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Future  作者: 浅咲夏茶
7th Chapter;5 days of the last. -Until December 12 from cultural festival.
100/127

Target:Elisa,Ren and Rina +α./episode99

「……なあ、エリザ」

「ん?」

 夜8時過ぎ。夕飯を食べ終えた僕は、エリザ、恋、会長の順に風呂に入れさせ、僕は最後に風呂にはいることにした。それほど今日は疲れたわけでもなかったし、仮にラノベ、アニメ的展開で起こりがちな、ヒロイン乱入(恐らくエリザだろうな)が入ってくるのを防ぐことが一つあった。

「……夕飯美味しかった?」

「美味しかったよー」

「そうか」

「ホント、ダーリンは完璧な男で羨ましいっすわ」

「そうかな?」

「女々しいところを除いてだけど」

「こら」

 少しエリザの頬をつまむ。

「痛いよバカ」

「わっ、悪い……」

 迂闊だった。いい匂いが僕の鼻孔を漂い、脳内を刺激してくる。当然、理性で抑えたが、それが顔に出てしまい、僕の顔は真っ赤になりつつあった。

「どうした? ……照れてる?」

「いやっ、べっ、別に……」

「ダーリンはツンデレキャラじゃないでしょ」

「メタなこと言うなっ!」

「……むう」

「むう、とか言ってもダメだかんな!」

「いやさ、ダーリンって結構色んな女の子と近いから、正直な所、私は結構妬いてるんだよねえ。……会長さんに『ばかりな』って怒りぶつけてこよっかな」

「なんでさ?」

「いや、その、ダーリンの子供は私が産むから……みたいな」

「お前は産む機械じゃねえだろ……」

「だ、ダーリンのためなら生む機械にだって……」

「やめなさい。はしたない」

「だっ、ダーリンが言うなあっ!」

「……まあ、あれだ。お前はスタイルいいんだから、そういうこと言わないほうがいいぞ。前例として、恋という暴力女の幼馴染……」

 僕がしっかりとエリザに言葉を伝えようとしたのだが、無理だった。突然、僕の部屋のドアを開けて恋が入ってきた。噂をすれば影がさす、ということか。

「もう一度言ってみろ」

「は、ははは……」

「笑って誤魔化すなよ。言えよ、はっきりと」

「いや、えと、その……」

「ちょっとヅラかせや」

「……あの、れ、恋さん? 目がマジ……」

「このやり場のない怒りを何処にぶつければいい? 4語で返答をしろ」

「いや、よ、四語とか……」

「答えろ」

「そ、そりゃ恋さん……って、ぐはっ!?」

「オメーだ馬鹿野郎! ……ひゃっ!?」

 恋が体勢を崩してしまい、丁度胸ぐらをつかまれていた僕は瞬時に恋の拘束から開放された。だが、拘束はすぐに訪れた。柔らかな感触が左右から僕の頬を撫で回すようにして押し付け、鼻が谷間の奥深くに入り込み、非常にいい匂い香りがまたこれも鼻孔に……。

「体勢崩すくらい気持ちいいんだ……」

「ちょっ、エリザ何をし……ってか、早く胸に顔を埋めるのやめ……」

「いい匂いでしょ、ダーリン?」

 僕に答えを求めてきたので、僕が顔を上げ口頭で答えようとした時、エリザが僕の首のところを押して、顔を上げれないようにした。まあ、押されれば痛いはずなのだが、目の前に恋の大きな果実が二つあり、その谷間に顔をうずめているのが今の僕の置かれている状況なので、痛いのも全く感じなかった。

「あ、ああ」

 胸の谷間に挟まれ、声が少しおかしくなってしまったが仕方ないだろう。

「……さっき、恋が『凛っておっぱいが好きなんだよね?』って脱衣所で聞いてきてくれたんだよー。いやあ、あの顔真っ赤にしてる恋さんかわゆす」

「ばっ……」

「しかもしかもー、もう明日の弁当作ってるらしいよー」

「いや、えと……」

「それに、幼馴染って負けフラグとか言ってた」

「こら!」

 エリザの押しが終わり、僕はそれを跳ね返すように強く顔を上げた。途端に、恋が顔を真っ赤にしているのが見えた。

「……胸が好きなのか」

「いや、これはその、ふ、不注意というか……」

「事故、だろ?」

「か、簡潔に言えばそうなる……」

「……じゃ、じゃあ許す」

「デレ?」

「変に受け取らないでくれればもっといいことしてやったのに」

「例えば?」

「明日一日ツンデレじゃなくてデレデレとか」

「……お前がツンデレとデレデレを調整できるかって言ったら、絶対無理だろうな。第一、お前が僕にツッコミを入れない日はないし、キャラ崩壊起こるからやめとけ」

「……じゃ、じゃあ」

「ん?」

「そっ、添い寝は……」

「もっと上のことを」

「た、例えば何をすればいい?」

「耳掻きとか」

「……子供かよ」

「アホか。まあ、会長にでもいいんだけど、流石に会長にばかりポンポン仕事とか、僕のしてほしいこととかを頼んでばかりじゃってことで」

「……会長さん可哀想なんだけど」

「とか言って、内心では……」

「思ってないけど……」

「嘘つけ」

 ちっ。こういう時に、心のなかを読める能力が使える悪魔が欲しいってなるもんだ。確か、会長が青春の女神なるものを前に僕に当ててきたことが合ったが、ああいうふうに心を読める女神が欲しいものだ。

「で、耳掻きすればいいの?」

「ああ。その最中にお前の胸をたっぷり揉んであげるから楽しみにしてろ」

「耳の奥に耳掻きぶっ刺すぞ」

「人の鼓膜を壊すなバカ!」

「……はあ。じゃあ、やってやりますよ」

「お」

「ほら、横になれ……」

 恋が僕のベッドの上に腰掛けた後、近くにあったティッシュの箱から一枚ティッシュを取り、近くに置いて僕を呼んだ。

「……まあ、エリザにさせても悪くないんだが、やっぱり怖いんだよ」

「なんで?」

「言っちゃ悪いけど、エリザって結構不器用じゃんか……」

「才能を発揮出来てるからいいじゃん。美貌だし、怒らないし、何より歌うまいし」

「アイドル目指すべきなんじゃね?」

「実はもうスカウト来てたり……」

 恋が耳掻きの準備をしている最中、エリザが同じ部屋にいることを知りながらエリザのことを僕と恋は話した。最初は、ただただ憶測を言っていただけだった。だが、それは予期せぬ方向へと向かっていった。

「……きっ、来てるんだ」

「えっ?」

「まっ、前に街中でレイプされた後、助けてくれた人が居て、その人がスカウトしてくれたんだ。……確か、嶌原淳しまはらじゅんとかいう人だった気がするな……」

 淳、という名前で僕は咄嗟に会長のお父さんの執事さんである、あの淳さんを連想した。

「そ、その人ってまさか、会長のお父さんの執事さんってわけじゃ……」

「そ、そんなの分からないよっ! た、ただ、12月の12日に、三宮で待ち合わせ……」

「明日じゃねえか!」

「そ、そうなんだけど……」

「時間は?」

「夕方の4時」

「うわ。明日は6時間だから、時間で言えば4時25分下校開始。間に合わねえじゃんか。どうする気だよ?」

「そっ、それは何とか……」

「電話番号とかは?」

「聞いていない。メルアドは聞いてあるけど、誰にも言うなって……」

「じゃあ、エリザは明日早退しろ」

「えっ……」

「早退なら出席日数に問題はないから、早退しろ」

「で、でも一人じゃ怖い……」

「じゃあ、僕がお前の付き添い人として行ってやるよ」

「で、でもダーリンと一緒に行ったら、誤解を招くんじゃ……」

「誤解なんて招かねえだろ」

「なっ、なんでそう言い切れるのさ?」

「僕がお前の兄って言えばいいじゃん」

「義理の?」

「変な設定つけんな。まあ、義理とか実とか、そんなのはお前が話の流れで決めろ。最初に僕から義理って行ったらお前が合わせりゃいいし、お前が最初に実って言ったら僕が合わせる。それでいいだろ」

「でも、何で恋じゃダメなの?」

「恋には学業に専念してもらいたいというかだな。まあ、僕は1日くらい休んでも大丈夫だしな。それに、早退なら出席日数に響くことはないから」

「結構嫌らしいこと考えるね、ダーリンも」

「別に嫌らしくはないだろ。金の話じゃないし」

「いや、お金の話も出席日数の話も、似てるでしょうよ」

「そうかなあ」

「そうだよ。……じゃあさ、ダーリン」

「ん?」

「明日は、ダーリンの義妹だからねっ!」

「ツンデレですか?」

「いや、私は前からデレデレだと思うけど」

「そうだったな」

「キャラ設定を確認しておけよ」

「設定とか、メタなこと言うな! ……作品タイトルに『メタ』って入ってるけど」

「こらあっ!」

 おっと。そういえば、恋さんの手が止まっていた。そりゃそうか。話していればそれなりに動くことも考えられるから、手を止めて万一の自体に備えているのか。流石、家庭的で母性あふれる奴だ。

「……は、話し終わった?」

「ああ」

「じゃあ、耳掻き始めるね」

 恋が耳掻き棒を手に持ち、耳の中にそれを入れてきた。司会に入る恋の胸は非常に大きく、今にも揉んでしまいたい。……おっと。男という生物は本当にエロいことに興味が有りすぎて困る。理性で抑えるんだ、凛よ。

「……痛くない?」

「大丈夫。むしろ眠くなってきた」

「確か、神経が刺激されて眠くなるんだよね」

「そうなのか。……くそ。こんな時間から眠気に襲われるなんて不覚だ」

「寝ちまえ寝ちまえ」

「お前の前で寝るような男じゃねえっつの」

「なにそれ。変な意地張って」

「わ、悪いな……」

 しかし、本当に良い匂いがして困るんだが、どうにか対処する方法は存在しないのか? 耳から伝わる感触は非常に心地がよく、今にも寝てしまいそうな気分になれる。そして、それを強くするものがそう、女子特有のニオイである。エリザと言い、恋と言い、なんていう素晴らしいニオイを僕の鼻孔にあてて刺激してくれるんだか。

「……寝る」

「プライドはどうした!」

「捨てるよ、そんなの。……後はよろしく」

「はあ……」

 僕はそのまま、眠気に襲われて少々の仮眠へと入った。


 ***


 起きると、時刻は夜の11時過ぎだった。ヒトは90分毎に浅い睡眠と深い睡眠を繰り返しているらしいので、90分の2倍、180分で起きるのはある意味いいことなのかもしれない。詳しいことは知らんが、一応知っていたことを変に考えたことに繋げただけだ。

 隣ではエリザが寝ていた。11時だというのに寝るのが早いな、こいつは。

「ああ、起きたか」

「か、会長……」

「部屋に戻ってきたら、凛君が寝ていてびっくりしたよ。ああ、エリザは10時半位に課題を終わらせて寝たよ。てか凛君、課題は?」

「ああ、課題は授業中と休みの時間使って片付けたんで」

「……尊敬するわ」

「そうですか」

「はい。しっかしまあ、本当に眠たいんですが、どうにかならないものですか?」

「なりませんね」

「……そうですか。……さてと。風呂に入りますかね。ああ、恋はどうしました?」

「恋ちゃんはもう寝ているよ。明日のお弁当の献立はもう考えているらしいからね。いやあ、ボクの仕事が一つ減ってある意味嬉しい」

「そうですか。……あの、会長」

「ん?」

「恋って、結構健康的な生活送ってますよね」

「まあな。夜10時に寝て、朝の4時とか5時に起きているんだよな?」

「はい。本人曰く、『課題系は夜の8時位に片付けて、あとエロゲして寝るのが最高』とか」

「でも、そんな事しているのに良くいい時間に起きたり寝たり出来るよねえ。関心だよ、全く」

「僕も見習わないとダメですね」

「ボクもね」

「ですね。……じゃ、風呂入ってきます」

「あっ、そっ、その件なんだが……」

「何ですか?」

「え、エリザも恋も寝たし、ふっ、二人で入らないか?」

「……えっ」

 空気が重くなる。……僕は嬉しいぞ? そりゃあ、女子と風呂とか、嬉しいに決まってるし、8時台に女性陣を先に風呂に入れさせたのは、ある意味の照れ隠しだった。覗きとか、そういうのもやりたいってのはあった。何というか、メタな発言だが、『ラノベだからヒロインの風呂シーン除きOK』みたいな、そういう軽いノリで僕は思っていた。でも、簡単に出来るはずもないので、さっきみたいに照れ隠ししてしまうんだけどね、僕は。

「……はっ、恥ずかしいから早く答えろって」

「じゃ、じゃあ、おっ、御願いします……。で、でも、姉ちゃんとか美来は……」

「もう二人共風呂は終わってるよ。それに、凛君がいつ起きてもいいように、ボクがお風呂はちゃんと沸かしておいたから」

「なんという手の込んだ……」

「手なんて込んでないよ。ただ、ちょっとガス代とか食っちゃったから、後でプレゼント代金予算からボクが渡すよ。……御免」

「いいです、別に。女子と風呂に入れるだけで、寿命が1年延びた気がしますから」

「……キミの寿命はそんなもんなのか」

「はい」

「……呆れたよ、全くもう」

「はは」

 僕はそう笑いを入れたあと、会長とともに風呂場に向かった。


 ***


「せ、背中大きいな……」

「かっ、会長こそ、その、何というか……」

 夜も11時20分を回ろうとしていた頃、僕と会長はこっそり風呂に入っていた。起きたばかりなので、少々変な感覚に陥りながらも、僕は会長との風呂を満喫していた。そして、そんな中で、洗いっこが始まった。

「……あの、会長」

「ん?」

「か、鏡で見えてるんですけど……」

「りっ、凛君の前だったら大丈夫」

「じゃっ、じゃあ向かい合いますか……?」

「なんでさ? ……もっ、もしかしてボクを押し倒したいからとか、そういうエッチな理由じゃないよね? ……まあでも」

「だっ、だから違いますってば! ……でも、タオル巻いてください」

「下だけ?」

「……うっ、上は別にR15なら……」

「またメタなこと言って……」

「そうやってツッコんでくれる会長も好きです」

「ばっ……」

「ライクかラブで取るかは、明日わかるので、特に気にしなくていいですよね」

「ボクは凛君が本当に、ラブで好きになっちゃったんだぞ……ふんっ!」

「えいっ!」

「ひゃっ、んっ、にゃっ、ああんっ!」

 会長の方に抱きつく。だが、抱きついた時に風邪が起こり、会長のタオルがはだけてしまった。

「凛君のバーカっ! でも……ああもう、やっぱ無理!」

「ちょっ……」

 会長の機嫌を損ねてしまったらしい。「すいません、会長」と謝っても、会長は中々許してくれなかった。


 ***


 風呂あがりの温かな空気を感じつつ、体温が下がる前に僕と会長は部屋に戻った。そして、寝る前にちょこっと会長に話しかけた時、会長はやっと話を聞いてくれた。

「あの、ホントごめん」

「……12月12日だよ、もう」

「えっ……」

 見事に会長に話をそらされた。だけどもう、12月12日か。……早いな。


 そっか。今日、僕は恋と会長とエリザ、誰か一人を振る必要があるんだ。

 そう思うと、ちょっと悲しい気持ちが心にこみ上げてきた。僕は、会長の頭をなで、眠りについた。隣に会長が居たから、ただそれだけの理由で。





「――ボクの頭を撫でるな、バカァっ! ……どうして、二人になると、風呂に一緒に入ると、ボクはなんで凛君を殴っちゃうんだろ……。本当にボクは、バカリナだ。馬鹿馬鹿!」

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