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94話 食料・ギルド

 ギルドを出て宿屋へと向かう。


 基本的に宿屋に食堂が付いてることがほとんどなためだ。


 宿屋へと入り、食堂と思わしき所へ行くと、声が掛かる。


「すいません。宿泊者の方ですか?」


「ん?いや。飯を食べに来たんだが?ここは食堂だよな?」


「あ………すいません。今ほとんど食料が無くて、お泊りされてる方以外の食事はご遠慮させていただいてるんです。ですので、すいませんが料理は出せません。」


 予想していなかったのでクロスは少し呆然としていた。


「しかし、今日護衛してきたホース車の積み荷に結構な食料が載っていたはず………。そうか。」


 自分で言っていて気が付いたが、1台分の荷車では、この町を賄うのには無理があるだろう。


 ギルドで聞いたが、盗賊団が住み着いてから日は10日ほど経っているので、町の中の食料をやりくりしながらやっているのだろう。


 ランクの低い冒険者(ランク3程度)が狩りなどをしていたとも聞いている。


 しかし、野菜や果物などは季節的な物もあり、収穫できる数が少ないそうだ。


 それを考えると、今ある食材については優先順位をつけるのは普通かもしれない。


 そう考えてクロスは謝る店員を後に宿屋を出た。


「お腹すいた………。」


「まあ。出る前に買い込んでいるからまだあるにはあるが、ここからバルトまでは休みつつ行って6日くらいかかるはずだ。………今持っている食料だとたぶんギリギリだな。………自給自足で行くか。とりあえず休憩できそうなところに行くぞ。」


「わかった。」


 アリスを連れて町中に生えている木の下に行き腰を下ろす。


 マントにて見えないようにし、魔法にて食料を出した。


「ほれ。」


「ありがと。」


 アリスにパンと肉を渡して自分も同じものを食べる。


 水筒を出して飲もうとするが、中の飲み物は残りわずかだった。


「水くらいは流石にあるだろ………。後で補充しとくか。」


 とりあえず残っていた半分を飲み、残りをアリスへと渡した。


 木陰にて休憩していると、食べ終わったアリスが魔法の練習を始めた。


 クロスはそれを眺めつつ休息を取る。


 しかし、魔法は発動した傍から一瞬で消えてしまった。


 不思議に思い首を傾げていると、アリスがこっちを見てきた。


 どうやらクロスを疑っているようだ。


「なぜ消すの?」


「いや?何もしてないんだが?とりあえず俺から離れて使ってみてくれ。大体15メル程度離れればいいだろう。」


 アリスは木陰から出て15メル程離れ、魔法を詠唱する。


 今度はしっかりと成功したところを見ると、どうやら原因はやはりクロスのようだ。


「もしかして無属性の無効化を切り忘れてたか?」


 無属性の詠唱をして無効化魔法を切る。


「こっちにきて魔法を唱えてみてくれ。」


 アリスはクロスへと近寄ると、魔法を唱えた。


 今度も成功し、ホース車の模型が出来上がる。


「どうやら原因は俺のようだな。すまなかったな。」


 アリスの頭を撫でて謝っておく。


 アリスも満足したのか魔法の練習を再開した。


(しかし、魔法力が減らないから、詠唱したまま忘れる可能性があるな………。メリットが大きいとは言え、身体強化魔法をしたままいつもの力加減でやったりするとかなりまずいことになりそうだな。)


 自身の忘れを反省し、どうしたものかと思案する。


 アリスは魔法の練習が終わったのか、今度はクロスの手を引っ張ってきた。


「どうした?」


「剣の稽古。」


 どうやらアリスは剣の練習がしたいようだった。


 マント内から木剣を二本取り出し一本をアリスに渡す。


 アリスは受け取ると同時に斬りかかってきた。


 とりあえずアリスに好きなように打たせて、クロスはそれを木剣にてすべて受けることにする。


 アリスは半刻ほど打ち続けていたが、疲れてきたのか打ち込む回数と力が弱まってきた。


 それを確認したクロスは、最初のアリスと同じくらいの速さで打ち込む。


 力はそれほどではないので、当たっても痣になる程度だろう。


 アリスは最初は回避していたが、足が止まり始め、木剣にて受けるようになった。


 ひたすら受けてはいたが、途中で木剣が上がらなくなり、木剣にて腕を叩かれる。


「ここまでだな。約2刻と言ったところか…。最初に比べればマシになったとは言え、まだまだ体力に難ありだな。」


 アリスの木剣を回収し、アリスを木にもたれ掛かるようにして座らせて休憩とした。


 日はだいぶ傾いてきており、後一刻ほどもすれば夕刻になるだろうことが見える。


「では夕刻まで休んでいろ。」


 アリスをそのまま寝かせて時を止める。


 アリスを鍛えた後は、クロスの番である。


 時を止めた中で剣術と体術の訓練を反復する。


 父親に色々と叩き込まれているので、それを忘れないようにするための日課のようなものである。


 一通り行い、時を元に戻す。


(さて…時間まで休憩するか。)


 時間になるまでクロスは座禅を組んで休憩することにした。


 言われた時刻になったので、アリスを起こしギルドへと向かった。


 ギルドに入り受付に行くと、クロスが話す前に案内される。


「クロス様お待たせいたしました。ギルドマスターがお呼びですので奥の部屋までお願いします。」


 ギルド職員に連れられてギルドマスターの居る部屋へと行く。


「こちらがギルドマスターの部屋となります。少々お待ちください。」


 ギルド職員は扉をノックし中に居るギルドマスターへと声を掛ける。


「ギルドマスター、例の冒険者をお連れしました。」


「入ってもらってください。」


 中から女性の声が聞こえた。


「では中にお入りください。」


 ギルド職員が扉を開けたので、そのまま部屋の中へと入っていった。



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