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Future  作者: 浅咲夏茶
8th Chapter;End of the story Ⅰ/Epilogue -true root-
107/127

Target:Rina -a date with Rin@Christmas Eve. 3 /episode106

「いやあ、今日は本当に賑やかだねえ」

 姉ちゃんがバイトから帰ってきた後、クリスマスパーティーが始まった。まあこれは恋の誕生日パーティーでも有るのだが、そういうことばかり言うと、これまた里奈の機嫌を損ねてしまいかねないので、僕は心のなかにとどめておくことにした。


 さて、恋と梨人だが、あいつらはなんと付き合うことになったそうだ。梨人が一日何度もメールを送ったりしたおかげで、渋々恋が折れる形で付き合い始めたらしいが、恋は相当出れるのが早かったそうで(裏を返せば、股を開くのがザラとも言えるが)、Lineでスタンプと一緒に『やったぜ。』と送られるほどだった。……さり気なくニコ動ネタを混ぜるのは何なんですかねえ……。

 まあ、そんなことを思いつつも、このパーティーは進められていくわけだが。

『おーい、凛。電話だぞー』

 丁度エリザが電話に受け答えし、僕に電話を繋げた。電話の相手はエリザではなかった。いや、もっと以外な人物だった。

『りっ、凛先輩ですか?』

 声を聞いてみれば、それは男の声だった。更に、その声は生徒会のメンバーの中の英洙の声によく似ていた。9ヶ月も付き合いをしていれば、そりゃ分かるだろ、生徒会のメンバーの声くらい。

「……お前、まさか英洙か?」

 僕は男に問う。彼は、直ぐに少々ビビっているような態度を見せつつ答えた。

『はっ、はいそうです。あ、あの……』

「ん?」

『りっ、凛先輩の妹さんと、つっ、付き合うことに……』

「ああそうか。まあ、美来を大切に出来るんなら付き合いな」

『はっ、はい!』

「まあ、僕は親ではないからな。そこまでキツイことはいわん」

『先輩……!』

「まああれだ。お前には妹やれるっしょ」

『ありがとうござ……ちょっ、取るなっ!』

 電話の向こう側で、英洙が美来(?)とみられる女と電話を取り合っている声が聞こえた。……全く、何電話の向こうでいちゃラブしてんだか。リア充爆発しろっつの。……いや、それブーメランだな。

『あ、お兄ちゃん?』

「彼氏出来たのか。姉ちゃんよりも先に」

『そりゃ、あんなバカ姉ちゃんよりも私は美貌だし――』

 胸が1カップ大きいだけだろてめえは、と一言言い返したかったものの、胸の話とかするとこちらの空気も気まずくなるので、あまりそういうのは避けたかった。

『……ところで、お兄ちゃんは里奈さんと何? 一夜を共にしたらしいけど? まっ、まさか家でやったとかそんな……きゃー』

「おいこら」

『ん?』

「おめえ勝手に変換すんなよ」

『何が?』

「とぼけんじゃねえよ。なんで僕が里奈と家で一夜交わしたことになってんだよ」

『そりゃあ、お兄ちゃんの話をヒデから聞いてるし……』

「ヒデって英洙?」

『うん』

 あー、そうですか、そうですか。僕は里奈の事を未だに会長と呼んでしまうような男ですよ。クソ、リア充なんて爆発してしまえ!

『へっくしょんっ!』

 どうやらうわさ話が届いたらしい。美来がくしゃみをしてティッシュを取りに行く素振りを見せた。それに伴い、電話の相手も英洙に変わる。

『いやあ、そのですね、凛先輩……いえ、お兄さん』

 まあそうか。仮に英洙が18になって美来と結婚したら、僕は英洙から見れば『義兄』となるわけか。苗字は変更されなくとも、僕は美来の兄ということになり、そのままイコールで繋がって僕が英洙の義兄ということになる。

「なんだ」

『その、ですね。……美来さんってしょっ、処女なんですか?』

 何を聞いてくるのかと思えば、そんなこと……じゃねえっ!

「いや、おい、マジでお前何聞いてきてんの?」

『いやだってその、今僕、みっ、美来さんと僕の家でふっ、二人……』

 おめえは、何処かのエロゲのヒロインかっつの! 何二人きりとかでそんなに言葉詰まっちゃってんの? 男ならもっと強い度胸を持とうぜ……。あ、これもブーメランか。

「……まあ、処女なんじゃねえの? あいつ、夜遊びとかしてないだろうし。まあ、正確なことは本人に聞いてみるのが一番だろうな」

『ほ、本人に聞けないから義兄おにいさんに聞いたんじゃないですか!』

「悪いな。僕は妹を管理できる主人じゃないんだ。僕は悪魔の主人をするだけで精一杯だ」

『……マジですか』

「最近は出動要請が無いから皆落ち着いて寝てるようだが」

『その方がいいでしょう』

「かもな。……で、英洙からの要望とか質問はそれくらいか?」

『あっ、はい。……まあその、頑張ってください』 

「いやおいこ……」

 こら、と言おうとしたところで電話が切れた。後ろではエリザが電話の有る部屋から出ていこうとした素振りを見せつつも、さり気なく聞いていたらしく、相当ニヤけた様子を見せていた。

「……きっ、聞いていたのか?」

「ダーリンには悪いことをした。すまない。なんでもするから許してくれ」

「御免で済んだら警察なんて要らねんだよ!」

「ひいっ!?」

「……まあいい。おもいっきり楽しめばいいさ、恋の誕生日パーティー」

「それが『なんでも』の内容? もっ、もっと過激なことでも……」

「やめんか阿呆。エリザがそういう事言うと、どうしてもエロい方面で捉えざるをえないんじゃボケ」

「だって私そういうキャラだし」

「メタ発言すんじゃねーよ。後日談エピローグなのに……」

「むしろ後日談だからこそ、メタ発言するべきであって……」

「うわあ。……そういうこと言っちゃうキャラっすか」

「いや、あの、え……?」

「まあいいよ。……でもって、お前は今日何処で寝るつもりなの?」

「り、会長さんが駄目って言わなければダーリンの部屋がいいかと……」

「僕は構わんが、その、変に抱きついてくんなよ。里奈が嫉妬する」

「かわいいー」

「やめんか、人の彼女を使って遊ぶのは」

「人の彼女……遊ぶ……」

「おいこら!」

「ん?」

「意味深なセリフにしか聞こえねえよ! もっと普通の意味にしろよ! つか、なんでそこだけ抜き出したんだよ! お前ただの変態だろ!」

「わっ、私は変態じゃないよ?」

「仮にそうだとしても、お前どれだけ問題発言してんだよ、全く……」

「幼馴染は」

「最悪だぜ……」

「最高だぜ、だろ?」

「……もうやだこの子。なんなの、こんな子がアイドル目指すの?」

「ひっ、人の夢を壊すな!」

「壊してねえよ。……ああもう、長電話って思われるからはよ行くぞ」

「おっ、おう」

 いまいち乗る気じゃないっぽいエリザだったが、それにしても結構テンション高いもんだな。それに、神戸に来てから一度も風邪引いた事ないし、どれだけエリザが元気のいい女か分かるだろう。それでもって、爆乳ということもあり、色々な男子から人気を集め、今じゃ学園アイドルだ。1ヶ月でここまで上り詰める実力は本当に評価したいのただ一言だ。

 更に、女子からも人気がある。最近、男子に媚を売らない女、という事が評価されたらしく、ギャルからも清楚な女の子からも、色んな子から愛でられている。

 そして、12月の最終週、冬休み前の最後で急遽エリザが全校集会で発表した際には、本当にやばかった。なんと、エリザ親衛隊に対抗する戦力、『エリザ様を愛でる会』が発足し、皮肉にも会場のすぐ近くの倉庫で式典が行われていたのだ。

 結局、企画した上の奴らは後で職員室に呼び出しを食らったわけだが。


 『エリザ親衛隊』VS『エリザ様を愛でる会』が、正月明けに戦いを起こして僕ら魔法少年、魔法少女を巻き込むような大事を起こさないでほしいものだが、どうせあれだろう。エリザが収めてくれるだろう、きっと。

「ホント、ラノベの主人公って辛いわ……」

 僕の言った言葉のとおりなのだが、本当にライトノベルの主人公は辛いものである。僕がエリザの幼馴染だからという理由で、放課後親衛隊から呼び出しを食らって事情聴取を何度受けたことか。それに、放課後掃除していた時に急所を蹴られたのは本当に度肝を抜かれた。

 ……ああ、思い出すだけで苛立ちが。


 まあ、そんなことを考えているだけでは楽しいムードも台無しになってしまう。そう思い、僕はテンションを上げて恋の誕生日パーティーを盛り上げることにした。



 ***



「柏瀬恋さーん、18歳のお誕生日おめでとうございまーす!」


 夕方5時半。少々早めの夕飯だった。今日は、姉ちゃんが大学休みでバイトが早く終わった影響でこの時間の夕御飯になったわけだが、恐らく通常と同じような形で誕生日パーティーやったら、日付が変わっていたに違いない。

「おお、うめえっ!」

 乾杯を終えて、僕らは宴に入った。特にそれといった演目とかはない。幼馴染だとか恋仲だとか友人関係だとかの中に、そういうくだりは殆ど要らないからな。だって、これは上下関係の有る会社の忘年会じゃないんだから。

「ささ、今日の夕飯は豪華だぞ」

 ふと、僕は見知らぬ男性を目にした。その男は相当きれいな美形で、歯も白く、手には寿司を持っていた。

「まっ、まさか今夜の夕飯……」

「寿司に変更されました!」

 媚薬突っ込まれないだけマシだな、と思いつつも、僕は『デザートあるかな?』と付け足して考えた。人の誕生日なのにね、全く。

 おおお、という拍手とともに上がる声。ただ、その一方で僕らはその男の人が誰か気になっていた。

「姉ちゃん」

「ん?」

「その人は……」

「私のバイト先の店長さん」

「えっ……」

「やあ、凛君。君が『はくはく』の弟君か……。話は聞いていたが、本当に可愛いなあ。……手を出したいくらいだ」

 何言ってんだこいつ、と僕は思いつつも目の前の男に肩を掴まれると身動きが取れなかった。……え? こっ、この人まさかのホモ……?

「背も僕より小さい」

「……やめてください」

「まあいいや。取り敢えず、君には後でお話があるから、時間もらえるかな?」

「あっ、べっ、別に構いませんが……」

「そうか。ならそのままの方針で頼むぞ、義弟よ」

 今度は義弟ですか。……そっか、こうやって皆色々と他の方向へ進んでいくんんだな。5日離ればなれになるって、確か何処かに書いたっけか。……小学校卒業と同時に埋めたあの手紙、そこに書いたっけか。

 懐かしい思い出が何故か蘇っていく。でも、僕には交通事故の前の記憶は何一つない。過去の記憶はゼロだ。ゼロが過去である。イチは……未来だろうか。まあでも、記憶は一つ以上有るわけだし、それでもいいかもな。

「……いやあ、寿司屋にいって6人前を2セットも購入してくるなんて本当に稀だよ」

 2セットも購入したのか。……って、6人前? 姉ちゃん、僕、里奈、エリザ、恋、梨人、姉ちゃんの彼氏さんで7人だ。せめて余分に頼んだところで8人前、または4人前×2で十分なはずでは……。

 

 丁度その時、忘れていたお客さんがやってきた。

「ああ、愁か」

「やあ」

「……マドレーヌも一緒?」

「おうよ。彼女連れて来いってエリザからメール来たからねえ」

「マジかよ」

 これで合計9人か。恐らく、姉ちゃんとその彼氏さんが頼んだ12人前っていうのは、妹含めた10人前を考えた時を思ったのだろう。寿司といっても、6人前といっても、それほど量が多くないことが有る。だからこそ、補うために少々おかずやらを付け足すわけだが、今夜のディナーに該当する『それ』はない。

 でもまあ、12人前を9人で食べるのは妥当……だろうか。


 そうして、愁とマドレーヌを加えて、合計9人での恋の誕生日パーティーが始まった。皆炭酸飲料を口に運んだりしていた。やっぱり、未成年だから酒は口にできないな。それに、愁みたいに車の免許持ってたらそれこそ、酒飲んで運転だなんて言ったら警察沙汰だ。



 その後、プレゼントを皆で渡しあった。まあ、所謂プレゼント交換だ。それをして、僕は愁からプレゼントを頂いた。5000円分の図書カードらしい。封筒の中には、『里奈さんと末永くお幸せに』と書かれていた。

 僕は彼に『ありがとな』と心のなかで言っておいた。そして、23時ごろメールが届くよう、メールをさり気なく打ち、送信した。



 ***



 夜11時半。12月24日も終わりを迎えようとしていた。

「あの、かっ、りっ、里奈さん、これは……」

 僕が恋にあずけておいたエロ本が山積みになって机の上に置かれていた。

「これで、エロ本は全部?」

「う……」

「聞いてるだけだぞ、ボクは」

「ぜっ、全部です」

「そうか。……じゃあ、凛君は、ボクとどんなプレイをしたい?」

「ぷ、プレ……答えないっすよ?」

「むう」

 頬をふくらませる里奈。可愛いという言葉の他に言葉は見当たらなかったのだが、今回は惑わされんぞ。口を滑らさない限り、里奈には言わんぞ。

「……寒いし、早く寝よう」

「そか。……じゃっ、じゃあ、抱きついていいかな?」

「なっ、なんでまたそんな……」

「凛君も一応男の子なんだし、ちょっとくらい母性くすぐることしてほしいというか……」

「例えば?」

「甘えてきたり」

「それは里奈こそするべきだろ。僕にもっと甘えろっつの」

「あっ、甘えてるじゃんか……」

「甘えてないよ、里奈は。……まあいいや。僕は寝たいから寝る」

「そっ、そう……」

 里奈はふうん、といったあと、僕に抱きついて寝た。まるで抱き枕のようにして僕に抱きついている里奈の姿は、非常に可愛らしいというか。意外性が多くあった。


 そして、エリザはそれを見て空気を読んだらしく、恋の部屋で寝たそうな。……一気に梨人さんハーレムになって嬉しいですかね? まあ、『りと』繋がりで……って事だが。


 ***


 ――朝目が覚めた時、僕の目線の上には里奈のたわわに(それほど大きくないけど)実ったおっぱいがあった。そして、耳元で彼女に「好き」と囁くように言われた。


 そして、今年のクリスマスが始まった。

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