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Future  作者: 浅咲夏茶
7th Chapter;5 days of the last. -Until December 12 from cultural festival.
101/127

Target:My childhood friend, student council president and younger sister./episode100

 朝起きると、恋が弁当を作ってくれていた。そして、いつもの様に朝飯は昼飯と違うメニューだった。偶に余り物を提供してくることが有るが、基本的にはそんなことはない。本当、メイドにでもなればいいって話だ。


「――じゃあ、行ってきます」

 玄関の戸を開ける。カラッと晴れた青空が空いっぱいに広がる。冬であるというのに、まるで真夏を思わせるかのような光景が空に浮かんだ。

 午前7時過ぎ。スマホで朝の情報番組を視聴し、情報を捉えつつ、ニュースへの関心を湧かせつつ、僕は会長や恋、エリザ、美来とともに学校へ向かった。

「よっす」

「うぃーす」

 梨人と愁が僕の肩をたたいて、はにかみながら笑顔でこちらを見てきた。ある意味、これが僕らの中の朝の挨拶である。まあ、叩かれても男同士なのでそれほど意識することもないし、変な感情を抱くこともない。

 某所で、僕が受けで愁と梨人が責めの同人誌を書いた奴が居るんだが、確かイニシャルは……M.Sだったか? だが、彼女の画力では到底素晴らしい絵が描けないので、腐っている友達と書きあっているとか。……ホント、くだらねえ。

『エロゲやってるご主人様も大概ですよ』

『朝から僕をディスるな』

 ニュクスに突然話しかけられてきたので、僕はそう言っておいた。

『私はご主人様を侮辱しているわけではないんです。事実を言っただけです』

『……事実だからって、何でもかんでも口に出していいわけじゃないだろう。……常識的に考えて』

『そうですかねえ? ……それならそれでいいんですが、あの』

『なんだ?』

『事実を言っただけなので、誤解は避けて欲しいです』

『うん、誤解しないと思うよ』

『棒で読まないでください』

『悪い』

『それじゃ、ハーレム楽しんでください』

『いやいや、ハーレムとか望んでないからね!?』

『……嘘だッ!』

『怖くない』

『ちっ。……明日から本気出すし』

『いや、今日から本気出そうぜ。……つか、本気ってなんだよ』

『もういい!』

 切られた。まあ、あの一件以来、中々話しづらいのは確かだ。過度に照れているわけではないのだが、何処かこう、避けずには通れない何かがあって、避けようとすると悲しくなる。そんな感じなんだ。

「……はあ。今日は凛の誕生日だな。誕生日おめでとう」

 梨人が話を切り出した。話しかけられ振り返ると、相当はにかんでいた。

「そんな事言われても、僕は何にも言えないけどね。プレゼントとかも、結局は自分で用意する訳じゃないから……。つか、自分でプレゼント用意して自分で渡す自作自演とか、何処のぼっちだよ」

「やめとけバカ。ぼっちに可哀想だろ」

「ま、まあそうだが……」

「それこそ、お前だって将来はぼっちになるかも知れねえんだから」

「それは何? 嫁が死ぬとか、そういう意味で?」

「マズイ飯食って嫁のせいで死ぬかもな、お前は」

「なにそれ」

「まあ、恋と会長選んだら、死ぬことはないだろうけど」

「……エリザのこと普通に馬鹿にしてるけど、お前って親衛隊のいちいんじゃなかったんだ?」

「そんなところに入るわけ無いだろ。第一、俺はお前みたいな変態じゃねえ」

「嘘つけ。ガキの頃、毎日のように恋のスカート捲りしただろ」

「記憶にねえよそんなの」

 梨人がそう口にした瞬間、遠くから熱い熱い炎が立ち込めているような雰囲気が僕を襲った。そして、ふと右の方向を見ると、ブルブルと身体を震え上がらせている恋の姿があった。

「……記憶に……ないって……? 説明してほしいなあ……」

 ヤンデレ目になっていく恋。いや、これはヤンデレなのか? ……まあ、それは分からないが、目はレイプ目そのもので、ヤンデレ目とも言える目だった。そして、僕はそのオーラに屈しなかったのだが、梨人はすぐに屈してしまい、僕の制服の裾をぎゅっと掴んできた。

「……たっ、助けろっ」

「男がそんなこと言うんじゃねえよ、きめえよ」

「こ、怖いんだ……。はっ、初めてなんだ……」

「おい」

「こっ、こんなに殺されそうになるの……痛いことされるの……」

「やめなさい、意味深なことを言うのは。特に後ろの文章!」

「……だっ、だめか?」

「キモいんだけど……。つか離れろ、暑苦しい」

「……そっ、そうだよな。俺なんか助けてくれないよな……凛は」

 なんなのこの寸劇。何? この時期に留年決まって演劇部に入ったりでもしたんですかね、梨人さんは。……というか、何で意味深長な事ばかり言うんでしょうか、梨人は。しかも、抱きつかれたら暑苦しい。

 男同士でくっつきあうとか、何そのホモゲ。何処のホモゲだよ。

『――それなんてホモゲ?』

 途中、会長が心中会話の中に入ってきた。

『……きっ、聞いていたんですか!?』

『いや、まあ、その、申し込んだらすんなり通っちゃって』

『マジですか』

『うっ、うん。……ところで、抱きつかれるの嫌なの?』

『そりゃあ、男同士で抱きつくとか、そんなのないでしょ……』

『でも、妹さん受けいいんじゃない?』

『あのね、会長。そういう危険な発言は極力避けたほうがいいですよ?』

『なっ、なんで?』

『いや、美来ってホント、人前じゃホモ好き超絶BLラブとかいう事言ってるふうには見えませんが』

『何を言っているんだねキミは』

『まあ、聞いてください。……ともかく、表では普通の清楚な女の子、裏では超絶BLラブの腐女子妹、というわけです。まあ、危険な発言だと思いますよ』

『なんでだ?』

『だって、R15以外に「ボーイズラブを含む」にチェック入れないといけなくなりますし』

『そんなこと言ったら、Meta2fって最初の方、R15じゃなかったんでしょ?』

『タイトルにメタって入ってるからってメタ発言はやめてください、会長』

『はいはい。……ところで』

『ん?』

『だっ、抱きついていいかな?』

『嫉妬しちゃいましたか?』

『ちっ、違うよ。……何か、さっ、寒いというかね』

『別に構いません。ただ、恐らくエリザも抱きついてくると思います』

『何でそういうこと確認取るのさ?』

『いや、取ったほうがいいかなって』

『無駄なことばっか聞いて。肝心なこと聞かなかったり、聞き逃したりする鈍感チキン男には、本当に懲り懲りだ』

『酷い言いようだ、全く』

『別に酷くなんか無いでしょうよ』

『そうですか?』

『ああ。……んじゃまあ、凛君が機嫌を損ねられても困るので、むぎゅってするね』

『……あの』

『ん?』

『――会長って、ヤンデレになりそうですよね』

『ヤンデレとか、んなわけ無いじゃん!』

 表ではテンションの高い成績優秀一途な女、裏では超絶病んでる女。……ヤンデレが好きではない僕だが、少しながら許せる感じだった。まあ、ヤンデレと言っても、何でもかんでもナイフや包丁といった刃物をもたせ、主人公を殺さない限りは、それと言って悲しいことも怒らないのだから、変に考えこむ必要自体無いはずだ。

 まあ、事が起きてからでは遅いのは言うまでもないがな。

「えへへっ……」

 会長が相当な笑顔で僕の左腕に身体を寄せてきた。左腕を徐々に下の方へ、下の方へと引いている。そして、自身の胸の谷間を丁度肘の左右の脇に挟ませ、強く僕のことを抱きしめてきた。

「裏山」

 梨人がそうコメントを入れた瞬間、その場に大きな雷が落ちた。と言っても、それはただの比喩であり、本当に雷なんて落ちていない。落ちたら、家電系が全部やられてしまうし、停電沙汰になるに決まってる。

「……まっ、参りました」

「猛省しろ、変態性欲男」

「あっ、ありがとうございますうっ!」

「M豚」

 梨人のM特有の歓喜の声とともに、恋のスイッチが入ったらしい。

「はいいっ!」

「豚はぶひぶひ言ってるほうがマシよ、雄M豚」

「ぶひいいいっ!」

 なんか本当、恋が梨人を虐めているところを見ると、微笑ましい気分になってくる。これは、サディストとしての気分であり、暴力的な意味は一切含まれていない。それこそ、梨人自身が、『知人の異性からのいじめられる行為は、Mの僕にとって最高なので、もっと虐めて欲しい』とか言っていたので、変に心配する必要もない。恋も言ったように、梨人は雄のM豚なのだから。

 その光景を見るのを止め、再びくるりと回った時、今度はエリザが僕の右腕に掴まってきた。そして、会長とは少し違かったが、大体会長と同じ感じで僕に掴まってきた。

「……ダーリンは私の兄様だから」

「何? 敬語の義理妹?」

「簡単に言うと、そうなります」

 何か凄い初々しいんだが、何故か愛くるしいように感じてくる。……義理の妹という設定に僕がハマってしまったからだろうか。それでは、実妹の美来に可哀想だ。兄として、それなりの振る舞いをしたいが、そうも行かないらしい。

「……敬語妹は最高ですか?」

「それって、『小学生は最高だぜ!』的に答えればいいのかな?」

「別に私はそう言うべきだと兄様には言っていませんよ」

「そっ、そうか」

 やばいな。義理の妹(設定)に、『兄様』って呼ばれると、本当に心にグッと来てしまうんだが。……クソ。僕はなんていうダメ人間なんだ。チキンだとか、そういうのはもういいとして、先にこの『兄様』と呼ばれることに耐性を付けねば。……午後の件で大変なことになる。

「……じゃあ、エリザ」

「なんでしょうか?」

「授業終わったら、制服でな」

「はい」

「つか、着替える暇ねえしな」

「そうですね」

「……敬語使えるんだな、エリザって」

「そりゃあ、日本に来るために日本語を勉強していましたので」

「成程な」

「それに、バイリンガルですので、特にそれと言って言語環境に困っているわけでも有りませんし、敬語程度ちょちょいのちょいで覚えました」

「こっちは英語で苦労しているのに……」

「兄様に言っておきますが、元々日本人が英語を完璧に覚えるのには無理があります。それなりの発音が出来ても、正確な発音とはなりません。……というより、発音に上手いも下手も無いんですがね。書き文字でもないんですし、伝わったもんがちなんです。発音は、海外に暮らせば次第とわかってきますから」

「成程な。……経験者は語る、ってか」

「上手いこと名言風にまとめないでくさい、全く」

 そんな会話を交わしていた所、会長が有ることに気づいたらしく、手をポンと叩いて目を大きくした。

「あっ!」

「どうかしました?」

「今日、選挙の投票日だ……」

「別に間に合うでしょ」

「でも、生徒会役員選挙なのに、前生徒会役員が遅れたらどうなるか……」

「別にサボるくらいいいでしょう」

「さっ、サボらないことを条件になんたらかんたら……」

「はい?」

「なっ、なんでもないわ!」

 少し大阪弁になったがまあいい。プチかわいいということでいいだろう。

 そんなことを考えつつ、僕らは学校まで少し足早に向かった。


 ***


 時間は経った。まだ生徒会長が誰になったのか、書記が誰になったのかなど、そういったことは僕らの耳には届いていないが、恐らく明日、選挙管理委員会から伝えられるはずだ。それを待つのが一番だろう。彼らの仕事のじゃまをするのは、生徒会役員としてどうかと思うし。


 夕方4時25分。通常授業だったため、それなりの時間と一緒に今日の授業も終わりを迎えた。僕は、生徒会の仕事を会長に任せて、エリザについていく約束を守った。だが、階段をエリザと二人で降りていると、当然ESSの奴に見つかり、少々尋問を受けそうにもなった。だが、僕はそれを可能な限りスルーし、「明日殺されてもいいや」くらいの覚悟でエリザについていった。

「……いっ、いいの?」

「いいよ。……あ、敬語じゃなくなってる」

「いいし、もう。ダー……凛だって、お兄ちゃん設定忘れたら駄目だよ?」

「忘れねえよ。……つか、何処だったっけ?」

「三宮って聞いてあるけど……」

「そうか。……でも、三宮って言っても色々と有るだろう」

「きっと駅前で大丈夫だと思うよ」

「花時計前かもよ?」

「いいよ、駅前で」

「そ。……んじゃ、そういうことで行くぞ」

「うっ、うん!」

 エリザの手を握り、強く引っ張る。腕が外れることはないだろう、いや外れないことを祈りながら、僕らは三宮まで学校から走って駆けていった。


 ***


「まっ、まだ……?」

「悪いな。……あと少しで三宮の駅には到着するが……寒くないか?」

「大丈夫だよ」

「そうか」

 夕方4時45分。走っていると疲れが発生するので、僕とエリザは途中で休みを入れてから来た。その方が疲れもすぐ取れるし、何より変に体力温存とか考える必要もない。正直、「素直にエリザが夕方5時集合にしておけばよかったのに」という心のなかの感情が僕にもあったが、それでもよかった。

「……あっ」

 エリザが声を上げた。

「どうした?」

 途端に僕が手を引くのを止め、足を止めてエリザの話に耳を傾ける。

「……あ、あの人淳さん……」

「あの人が淳さんって……えっ」

 この時、僕がエリザと一緒に来たのは間違いだったと気付かされた。何故なら……。




 僕は少し驚きつつも、こらえきれず口から言葉が出てしまった。

「――西條家の執事の……淳さん!?」

 そう。変装なんて絶対バレる。……というかまず制服だから、仮に口調とか設定で誤魔化そうとも、声質似てればもうアウトだろう。

「……どうしたの、凛」

「いや、もうお前ダーリンって言っていいわ」

「何で?」

「僕、あの男の人にあったことあるから」

「えっ」

「あの男の人、西條家の執事さんなんだ。会長のお父さんのね」

「まっ、マジでっか」

「マジでっす」

「……じゃあ、何もすることねえじゃん。変装意味ねえじゃん。オワタじゃん」

「そういうこと。……だから、悪いけど普通に今日は普通に釈明してくれ。何で僕がエリザと三宮に来たのか」

「いっ、嫌だよっ!」

「……だと思った。まあ、行くぞ」

 また手を引いて、僕は駅前までのラストを足早に進んだ。


 ***


「久しぶりです、凛様」

 顔見知りという事もあって、淳さんはすぐ僕の顔が分かってしまった。一応、エリザのプロデューサーが一体誰なのか知りたかったので、僕は聞いておいた。

「あの、アイドルのプロデューサーって……」

「ええ、わたくしです。一応、主人に任されているのでね」

「プロジェクト……みたいな感じですか?」

「簡潔に言えばそれが一番正しいね」

「そうですか」

「はい」

「……あの、今日僕がここにいる意味なんですが……」

「エリザちゃんが怖いって言ったんだろう?」

「なっ、なんでそれを……って」

「図星」

「……」

「はは。面白いね。……でもって、凛様は家の嬢と結婚されるんですよね?」

「いや、段取り早すぎ……」

「いやその、出来れば凛様は家に迎え入れたいのです。そうすれば、自然とエリザ様も凛様と同じく、西條家の中に入れます。嬢に聞いた話ですが、他の3方も大丈夫です。あと、その中の一命がマドレーヌ様と付き合っているようですが、再婚の話は今回ってきているので、恐らく大丈夫かと」

 結婚って所は変わらないんですね……。でもいいか。あんな可愛い嫁が出来るんだ。料理もできて、お金持ってて、胸の起きさはエリザや恋には負けるが、それなりの戦闘力を持っているし、身長もそれなり。僕より20cm程度も低い。

「……無理、でしょうか」

「いや。……無理ではないです。ただ、この件については、喫茶店とかで話したいです」

「そうですかそうですか。……あのですね」

「なんですか?」

「喫茶店に行くことは、今回、私共が主人に命令されたことですので、別に凛様がいう必要はなかったんですが、流石は婿候補ですね」

「……いや、淳さ……」

「それでは、カフェにいきましょう」

「夕方に喫茶店っていうのもどうかと思いますけど」

「大丈夫です。私共、西條家一族が代々お世話になっている老舗ですので、味はご安心ください。金額は、お一人5000円までなら大丈夫です」

 喫茶店で5000円も一人使わなくねえか? しかしまあ、流石は財閥グループのトップの家系だ。お金の桁が違う。

「それでは向かいましょうか。凛様、エリザ様」

「は、はいっ!」

 指示されるがまま、僕はエリザを連れて喫茶店まで向かった。

 さて、100話到達です! ……101ってアドレスにあるけど。

 ここから、二つのルートに分岐します。


 Aルート:会長×凛 True end → episode101 へ

 Bルート:恋×凛 Another end → episode113 へ


 因みに、エリザ×凛ルートも考えとしては有るんですが、その場合、年越しする可能性があるので、もう少し待ってもらえればと思います。


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