Target:Rina + my friend my sister.-true end./episode103
25時少し前。会長の家、会長の部屋――。寒かった外とは打って変わって、やはり温かい。暖房も効いているし、本当に温かくていい。
「……徹夜、するんですか?」
一応聞いてみた。まあ、朝5時に帰す、と会長言っていたので、そう考えれば成り行きでそうなるものではないだろうか。
「……まあね」
「それで、明日……いや、今日の5時まで僕を徹夜させる気ですか」
「実はそこまで嫌がってないんだろ」
「……バレましたか」
「はは」
会長がふと笑みをこぼす。
僕は、その笑みの裏には何も隠されていることはないなと思った。だから直ぐに腹を切って言ってやった。
「会長」
「ん?」
「いや、西條里奈さん。……僕は、貴方を恋人にしたいです」
「……そう」
「えっ、なっ、何その反応!?」
「いや、何か本当凛君が真剣な眼差しを向けながらボクを見てくるからさ、本気なんだろうなあって思って。……ああ、別におちょくっているわけじゃないんだ。……ただ、真剣すぎてボクも戸惑ってるんだよ」
「そっ、そんな……」
「まあその、凛君がボクの事を好きで居てくれるのはう、嬉しいよ?」
疑問形で会長は聞き返してきた。
「でも、ボクは告白されたの初めてだし……」
「初めて、ですか」
「意味深だね」
「いちいち言わんでいいわ、バカリナ」
「……バカ里奈いうな。マジでそれマドレーヌに最近言われたばっかだから」
「……はあ。……って、マドレーヌまだ神戸に……?」
「いや、東京に行ってもいいらしいんだけど、彼氏が神戸にいるらしい……」
「愁か」
「だから、神戸のボクの家にて居候中って訳」
「……これまた災難で」
「いや、災難なんかじゃなかったよ。……なんて言うか、本当更正したなって思うんだ、マドレーヌ。聞いた話によれば、恋に色々としたらしいけどさ、根はいいやつなんだよ。……だから、ボクには居候されることが災難じゃなかった」
「なるほどねえ」
会長が力説をして、マドレーヌの良さを語った。話の流れ的に、これは僕が会長のいいところを力説するべきだろうか。
「……あの、会長」
「ん?」
「へ、返答を貰っていないんですが……」
「そんなの、オーケーに決まってんじゃん」
「えっ」
軽すぎる反応。照れているようには見えないその反応に、僕は少々戸惑う。いや、少々程度じゃ済まない程度に戸惑った。
「……ボクを彼女にしてくれるんでしょ?」
「まっ、まあ」
「……ボクを幸せにしてくれるんでしょ?」
「……は、はい」
「――ボクの事、好きなんでしょ?」
「はっ、はい」
「ちゃんとしっかり『はい』だけ言え」
「はい!」
「素直でよろしい。……じゃあ、その、これで目出度く恋人というわけだが」
恋人……か。
いつの間にか、僕は会長に恋をしていた。誰かどれくらいデレているのかだとか、そういうルート決定に必要なアイテムが揃っていたにも関わらず、僕は会長とくっつくことを最初に持ってきた。でも、それが僕にとっては一番いい結末だと思った。つまりそれがトゥルーエンド、というわけだ。
「……おい、何か反応しろ」
会長、いや里奈が照れる。頬を紅潮させ、少しむっとした表情を見せながらも、僕の方をじいっと見てくる顔は、本当に可愛い。
「じゃあ、誕生日プレゼントは会長で」
「えっ?」
「あっ、いっ、意味深な方じゃないですから!」
「……別にボクはそれでもいいんだけど……」
「じゃあ、2回目しますか」
「ばっ……、そっ、そういう意味じゃないし……」
「絶対ウソでしょ、会長」
「うっ、嘘じゃないから!」
「……早く白状すればいいのに。……まあいいです。取り敢えず、朝5時まで適当にゲームでもしますか」
「おっ、おう」
前に玲紀さんの誕生パーティーで暇つぶしした時と同じようにゲームをスタートするために、会長が棚からゲームハードを取り出し、僕にコントローラーを渡してきた。
「ほい」
そして、会長はゲームハードの電源をONにし、追加でヘッドホンを取り出してそれを僕らは着用した。
「……お父様はもう寝たし、咲希だって寝てる。あんまり大声出すなよ」
「エロゲマスターだからっておちょくってんじゃねえぞ」
「おちょくってねえし。ただの注意だし」
「そうか。……なら、そういうことで受け取っておきましょうかね」
「ああ、それでいい」
そして、会長がハードのカセット挿入口にソフトを入れ、少しの時間待機し、ゲームが始まるのを待った。
「……さてと。これがバトルゲーだけど」
「4人までOKなやつですね」
「ああ。……ただ、今回は2人だからな。実質タイマンバトルだ」
「ひっでえ……」
「とか言って実は強いんですよね、わかります」
「勝手に自分でセリフ繋げんなよ!」
「悪い悪い」
「……まあ、あれだ。僕はバトル系は得意じゃないんだ」
「へえ」
「へえ、っていうか本当にそうなんですよ?」
「そーなんだー」
棒読みしないでほしいものだが、そう言っても無駄……か。無駄なら仕方ないな。一か八か、バトルスタートしたら会長の胸を揉んでやろう。そうすれば会長が仮に強くても直ぐに自爆させれる。
「おーい、なにニヤけてんだ」
「いっ、いや何でもない……です」
「ボクにはお見通しだぞ」
「げっ……」
「げっ、とか言っても無駄だが」
「……ああもう! スタートしましょう、スタート!」
「やけに急かすなあ……。まあいいや。よし、絶対勝ってやるからな!」
「負けらんねえっす」
互いに少し盛り上がったところでゲームがスタートする。時刻は深夜の1時を回っており、僕ら二人にも眠気が見え始める。そんな中、会長が僕が操作するキャラクターに魔法を使いかけた時、僕は防御態勢に入って、そしてあの必殺技を使用した。
「必殺、パイもみ!」
「ちょっ!?」
後ろから会長に抱きつき、会長が操作していたコントローラーを奪い取ると、僕はそのまま会長の操作するキャラクターをバトルフィールド外に転落させた。
「なっ……!」
下衆の極みだ、ホント。我ながら酷いことをした気分だ。……こんな一途で、ボクっ娘で、成績よくて、そんな完璧超人(※ただし友達が少ないことは除く)を、本当に虐めていいのだろうか。それに財閥の令嬢なんだし、本当後々酷い目に合いそうで寒気がしてきた。
……するくらいならしなきゃいいのにね。
「本当にボクの彼氏はおっぱい好きだよね」
「いやっ……えとっ……」
「そんなに触りたいの?」
「いや」
「嘘つけ」
「すいませんでしたあっ!」
「素直だね。んじゃ、君のコントローラーを使わせてもらうよ……ひゃんっ!?」
「甘いね!」
「ちょ、やめっ……! マ、マジで手つきいやらし……ひひゃぁうっ!?」
ビクッと会長の身体全体が震え上がった。そして、会長が床に倒れていくのを僕はただただ見ている……わけではなかった。今回は、しっかりと会長を助けるために手を差し伸べ、倒れる寸前で抱きかかえた。
と言っても、僕の右肩が床に勢い良く付いたので、結構痛いんだけどね。
「……なっ、なんでこういう時だけそうやって一所懸命に守るんだよ……」
「そりゃ、彼女を守るのは彼氏の役目ですし。ほら、会長を助けるのは副会長の役職でしょう?」
「そうだけど……」
「まあ、変なことを言われたくもないので、ゲーム再開しましょう」
「へっ、変なことってなんだよ!」
「夜戦です」
「変な言い方すんなバカ!」
会長が僕の頬をつねった。そして、機嫌を悪くしたかに見えた会長だったが、決してそういうわけではなかった。ただ、僕の言い方にあんまりいい感想をもらえなかっただけで、あとは別に思い当たる節もなく、普通に、普通に態度を戻してくれた。
「これは会長のパイもみのチャンスだな」
「まあ、『二度あることは三度ある』ってことわざあるし、いっ、いいよ」
「えっ」
「すっ、好きなだけ……もんでいいぞ。そうすれば、ボクの胸も大きくなるし……」
「じゅ、十分大きいですよね!?」
「そっ、そうか?」
「Cカップで十分大きいでしょ……」
「でも、凛君は絶対に大っきい方が……」
「あっ、愛さえあれば関係ありませんから!」
「某ライトノベルのパロディかな?」
「やめてください! そういう意味じゃないですから!」
「ツッコミ有り難う」
「おう」
「じゃあ、しますかね」
「ですね」
「卑猥な方だぞ」
「えっ……」
少し、僕の記憶が飛んだのはこの時分からなかった。
まあ、後悔してからじゃ遅いのはこういうことなんだなって、今僕は改めて知った。
***
それから少し寝て、帰るはずだった朝の5時を軽く越し、朝の9時位に僕は起きた。隣では会長がぐっすり寝ていた。……ん?
僕はふと、近くに落ちていたA7程度の小さな紙を拾った。そして、それを黙読する。
『晴れて恋人同士になられたんですね! おめでとう!』
マドレーヌからのメッセージだった。その裏には、『嬢、よかったですね』という咲希さんからのメッセージも書かれていた。
「そっか。……そう、なんだよな」
12月12日。その日は僕にとって大きな日になった。2人の幼馴染を振って、一人の彼女を手に入れた。そして今日、12月13日は……。
「僕と会長が初めてカップルになって、一緒の家に泊まった日、か」
何か上手いようにまとめた感じがするが、これでいい。
「お」
ふと、僕はベッドから視線を変え、昨日の……もとい今日の1時ぐらいに使っていたテレビの下に、プレゼントボックスが置かれているのがわかった。
その箱は非常に大きく、それなりにお金のかかるものが入っているんだろうという事は、すぐに考えて分かった。
そして、僕は恐る恐るその箱を開けた。
「これって……」
中から出てきたのは、結婚式で着るようなああいった衣装だった。恐らく、豪邸内の会長が前に言っていた着替える部屋、玲紀さんのコスプレ保存部屋から、こういったものを持ってきたんだろう。しかし、こんなに豪華なもの一体……。
「それは私のものだ」
「えっ」
ガチャ、とドアを開けて入ってきたのは東條家のトップ、東條祐奈だった。以前、彼女とは色々と有った関係だが、何となく、関係は良好な方だと思われる。
「その結婚式用ウエディングドレスは私のだ。ああ、ちゃんと選択してあるから大丈夫だ、問題ない。そして、その下に入っている男性用の衣服は……」
「俺のもんだ」
ドアから玲紀さんが顔を出し、そう言った。
「まあ、それが私達夫婦からのお祝いよ。今度私の娘が貴方の嫁になるんですし、それなりの事はしないといけないかなあ、と思いまして」
「でっ、でもこんな豪華……」
「……不満?」
「いえ。こっ、こんな豪華なもの一杯プレゼントに貰っていいのかって……」
「いいわよ。近々、私たち夫婦でお金出しあって結婚式しますからね」
「……はあ」
いつの間に玲紀さんと祐奈さんはそこまでよりを戻したんですかね……。凄いわ。ホント、あなた達ラブラブすぎて新婚に見えるわ……。
「うう」
午前9時過ぎ。起きる時間としてはいい時間だ。まあ、体の成長が変になっちゃうのは当然なんだけどね。
「……起きた?」
「う、うん」
「ほら、ウエディングドレス……」
「ふえっ!?」
会長が目を大きくしてこちらを見てきた。会長はとても喜んでいる様子で、祐奈さんも玲紀さんも大喜びしていた。
「……えへへ。将来はこれ来て結婚式かあ」
完全に里奈さん落ちちゃいましたけど……。まあでも、これくらいデレデレしている方が個人的には好きかもしれない。たまにはいじれるような会長もいいと思うけど、やっぱりデレデレキャラこそ至高だな。ツンデレヤンデレみたいに振り回されることもない、クーデレのように罵倒されかけることもない。デレデレこそ男の夢が詰まった至高中の至高だ。
「……なあ、里奈」
「なに?」
「……お前、身ごもるとしたら子供何人欲しい?」
「ばっ……!」
そこは照れるんだな。でも、これくらい照れた会長も可愛い。
「……10人、とか?」
10人って、つまりあれを10回はするんだよな? ……うわ、マジ会長さんデレると相当やばいキャラなんじゃねえの……?
「じゅっ、十人!?」
「おっ、多すぎるかな?」
「いや、それだけ子供が養えるかって事に掛かってくると思うけど……」
「じゃっ、じゃあ、3人がいいなっ!」
「それくらいでいいだろ」
「男の子1人と女の子2人で。ちゃんと、後継者も居るしね」
そうだった。会長は前に性別転換しろっていう事を言われていたんだよね。
「……じゃあ、それでいこうか」
「じゃあ、さっ、早速子作り……」
「まだ早いから!」
僕が一応そう入れておくと、後ろで見ていたバカップルのようなよりを戻したお二人が口を開いていった。
「私たち夫婦で(俺ら夫婦で)養えるから、一杯子作りしていいぞ」
「なっ……!」
「じゃあ、そういうわけで。凛君、頑張ってね」
二人はそう言うと、ドアを閉めて去っていった。
「嘘だろ……」
「でも、ボクは別にいいぞ……?」
「でも、まだ時期的に早いだろ。……だから、ちょっとお預けな。……でも、幸せな家庭築こうな、里奈」
「うんっ!」
里奈は思いっきりの笑顔を見せた。そして、僕が「さてと」と言ってゲームハードとテレビを片付けようとした時、こっそりと近づいてきた。
「えっ?」
僕が少し疑問形で里奈に言った時、里奈は何も言わずに僕の唇に温かな熱を感じ、少し糸をひくような唇をくっつけてきた。そして、十数秒程度でそれを止め、「へへ」と笑った。
「……可愛いな、ホント」
「ありがとうね」
「よし、胸揉むか」
「ばっ……!」
こっちはこっちで、バカップルになりそうです。でも、こんな可愛い女の子を彼女にできるんで、別にいいか。……これで不満持ったら、酷いよな。これだけ女を振り、自分の気持ちを確かめて会長を選んだんだ。だから、不満を持つことはあり得ない。
「ねえ、凛君」
「ん?」
「結局、ボクを選んだ理由ってなんだ?」
「げっ、現実的に言うとお金ですが、でも、それ以上の価値があります」
「なに?」
「……会長と居ると、自然とこう、心を開けるなって思ったんです」
「なるほどな」
「それに、会長面倒見いいし」
「そりゃお世辞をどうも」
「お世辞じゃないです。……だから、会長。本当に僕はあなたが好きです」
「有り難う。……ホント、回りから見たらボク達ってバカップルだよね」
「ですね」
「……よーし、じゃあ休みだし、今日は凛君の家に行こうかな」
「遊びにですか。いいですよ。でも、先に朝飯食いましょう」
「はーい!」
そう言った後、会長は手を上げて笑顔でいた。
***
そして、それから僕の家に会長を連れてきて、そして色々とゲームしたりして時間を潰していった。会長からプレゼントを貰った時、本当に10万円使ってくれたのは驚きだった。僕が折角「買わなくていい」といったのに、それでも買ってくれる会長はなんて素晴らしい人なのか。
まあ、会長のことだから喜んでも照れ笑いで済ませるんだろうね。
いや、僕も照れ笑いで済ませるかもしれない。やっぱ、似たもの同士は話しやすい、ってことなのかな。
「――うわああっ!」
「よっしゃあっ!」
白砂家のリビングで、僕の幼馴染4人、それに僕の姉と妹、そして会長が一緒にゲームして遊んでいる。何で遊んでいるかといえば、大富豪だ。やっぱり人数が多いほうが楽しい。まあ、僕は一番で上がったから、こうしてコーヒーを飲んでいるわけだけど。
後悔してからじゃ遅いけど、でもチキンハートは少しは治ったかな。そして、僕らは新しい道を歩いていけるのかな?
これからの自分と、今までの自分を比較しながら、新たな夢へと向かう僕の旅路は、始まったばかりに過ぎなかった。
「こっ、今度は、クリスマスデートだ! そっ、そのときはお前に倍の額を奢ってもらうから、ちゃんと覚悟しておけよなっ!」
会長が僕の家から出る前にそう言っていた。
僕は少し呆れるような表情をしながら、会長に手を振った。そして、会長の姿が見えなくなったところで、部屋に戻ってエロゲをまた始めるのだった。
トゥルーエンド終了!
12月12日23時59分に投稿完了しました!
……さて、ここからエピローグと外伝です。イチャラブですね、要は。
というわけで、12月12日になりましたが、皆さんお付き合いいただきありがとうございました! 今後共、Renonsをよろしくお願いします。




