその子とお話して、笑顔を見せ合って過ごしてみて。そっちのほうが絶対楽しいから―――』

 今思えば、懐かしい情景が蘇ってくる。

 そして今。僕は平和的解決を望む。それは国際社会でも通用する考えだ。魔の世界では通じるかはわからない。けれど、僕は出来る限り戦闘はしたくない。闘い自体をしたくはないからだ。どうせ、魔族討伐だって、魔族を殺しているだけ。……そんなことなら、口説いてでもして仲間にするべきだ。怪物系は除いてだが。


 ***


「だから、僕は口説いてでもいいからあの悪魔を……仲間にする」

「つまり、ここからが……」

「そう。攻略開始ミッションスタートだ。ここからが僕の本当の力が試される所だ。今まで彼女居ない歴=年齢だった。しかしそんな僕でもゲーム内の知識なら豊富……。やってやる、あの天使を。口説いてでもいい」

 僕の心の中に、熱く燃えるものが芽生えてきていた。

精霊編スタート!


やっぱり思春期の男の子ですから、女の子に興味津々なんですね、凛君。

いや、彼は言ってますからね『怪物は攻略しない』と。


ではでは。これからも、応援よろしくお願いします。

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